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超特急・タカシ、2年ぶりとなるソロライブを開催

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6人組ダンス&ボーカルグループ・超特急のボーカルを務めるタカシが、23歳の誕生日となる9月23日に、2年ぶりとなるソロライブ「Utautai」を千葉・舞浜アンフィシアターで開催した。

普段はメインダンサー&バックボーカルグループの一員として、ダンサー陣を支えることに徹している彼を祝うべく、会場には大勢の8号車(超特急ファンの呼称)が集まり、昼夜の2部制で用意された5000枚のチケットは完全ソールドアウト。J-POP黎明期からの音楽にも造詣が深いタカシだけあって、自身の選曲のもと70年代を中心とした洋・邦楽の名曲カバーのみならず、初めて作詞&作曲に挑戦したナンバーも生バンドを従えて披露し、ライブタイトルの通り“歌うたい”としての進化と真価を見せつけた。

朝の目覚めを思わせる爽やかなSEが鳴り、舞浜アンフィシアター特有の円形ステージにタカシがリフトアップしてライブを幕開けたのは、高田漣の提供により今年2月に配信&アナログ盤限定でリリースされた「ソレイユ」。これまで超特急のライブでも歌われてこなかった楽曲の待望の初披露に、彼のイメージカラーである白のペンライトに染まった客席からは大歓声が湧いて、その声に応えるようにタカシは曲に秘められた恋心を、気だるさと眩しさを織り交ぜながら表情豊かに描き出してゆく。そこから「今日はゆったりとした時間を過ごしてください。楽しんでいこうな!」という言葉の通り、8号車が総立ちになる超特急とは正反対の着席スタイルのまま、はっぴいえんどが1971年に発表した「空いろのくれよん」を伸びやかなボーカルでゆったりと披露。細野晴臣、大瀧詠一ら、日本音楽界における重鎮が集まった伝説のバンドの名曲に、サニーデイ・サービスの「恋におちたら」と続くフォークロックの温かな音色は、メンバーからも常々“優しい”と評されるタカシのパーソナリティを彷彿させてくれる。

満員の客席を前に、「こんなに大きな会場で一人でライブさせてもらうのが想像できなくて、こんなにたくさんの人が来てくれるのがすごく嬉しい。力を込めて最後まで歌っていけたらなと思ってます」と喜びを露わにしてからは、「この公演で新しい挑戦を」と初めての洋楽カバーも。日本でもCM曲として流れたDaryl Hall&John Oatesの「Private Eyes」では、ステージの端まで身を乗り出して客席のクラップを煽り、Paul McCartney&Michael Jacksonの「Say Say Say」では、マイケル独特の高音域を得意のファルセットにフェイクも交えて見事に歌いこなす。「基本的にはJ-POPが好きで、洋楽は日本語よりも表現が問われるイメージがあったけど、歌ってみると楽しい」とMCで語っていた通り、80年代ヒットチューンのソウルフルなリズムで身体を揺らすその姿は、実に活き活きとしたものだった。

「昔から70・80年代の曲が好きで、でも同年代にはわかってもらえなくて勝手にジェネレーションギャップを感じていたから、このライブを通して昔ながらの色あせない名曲をみんなに好きになってもらえたら嬉しいです。一番望んでいるのは、肩の力を抜いてみんなで楽しむこと。世代問わず、いろんな方に楽しんでもらえる曲を用意してきました」

そう話してから、1977年のデビュー当時ロックアイドルとして絶大な人気を誇った原田真二の「てぃーんず ぶるーず」、山下達郎や大貫妙子らが在籍した70年代のバンド・シュガーベイブの「パレード」で客席のクラップを呼んだ中盤戦。90年代に山下のセルフカバー版が子供番組のED曲にも起用された後者では、楽器隊や8号車ともアイコンタクトを交わしながらステージを闊歩したり、音に乗ってステップを踏んだり、想いのままにロングトーンを放ったりと、その自由で自然体のパフォーマンスからは彼自身、歌うことを心から楽しんでいることが伝わってくる。現代よりも歌詞の比重が重い時代の楽曲で、当時を知らないであろうオーディエンスをも巻き込んでいけるのは、この春夏と全33公演に及ぶ全国ホールツアーで鍛え上げた強靭なボーカル力、そして結成から7年余の喜怒哀楽さまざまな経験で培ってきた表現力の賜物に違いない。

さらに、この日はタカシ自身が作詞・曲したナンバーを発表するという、もう一つの挑戦も。真っ赤に染まったステージにファイヤーボールが噴き上がり、巻き舌やシャウトも交えて激熱ロックチューン「バーニングファイター!!」を投下すると、「ホントに緊張した! どうでしたか?」という問いかけに満場の拍手が返るのを確認して、思わず顔をほころばせる。そして「身近なメンバーや友達、家族、いろんな人に届けたい、彼らに対してどうしていきたいのか?という自分にとっての決意表明の曲です。今、自分の持ってる力全て使って披露させてもらえたらなと思います」と贈られた曲のタイトルは「peace YOU」。“守ってみせる”“君は1人じゃないよ”と、深い愛情にあふれたリリックを紡ぐ真摯な眼差しに渾身の歌声からは彼の想いの強さが伝わって、曲が終わる前から大きな拍手が場内に湧き起こる。熱いロックにリアルな心情を投影したミドルスローと、両極端な楽曲を初作曲・詞で作り上げるとは、クリエイターとしての資質も侮れない。

ここで「みんな立ち上がって!」というタカシの呼びかけと共に「Whiteout」が始まり、おなじみのナンバーに沸き立つ客席に語りかけるように歌う最中には、楽器隊のソロ回しという「Utautai」ならではのアレンジも。見渡す限りくるくると回転する白いペンライトはまさしく雪のようで、タカシをイメージして作られた冬のラブソングのピュアネスを際立たせる。アンコールでは、超特急の最新シングル「Hey Hey Hey」のカップリング曲にして、タカシのセンター曲「小さな光」もライブ初披露。どんなに険しい道にも立ち向かってゆこうと綴ったリリックを、優しいバラードサウンドに乗せて力強く歌い上げる姿からは、歌に対するひたむきな向上心に、これからも己が超特急の歌を担っていくのだという決意が滲む。歌を通してタカシという人間のキャラクターや想いを存分に感じられるのも、「ボーカリストとして成長させていただけるライブ」と語る、この「Utautai」だからこそだろう。

「この世界で自分は何ができるんだろう? そう考えて行き着いたのは、超特急のボーカルとしてここに立たせてもらって、みんなをほんの少しだけ明るい未来に導いていくこと。もっとたくさんの方に笑顔を届けていける存在を目標に頑張っていきたいし、大きな野望ですけど「Utautai」でツアーを回って、いろんな方に会いに行きたい。また、こんな素敵な場所で会う日まで」

そう前置いて始まったのは、Carole Kingの「You’ve Got a Friend」。“名前を呼べば、すぐに会いに行くから”と親友を励ますラストソングは、そんな存在に自分の歌がなれればいいという彼の願いの表れのようにも感じられ、穏やかな笑顔と包容力満点のボーカルが、その夢の実現を確信させる。ステージ去り際には「素敵な誕生日になりました! また絶対に「Utautai」実現させるから楽しみにしてて。みんな本当に大好きや!」と嬉しい宣言も。年末年始の東西アリーナツアーを始め、次々と大舞台が決まっている超特急の活動を経て、「まだまだやりたいことがある」と話していた「Utautai」のステージに再び彼が立つ日を心待ちにしたい。

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