吉澤嘉代子、東京国際フォーラム2DAYSで新曲「ミューズ」披露&全国ツアー開催発表
写真:山川 哲矢
吉澤嘉代子が6月16日、17日の2日間にわたり、東京国際フォーラムホールCでスペシャルコンサート「吉澤嘉代子の発表会」を開催した。以下オフィシャルレポート。
吉澤嘉代子が6月16日(土)、17日(日)の2日間にわたり、東京国際フォーラムホールCにてスペシャルコンサート「吉澤嘉代子の発表会」を開催。2日目のアンコールでは今秋にニューアルバムを発表することと、来年2月より全国ツアーを行うことが発表された。
『子供編』と題されたコンサート初日は、部屋の壁に向かい「コンサートごっこ」をして遊んでいた13才の吉澤、2日目の『大人編』は実際に大勢の観客を前にコンサートを開催している現在の吉澤をそれぞれ主人公とした、ストーリー仕立てのセットリストが繰り広げられた。
写真:山川 哲矢
まず初日の『子供編』。会場が暗転するとバンドメンバーに続き、黒のワンピースに黒のストッキングを合わせた「魔女ファッション」の吉澤が登場。1曲目“未成年の主張”では、恋愛真っ最中のウキウキ感を全身で表現するように飛び跳ねたり、ステップを踏んだりしながら愛らしく歌い上げ、会場には早くも大きな手拍子が鳴り響いた。「みなさん、こんばんは。『吉澤嘉代子の発表会』にようこそ!」という挨拶のあと「実は私、密かに魔女修行をしてるんです。それで最近、飼っている犬の言葉がわかってきたの!」と愛犬の名前を呼ぶと、人間の言葉を話す白い犬「ウィンディ」がステージ上に現れ、会場には温かい笑いが起こった。
その後、吉澤とウィンディのクスッと笑える掛け合いを挟みつつ、セーラー服風の衣装に着替えて“恋愛倶楽部”、“美少女”、“チョベリグ”と初期の「妄想系」楽曲を立て続けに披露。不良に恋する少女の曲“ブルーベリーシガレット”ではサングラスをかけて「ツッパリ」になり切り、女の子を好きになってしまった女の子の歌“うそつき”ではアコギをかき鳴らし切なげな表情を見せるなど、曲ごとに全く異なる空気感を醸し出し、少女特有の複雑な心の機微を表現していく。
写真:山川 哲矢
ライブ中盤、ピンクのワンピースに着替えた吉澤が客席を練り歩きながら歌った“逃飛行少女”では、触れずに音を奏でる楽器「テルミン」を演奏したり、“キルキルキルミ”や“ひょうひょう”では歌いながら鉄琴を打ち鳴らすなどアコギ以外の楽器も披露する中、ピアノの音色に合わせて語り出すように歌われた“ラブラブ”では、聴く人の心に入り込んでくる切実な歌声が会場に響き渡り、彼女のシンガーとしての力量を改めて思い知らされる瞬間もあった。
天井から吊るされたミラーボールが光り輝く中、決別への覚悟が綴られた“movie”、“泣き虫ジュゴン”を畳みかけ、春の訪れを感じさせる“雪”で『子供編』の本編は締められた。アンコールでは今週発売されたばかりの新曲“ミューズ”を力強く歌い上げ、ラストは「久しぶりの曲をやりたいと思います」と、夕焼け色のライティングに包まれながら“ひゅるリメンバー”を披露。明日への期待感も含んだ大きな拍手が起こり、1日目が終幕した。
2日目『大人編』ではシックな黒いドレスを身に纏い、1日でずいぶん長くなった髪を1つにまとめた吉澤がステージに登場。ミラーボールの光が煌めくドラマチックなムードの中、前日よりもどこか大人びた表情と艶っぽい声色で1曲目“綺麗”を歌い上げた。
写真:山川 哲矢
