ヒトリエ、白熱のツアーファイナル完遂「あなたがいればどこまででも行ける」
ヒトリエの全国ツアー「ヒトリエ UNKNOWN-TOUR 2018 “Loveless”」のファイナル公演が、3月25日に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催された。
この公演は12月に発売されたミニアルバム「ai/SOlate」を携えて全国10か所で開催されたもの。4月には追加公演として、自身初となる海外でのライブを台湾、上海で実施する事も発表されているが、国内ツアーファイナルとして全19曲を約2時間で駆け抜けた。
開演定刻をまわり場内が暗転すると、ジェイムス・ブレイクの「CMYK」が流れる中メンバーが登場。wowaka(Vo,Gt)がSEを掻き切るようにギターを鳴らし、「UNKNOWN-TOUR 2018 “Loveless”はじめます!」と高らかに宣言すると最新作に収録されている「NAI.」でライブがスタート。wowaka、シノダ(Gt)が、けたたましく鳴らすギターフレーズと、イガラシ(Ba)、ゆーまお(Dr)が生み出す正確無比なリズムが重なり合う圧倒的なバンドアンサンブルで観客を一気に踊らせていく。
「ヒトリエです。よろしくどうぞ。」という一言を挟み、「深夜0時」「インパーフェクション」「ワンミーツハー」とアップナンバーを立て続けに演奏した後、wowakaのボーカロイド曲「⽇常と地球の額縁」を披露。このツアーで初披露されているナンバーだが、イントロからひと際大きい歓声が上がる。
「バスタブと夢遊」を終えるとwowakaがギターを置き、「ツアーファイナル戻ってきました東京。今日もあなたと僕らで、音と、心と、人間で、すごく気持ち良い場所まで行けたらいいなと、思っています。最後まで楽しんでください。」と話し、「イヴステッパー」へ。
「あなたも一緒に踊りませんか?」と呼び掛けて「Loveless」に繋がるこのセクションでは、間奏でのインプロビーゼーションも含めた心地よい音のうねりに観客は自由に体を揺らしていた。
一転して「モノカラー」ではセンチメンタルに聞かせ、「ツアーを9箇所回って今日は10公演目。ステージに立つと、こうやって音楽をして聞いてくれる人がいるなと実感して、音楽を飛び超えて会話がしたくて、ここにいます。今日も、当たり前じゃない今日を噛み締めて歌います。集まってくれてどうもありがとう。」と感謝を述べ「目眩」を情感たっぷりに聞かせるとライブは後半戦へ。
「センスレス・ワンダー」「アンハッピーリフレイン」「ソシアルクロック」「Namid[A]me」「トーキーダンス」と新旧さらにはボーカロイド曲を織り交ぜた怒涛のセットを、楽曲ごとに形状を変えるレーザーとムービングライトの圧巻の演出とともに畳みかけ、観客もエモーショナルに応えて会場の熱量が上がっていく。
「自分の全感情を、全部、込めた曲が書けました。その曲を歌わせてください。」というMCから披露された「アンノウン・マザーグース」では、観客が突き上げた拳とともにサビのパートをシンガロングし、バンドと一体となって会場を揺らすほどの歌声を作り上げた。
本編ラストは、「あなたが気付いた好きって感情やキラキラしたものは、絶対に間違ってないってあなたに信じさせてあげるから。ずっとついてこいよ!」と力強く呼びかけ「絶対的」を響かせ締めくくった。
アンコールを受けて再登場したメンバーは、シノダとゆーまおが中心になってツアー各地のMCを振り返ったりしながら本編のストイックさから一変してなごやかなトークを展開。
観客をなごませた後、ヒトリエ主催ツーマン公演の「nexUs」を全国ツアーの形式で行うことを発表して、「じゃあアンコールやります!」という言葉をきっかけに、爆音のベースソロから「踊るマネキン、唄う阿呆」で再びカオティックに盛り上げ、「生きてると自分がずっと好きだと思っていたものに裏切られたりする時があって、けど、でもそういう時にどうしたって捨てられないものが自分を作っているんだって思うんだ。言葉とか音楽とか全部飛び越えたところに何かがあって、ただ人間であろうとしてる人間だけが発せる何かを知りたくて、音楽をやっています、あなたがいればどこまででも行けるような気がしています、俺を作ってくれてありがとう、いてくれて、どうもありがとう!」とwowakaの力強い言葉から「リトルクライベイビー」を最後に披露し、ツアーの幕を下ろした。
4月14日の台湾、21日上海の初となる海外での追加公演を前に充実のステージを見せたヒトリエの今後に注目が集まる。
PHOTO:西槇太一