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THE ORAL CIGARETTES、「ReI」が繋いだジャンルを超えた対バンツアー完遂

アーティスト

THE ORAL CIGARETTES 「ReI project coupling tour ~Piggybacking Together~」 6月13日 新木場STUDIO COAST

写真:AZUSA TAKADA

6月13日、THE ORAL CIGARETTESが東名阪の対バンツアー「ReI project coupling tour ~Piggybacking Together~」のファイナル公演を新木場STUDIO COASTで開催した。名古屋にはLiSA、大阪には元SuGの武瑠が始動したソロプロジェクトsleepyheadを迎えて、いわゆる“バンド”ではない相手との対バンを繰り広げてきた今回のツアー。その東京編の対バン相手はぼくのりりっくのぼうよみだった。

バンドが掲げる「ReI project」とは、今年2月16日にリリースしたフリーダウンロード楽曲「ReI」に端を発して、震災から逃れられない宿命を持つ私たちが、明るい未来を繋ぐために立ち上げたプロジェクト。天災や予期しない悲しみを「背負う」を意味する「Piggybacking」を掲げた今回のツアーでは、その趣旨に賛同したアーティストたちと共に、集まったお客さんとの強い絆を確認し合うような熱いライブを繰り広げた。

ぼくのりりっくのぼうよみは、須藤優(B)、タケウチカズタケ(Key)、DJ HIRORON、UZMK DUTTCH(Dr)、宮本仁(Perc)というバンド編成で「sub/objective」からライブをスタートした。スタイリッシュでグルーヴィーなバンドサウンドにのせて、色気と哀愁が漂うポエトリーラップを刻んでいく。

オーラルの山中拓也(Vo/Gt)の誘いで出演を決めたというこの日は3ヵ月ぶりのライブだというぼくりり。「THE ORAL CIGARETTESはバキバキのバンドなんですよね?なので、今日は僕もバキバキでいこうかなと」と言うと、昨年リリースした最新アルバム「Fruits Decaying」の中から「Butterfly came to an end」や「playin’」といったダンサブルな楽曲を畳みかけてフロアを踊らせていった。

 

ぼくのりりっくのぼうよみ 「ReI project coupling tour ~Piggybacking Together~」 6月13日 新木場STUDIO COAST

写真:AZUSA TAKADA

17歳でメジャーデビューアルバムをリリースした頃に、オーラルのあきらかにあきら(Ba)にTwitterでフォローされ、認められたことが嬉しかったと語り、「あきらさんが好きらしい曲です」と披露したのは「Black Bird」。ピアノのみの伴奏で生々しく綴られた孤独と叫びが鮮烈だったが、のちのMCで、「2番を丸ごと飛ばしちゃって、ショートバージョンになりました(笑)」と明かすなど、ショーマンとしての圧巻のパフォーマンスの一方で覗かせる等身大も魅力的だった。

終盤は攻撃的なサウンドに早口のラップを捲し立てた「For the Babel」で湧かせると、「ぼくりりでモッシュが発生する日が来るとは露ほども思わず。感動しております!」と、嬉しそうな笑顔で語りかけたぼくりり。ビックバンド風のゴージャスなラストナンバーの「罠」まで、初見のお客さんが多かったフロアも完全に掌握するステージだった。

「きっとこの世界の誰しもが弱い心を持っていて、でも、いかに戦うか。いかに逃げないか。それが必要なことだと思います。あなたたちにとって、今日が何かを踏み出す一歩になれば。一緒にヤバい光を見に行きましょう!」。静かにギターを弾きながら語りかけた山中の言葉から、THE ORAL CIGARETTESのライブはスタート。

1曲目は今回のツアーの大きなきっかけになり、初めて誰かの未来のために完成させた壮大なロックナンバー「ReI」だった。メンバーが何も言わなくとも巻き起こる大きなシンガロングによって、会場は温かい空気に包まれていく。続けて、大切な人との絆を歌ったバラード曲「エイミー」へ。ふだんはアップテンポな楽曲からスタートすることの多いオーラルのライブだが、“あなた”への強い想いを込めた始まり方は、今回のツアーに込めたメンバーの意思を物語っていた。

真っ赤なライティングがステージに降り注いだ「5150」からライブは激しさを増していった。「気づけよBaby」や「Mr.ファントム」というアップナンバーでは、スピーディーにビートを刻む中西雅哉のドラム、鈴木重伸の独創的なギターリフ、やんちゃに暴れまわるあきらのベース、フロントマンとして圧倒的な存在感を放つ山中というメンバーの総力戦で、集まったお客さんを最高の瞬間へと駆け抜けていく。

この日はボーカル山中の声が少し掠れ気味だったが、「どんな声でも、どんな表情でも、俺は俺。しっかりここに立って表現します」と言うと、ヒップホップをフィーチャーしたナンバー「マナーモード」と、美しい終焉のバラード「エンドロール」を気迫のボーカルで届けてくれた。
 

THE ORAL CIGARETTES 「ReI project coupling tour ~Piggybacking Together~」 6月13日 新木場STUDIO COAST

写真:AZUSA TAKADA

MCでは、今回のぼくりりの出演について、山中が「プロジェクトの意味を噛みしめて、出演を決めてくれました」と言うと、会場から温かい拍手が沸き起こった。さらに、珍しく鈴木が「わたしも喋るんですよ」とマイクをとり、お客さんをざわつかせると、いよいよライブは終盤戦に向けて、さらに熱狂が加速していく。

この日リリースされた最新アルバム「Kisses and Kills」のリード曲「容姿端麗な嘘」では、EDMをフィーチャーした新機軸のサウンドで熱狂のダンスフロアを生み出し、オーラルの代名詞的キラーチューン「狂乱Hey Kids!!」では、七色のレーザーがお客さんの頭上を激しく交錯した。最後に、「完璧じゃないバンドかもしれないけど、いつでも120%でステージに立ちますから、遊びに来てください。

新しい時代を作っていくために、あなたたち一人ひとりの力が必要なんです!」と叫ぶと、ラストソングは「BLACK MEMORY」。最前列の柵に身を乗り出した山中が、次々に流れてくるダイバーたちと対峙して咆哮する、まさに限界を超えたステージだった。

アンコールでは、「ReI projectに終わりはなくて、ずっと続いて行くものです。あなたたちは天災とか、自然災害とか、そういうものを背負いながら生きていくと思います」と言うと、この日のライブを一緒に作り上げたぼくりりを再びステージに呼び込み、「ReI」をコラボしてライブを締めくくった。
 

THE ORAL CIGARETTES ぼくのりりっくのぼうよみ 「ReI project coupling tour ~Piggybacking Together~」 6月13日 新木場STUDIO COAST

写真:AZUSA TAKADA