一青窈とゆかりの豪華ゲストが集結した一夜限りの15周年アニバーサリーライブをWOWOWで5/20放送
情感に訴えかけるエモーショナルな歌声と色彩豊かな世界を想起させる歌詞で独自の世界を築く、一青窈がデビュー15周年を迎えた。
そんな彼女が多彩なゲストを迎えて開催した記念ライブ「一青窈謝音会〜アリガ十五〜」は、一青窈という女性の半生を音楽と言葉で追体験するような感動に満ちていた。
このライブの模様を、WOWOWで5月20日20:00〜放送する。
【ライブレポート】
最初にステージに上がったのは、一青が言葉において大いに影響を受けたという詩人・谷川俊太郎。ピアノの優しい音色に合わせての詩の朗読から記念ライブは柔らかに始まり、言葉の持つ可能性を、垣間見せてくれるような時間となった。
続いて現れたのは、今ではプライベートでも仲良しという岸谷香。「13歳の私は、パパに会いたくて、会いたくて、会いたかった」とつぶやいた後、岸谷と2人で歌ったのはプリンセス プリンセスの名曲「パパ」。一青の父への強い思いが、痛いほど伝わってきた。
さらにまだまだゲストは続く。テレビでの共演から親交を深めている台湾のスター、クラウド・ルーを招き入れ、もう1つの故郷・台湾への愛をこめて、北京語で「早安, 晨之美!(GOOD MORNING)」をデュエット。いつもとは少し違う魅力を1,500人の観客に披露した。
ルーと入れ替わったのは、飲み仲間の1人だという、さかいゆう。キャッチーでスイートな名曲「薔薇とローズ」を艶やかに歌ったかと思えば、ジャズフィーリング溢れるアレンジで「津軽海峡・冬景色」を熱唱。
第1幕のラストを飾ったのは、大学時代のサークルの先輩であり、一青が音楽の道に進むきっかけの1つを作ったゴスペラーズ。
まるで同窓会の一場面を覗き見しているようで実に楽しいセッション。ゴスペラーズの自己紹介ソング「侍ゴスペラーズ」に一青窈が歌詞を書き参加した「侍ヒトスペラーズ」に続き、「真赤な太陽」をゴージャスなバンドサウンドとともに美声を響かせ合い第1幕の幕は降りた。
第1幕は、一青窈を形作ったルーツやホームグラウンドだとすれば、第2幕は歌手として積み重ねてきたキャリアの中で培った多彩な芸術性のコラボレーションと言えるだろう。
康本雅子のダンスとのコラボレーションで歌う「月天心」で幕を開けるやいなや、妖艶なカバーでヒットした「他人の関係feat. SOIL&”PIMP”SESSIONS」でコラボしたSOIL&”PIMP”SESSIONから、社長とダブゾンビが乱入。
曲の間奏で一青のオーバードレスを剥ぎ取り、網タイツに包まれた美脚を晒すというセクシーな演出も相まって、キワどくも艶っぽい共演に大きな拍手が贈られた。
熱気冷めやらぬ中、いきものがかりの水野良樹が登場。水野が手がけたメロディックな「七変化」を切なさいっぱいに歌い上げると、続いてステージに招かれたのは、話題の和楽器バンドから鈴華ゆう子と町屋。
和楽器バンドの2人は一青の大ファンだという。 日本語と中国語が入り混じる「東風破」を華麗にデュエットした。
終盤に向けては、第1幕に出演したゲストが再び登壇。クラウド・ルーとの「勝負!!!」では、タンバリンを片手にノリノリに歌い、さかいゆうとの「2回」では、一青がハワイで出会った女性から聞いた悲しくも深い愛のエピソードを歌詞にしたことが語られ、心を込めて歌う姿が涙を誘った。
恩師であり、15年間ともに歩み続けてきた音楽監督の武部聡志のピアノに乗せて「さよならありがと」を歌う際は、言葉の1つ1つを噛み締めるように丁寧に歌っていた姿が印象的だった。
第2幕のトリもやはりゴスペラーズと。心に染み入る名曲「ハナミズキ」を、優しく繊細な武部のピアノに乗せ、恩人である先輩たちと歌いあげた。
鳴り止まぬ拍手に導かれるようにして、アンコールに応えた一青窈。ステージ上にゲストアーティストが勢ぞろいし披露された「もらい泣き」は、普段はちょっぴり切なさがにじむ楽曲だが、この日ばかりはまるで、嬉し泣きをもらい泣きしたようなオーディエンスも多かったに違いない。
ゲストの名前を1人ずつ紹介し、感謝を込めて送り出した後、武部と一青2人だけがステージに残り、武部のピアノが寄り添う中、谷川俊太郎の「さようなら」を朗読。
そして最後は、15年の感謝を込めて「アリガ十々」をステージに膝をついて切々と歌い幕を閉じた。
武部から手渡された花束を片手に輝く笑顔で、「まだまだ精進し続けて、歌い続けたいです」と決意を述べた一青に対して、場内ではいつまでもスタンディングオベーションが鳴り響いた。
撮影:森崎純子