KIRINJI、ビルボードライブ東京で5人体制での初ライブ「春っぽい曲を選んでお送りします」
2017年12月のワンマンライヴ「KIRINJI LIVE 2017」をもってキーボードのコトリンゴが脱退し、堀込髙樹/田村玄一/楠均/千ヶ崎学/弓木英梨乃の5人体制となって新たな歩みを始めたKIRINJI。1998年のメジャー・デビューから20周年を迎えた今年、5人体制で初ライヴとなる「KIRINJI PREMIUM 2018 at Billboard Live TOKYO/OSAKA」が開催された。そのうち、3月27日のビルボードライブ東京セカンドステージの模様をレポートする。
KIRINJIがビルボードライブ東京に立つのは2年ぶり。満員の観客が食事やお酒に舌鼓を打ちながら、リラックスしたムードで開演を待つ。定刻の21:30にメンバーが階段を降りて登場。今回はお馴染みの矢野博康に加えて、渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz)がサポートを務める。
1曲目は、堀込高樹の2005年発表のソロ作「Home Ground」から「冬来たりなば」。意外な選曲で幕を開けたが、最初のMCで堀込は「本当ならもうニュー・アルバムが完成して新曲を演奏する予定だったんですけど、レコーディングが遅れていて(苦笑)。なので、今回は春っぽい曲を選んでお送りします」とその意図を明かした。そして「進水式」「愛のCoda」を続けて披露。いずれも大人の渋みを感じさせる堀込高樹の歌声とメンバーによるコーラスが見事に溶け合い、場内を一気にKIRINJIワールドに染め上げた。
田村玄一のペダルスチールと弓木英梨乃のヴァイオリンが効いている「きもだめし」に続けて、春は引越しシーズンだからということで千ヶ崎学が提案したというアルバム「7-seven-」(2008年)収録の「この部屋に住む人へ」。後者は、当時のアルバム発売記念ツアー以来初めてステージで披露したということで、ファンには嬉しいプレゼントとなった。メンバーの自己紹介をはさんで、ビルボードライブ公演では恒例となったカヴァー曲のパート。今回メンバーが選んだのは、この時期にぴったりのバート・パカラック「エイプリル・フール」。ツボを押さえたミディアムテンポのアレンジが心地よかった。
ステージ中盤には、お待ちかねの新曲「時間がない」を披露。昨年12月のワンマンライヴのアンコールの最後に初披露されたナンバーだが、歌詞がブラッシュアップされ、楠均のドラムと千ヶ崎学のベースを中心とするバンドのグルーヴ感もタイトさを増していた。続けて、堀込高樹が昨年アイドルマスターに提供した「LEMONADE」を弓木英梨乃のヴォーカルで演奏。アップテンポの切ないメロディは、KIRINJIにおける弓木の歌声のまた新たな魅力を引き出していた。
そしてステージはクライマックスへ。「The Great Journey」ではRHYMESTERのラップ・パートをメンバーが分担して披露。各々が複数の楽器だけでなくヴォーカルやコーラス、時にラップまでもこなし、それをグループのサウンドに昇華させているのが、ここ数年のKIRINJIの魅力のひとつであるが、そのクオリティがまた一層レベルアップしているのを感じた。続く「Mr. BOOGIEMAN」では、メインヴォーカルを務める弓木英梨乃が歌いながら客席を練り歩き、オーディエンスの盛り上がりも最高潮に。本編ラストは最新シングル「AIの逃避行」。Charisma.comのいつかのラップ・パートを弓木が担当。アウトロでの渡辺シュンスケのダイナミックなシンセサイザー・ソロも見事だった。
アンコールは、インストゥルメンタルの「PDM」とミズノマリへの提供曲「春の嵐」を披露。全編を通してバンド感を増したタイトな演奏で、これからのグループのさらなる飛躍を期待させるステージだった。
なお、4月2日正午に、公式サイト及びユニバーサルミュージックのKIRINJIサイトにてニュースが発表されるとのことなので要チェックだ。
セットリスト
01. 冬来たりなば
02. 進水式
03. 愛のCoda
04. きもだめし
05. この部屋に住む人へ
06. エイプリル・フール
07. 時間がない
08. LEMONADE
09. The Great Journey
10. Mr. BOOGIEMAN
11. AIの逃避行
ENCORE
12. PDM
13. 春の嵐
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