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sads、ラストライブで全歴史を網羅 最終夜を豪華に彩る

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11月30日、東京・品川ステラボール。本年をもって活動休止するsadsがラストツアー「The reproduction 7th anniversary『FALLING』Chapter3 TOKYO 7DAYS」の最終夜を豪華に彩った。全会場ソールドアウトの本ツアー最終章は、この日も当然、超満員。全国各地から集結したファンで溢れた場内は、ロックンロールの熱気が激しく渦巻く空間へと変貌した。

1999年に結成、2010年に新たなメンバーで再始動してから実に7年を経ての活動休止。本公演の1つ手前、11月27日の下北沢GARDEN公演で、清春(Vo)は観客に向けてこんなふうに語っていた。「品川は僕らの最初のライヴのつもりで来てください。『こんな新しいバンドを組んだんだ!』って感じで。綺麗に、美しく、生きてることを実感しながら観てください」そんな鮮烈な光景を1秒でも多く目に焼き付けようと、開演前からオーディエンスの気分は最高潮に高まっている。

SEが鳴り、sadsのメンバーが現われると、フロアからは絶叫に近い歓声が放たれる。清春が1曲目の「freely」を歌い始めた瞬間に、観客の意識はひとつに束ねられた。今年リリースされた事実上のラスト・オリジナル・アルバム「FALLING」からのこの楽曲を皮切りに、sadsが生み出してきた名曲の数々が息つく間もなく繰り出される。緻密かつ情熱的に爆音を操るK-A-Z(G)、激烈な連打で空間を揺らす GO(Dr)、華やかなグルーヴで魅了する YUTARO(B)。強力な個性の彼らを従えた清春の統率力に、観客は早くも陶酔している。「年季の入った悪い感じを楽しんで!」と清春が煽り、「See A Pink Thin Cellophane」と「FREEZE」で妖しくフロアを揺らせば、本編序盤にして「ID POP」「WHITE HELL」「AMARYLLIS」などの必殺のナンバーが畳み掛けられるゴージャスな展開。1曲演奏されるごとに、フロアの熱気は上昇してゆく。

K-A-Zが巧みなテクニックで情緒たっぷりのギターソロを奏でると、本編は中盤へと突入。清春が妖しく淫らに観衆を扇動する「GOTHIC CIRCUS」の後、「HONEY」「Hate」といった甘く邪悪な轟音が続く流れなどは、聴覚的にも視覚的にもワクワクさせてくれる。

GOが渾身のドラムソロで観客を熱気まみれにすると、本編はいよいよ終盤へと向かう。「GIRL IN RED」「MAKING MOTHER FUCKER」「NIGHTMARE」などの過激な楽曲が連発されると、オーディエンスは当然のごとく、揉みくちゃ状態に。ここから清春が天性のカリスマを発揮する「Because」へと到達すると、本編は狂乱のうちに幕を閉じた。
 

sadsラストライブ

観客はまだまだド派手なロックンロールを求めている。再びステージ上に姿を現すsadsの面々。清春が観衆に向けて語りだす。「K-A-Zくん、GOくん、YUTAROとの関係は死ぬまで続きます。ファンのみんなにも会えたし、sadsをやって良かった。僕はあんまりバンドというものが好きじゃない。でも、僕がやったバンドの中でも、これが一番強烈だったと思います」アンコールに応えた彼らは、「LIAR」「Liberation」といった攻撃的なチューンを続けた後に、「Mr.『YA』」「TRIPPER」といった初期 sadsのキャッチーな必殺曲を投下。極上の笑みが瞬く間にフロアじゅうに広がっていくのがわかる。

客席の狂熱は未だ収まりそうな気配がない。この夜、2度目にして最後のアンコールが披露されようとしている。本ツアーが Chapter 3 に入ってからというもの、アンコールは1回限りだっただけに、こうしたラスト・サプライズが嬉しい。だが、ここで更に衝撃的だったのは、清春の口から告げられた“お知らせ”だ。「12月21日、追加公演、川崎クラブチッタ! そこでsadsの最後のブザマな姿をさらします!」この瞬間、場内にこの日最大級の歓喜の声が広がったのは言うまでもない。ここからsadsのロックンロールの代名詞ともいえる「SANDY」でフロアを踊り狂わせると、ラストに鳴り響いたのは「CRACKER’S BABY」。凶悪で重厚なサウンドが炸裂し、ステラボールを塗りつぶしてゆく。「突っ込め! 突っ込め!」の清春の挑発を受けて、思い思いの生きざまを爆発させるオーディエンスの姿が印象深い。この痛快無比な爆裂チューンが着地点を迎えると、フロアからは惜しみない拍手と感謝の言葉がステージに向けて贈られていた。

終わってみれば、sadsのヒストリーを網羅した究極のセットリスト。他の誰にも成し遂げようのない、圧倒的なラストダンスだった。もちろん、sads の過去の名シーンの数々を思い出して感傷的になってしまう瞬間もあった。だが、それ以上に心に残ったのは、アルバム「FALLING」という傑作を作り、ツアー〈FALLING〉を完遂した現在の輝かしさだ。華麗、強靭、妖艶……。最後の最後に絶頂期を迎えて活動を休止するというカッコ良さ。まさにsadsが我々に与えてくれた、“最後の宝物”とでも呼ぶべきライヴだった。史上類を見ない活動休止ツアーの最終夜は、ファンにとって、生涯忘れることのできない美しい思い出となった。

しかしながら、この最終章には、想定外の“続き”が用意されている。本来開催されるはずのなかった、12月21日川崎クラブチッタでの追加公演。正直なところ、現時点ではどんな内容のライヴになるのか、まったく推測できない。つくづく、sadsというバンドには、何をしでかすのかわからないスリルがある。その危険な魅力に、我々はこれからもずっと笑顔で踊らされ続けるのだろう。

TEXT BY 志村つくね
PHOTO BY 森 好弘(Yoshihiro Mori)、柏田芳敬(Yoshitaka Kashiwada)

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