a flood of circle、アオキテツ正式加入式典開催「テツくん、a flood of circleにようこそ!」
a flood of circleが、4月7日に東京・渋谷CLUB QUATTROにて「New Album“a flood of circle”Release Special Party -アオキテツ正式加入式典- 」を開催した。
本イベントは2月21日に発表した8thフルアルバム「a flood of circle」に加え、16年9月よりサポートギタリストとして参加してきたアオキテツ(G.)が正式加入したことを記念して行われたもの。
アオキの加入を祝福したい気持ちも大きかったのだろう。チケットは早々に完売し、メンバーがステージに登場するや否や、フロアからは「テツー!」と大きな声援が飛ぶ。
まずはオープニングナンバーとして「Blood & Bones」で強烈なロックを叩き込めば、当然のように高まるテンションと熱気。いきなりクライマックスかのような盛り上がりを見せ、「オン・ギター、アオキテツ!」と佐々木亮介(Vo./G.)が叫び「Lightning」へ。
1年半以上もプレイしてきたこともあり、アオキはすっかりバンドに溶け込んでいたが、やはり正式なメンバーとなれば心持ちも違うのだろう。積極的にメンバーの鼓動を感じ取るような仕草もあり、そのグッと入り込んだプレイにフロアからも歓喜の声が湧きっぱなし。バンドとしても最高のスタートダッシュを決めてくる。
そこから佐々木がピン・ヴォーカルになり、大きな咆哮を上げて意欲的にラップを取り込んだ「One Way Blues」を叩きつける。オーディエンスからのレスポンスも凄まじく、渡邊一丘(Dr.)の頼もしいドラミングも相まって、彼ららしいナンバーとして会場をロックに染め上げていくのだ。ツアーでさらに磨かれるであろう、新しい武器のひとつに違いない。
そして、アオキがセレクトしたという「ガラパゴス」を披露。多彩なアプローチができるアオキがメンバーになったからこそ、こういった曲が飛び出てくる。一気にスピードアップした「Rex GiIrl」はそのドライブ感も素晴らしかったが、佐々木がマイクからあえて離れ、HISAYO(Ba.)のコーラスだけ響かせるという、ニヤッとする場面も印象的だった。
エグるようなイントロからエネルギッシュにかき鳴らした「Diver’s High」に続き、アオキがより覚醒した「King Cobra Twist」はこの夜のハイライトのひとつ。
メンバー4人のグルーヴが見事に交錯し、凄まじいエネルギーが生まれていったのだが、前へ前へとのめり込んでいくアオキの姿がオーディエンスの興奮をどこまでも誘発し、「もっともっとイケるでしょ?」との佐々木の言葉から冴え渡るセッションへなだれ込む。
ステージの端まで動きながら引き倒すアオキを何とも言えない笑みを浮かべながら眺めるメンバー3人。バンドの充実したムードが伝わってきた瞬間だ。
絶妙な浮遊感がたまらない「夜はけむり」、に麗しい重厚感をまとう「再生」でいい雰囲気を醸し出した後、天井知らずの盛り上がりになったのが「Where Is My Freedom」。パワフルなラップで会場を揺らし、終いにはフロアへ乗り出すどころか飛び込み叫ぶ佐々木。
その勢いに負けじと拳と歓声を上げ続けるオーディエンス。「今日はレコ発と思ってなくて。みんなと騒ぎたかった」と佐々木が笑いながら話す場面もあったが、まさにその言葉通りの光景が広がっていく。
そこからの後半戦はまだまだ高みへとボルテージが上がり続ける怒涛の展開。アオキの一心不乱に弾く姿も起爆剤になった「STARS」、オーディエンスも共に叫びまくった「Boy」と激しさを増し、彼らが持つロックンロールの旨味がブラッシュアップされ、鮮やかに輝く「ミッドナイト・クローラー」ではまさしくカオティックな様相。自由自在に踊るオーディエンスで熱気も撹拌され、限界のその先へと突き進む。
そこから、まだまだだとアクセルを踏み続け、渡邊のドラムが鳴った瞬間から歓声が鳴り止まなかった「シーガル」へ。凄まじい一体感を生み出し、本編ラストは待ち焦がれていた人も多い「プシケ」。すべからくエネルギーを吐き出すようにどこまでも踏み込んでいき、曲の中盤に披露される佐々木によるメンバー紹介も相まって、この夜にふさわしい締めくくりとなった。
そして、盛大なアンコールに呼び戻され、ステージへと戻ってきた佐々木は「今、何も不安がない。やるしかない。”Where Is My Freedom”って言ってるんだよ?その答えをツアーで見せたいと思います」と力強く宣言。
改めてアオキに「テツくん、a flood of circleにようこそ!」と声をかけ、「Leo」と「象のブルース」をプレイ。本日の主役であるアオキに敬意を表してか、渡邊が最後のキメをアオキに先導させる場面も実に美しかった。
終わってみれば、8thフルアルバム「a flood of circle」の冒頭を飾った「Blood & Bones」から始まり、1stミニアルバム「a flood of circle」の最後に収録された「象のブルース」で締めくくるというドラマティックな内容であり、ライヴ中盤にアオキも触れていたが、数多くのワンマンツアーを行ってきたものの、正式メンバーのみによるワンマンとなると3回目だという彼ら。
4月20日の千葉LOOKを皮切りに、セルフタイトルとなった新作を引っさげてのリリースツアーもスタートする。また新たに始まる物語の中で、この日の最高を更新してくれるに違いない。
Text by ヤコウリュウジ
Photo by 新保勇樹