『子供編』から15年経った設定の『大人編』でも、再会という形でウィンディが登場し、軽快な掛け合いと寸劇を交えながらライブが進行していく。女子の「毛」の悩みを歌った“ケケケ”では、観客、ストリングスのメンバーも一緒になってサビの振り付けを踊り、続く“月曜日戦争”では「大人って楽しい!」と言わんばかりにステージ上でのびのびとスカートを翻しながら歌う吉澤が、間奏でバズーカ砲を客席に向けて発射するなど、『大人編』序盤にしてすでに会場は2日間で一番の盛り上がりを見せた。
中盤ではカオスな異世界の香り漂う楽曲“ユートピア”をオープニングに、吉澤の「物語の世界」が爆発するゾーンへ突入。“シーラカンス通り”、“ちょっとちょうだい”、“麻婆”、“地獄タクシー”といったおどろおどろしいナンバーがまるでジェットコースターのように次々と繰り出されていく。もはや曲ごとに異なる主人公が憑依しているかのような吉澤の表現力と、歌声・表情だけではなく全身を使った迫力満点のステージングに、客席からは感嘆と興奮が混ざった歓声と、大きな拍手が沸き起こった。
写真:山川 哲矢
『大人編』も終盤に差し掛かると、ウィンディが「そうだ、大切な用事を忘れていたよ。この手紙、子供の頃の嘉代子ちゃんが大人になった私に渡してって託したもの」と、吉澤に手紙を渡す。これは先日の『子供編』で吉澤がウィンディに預けたもので、その手紙には13才の吉澤が大人になった自分へ宛てたメッセージが綴られていた。そんなやり取りから『子供編』、『大人編』という2つのストーリーが交差する形で“一角獣”、“ストッキング”といった、吉澤が子供の頃に抱いていた孤独な気持ちが反映されているナンバーが2曲続けて披露され、本編は一旦幕を閉じた。
アンコールではニューアルバムとツアーの発表を経て「『大人編』ということなので、この曲はやらないとね」と、朝帰りの情景を切り取った楽曲“残ってる”など3曲を披露。しかしステージを降りても手拍子は鳴りやまず、吉澤とウィンディが再度ステージに登場し、ダブルアンコールとして“23歳”を一緒に演奏した。曲中、ウィンディと目を合わせるたびに笑顔を見せていた吉澤だったが、曲が終わると涙を堪えながら震えた声で2日間の感謝の言葉を丁寧に述べた。最後は割れんばかりの長い拍手に包まれて「吉澤嘉代子の発表会」は幕を閉じた。
なお、ツアーは2019年2月10日福岡・都久志会館を皮切りに7都市をまわり、ファイナルは3月17日東京・昭和女子大学人見記念講堂で行われる。
文:渡邉満理奈
スペシャルコンサート「吉澤嘉代子の発表会」@東京国際フォーラムホールC セットリスト
〈6月16日「子供編〉
1.未成年の主張
2.恋愛倶楽部
3.美少女
4.チョベリグ
5.らりるれりん
6.ブルーベリーシガレット
7.ひゅー
8.ユキカ
9.うそつき
10.なかよしグルーヴ
11.逃飛行少女
12.えらばれし子供たちの密話
13.キルキルキルミ
14.ひょうひょう
15.ラブラブ
16.movie
17.泣き虫ジュゴン
18.雪
EN1.ミューズ
EN2.ひゅるリメンバー
〈6月17日「大人編」〉
1.綺麗
2.ねえ中学生
3.ケケケ
4.月曜日戦争
5.手品
6.化粧落とし
7.がらんどう
8.ジャイアンみたい
9.ユートピア
10.シーラカンス通り
11.ちょっとちょうだい
12.麻婆
13.地獄タクシー
14.人魚
15.ぶらんこ乗り
16.一角獣
17.ストッキング
EN1.残ってる
EN2.ミューズ
EN3.東京絶景
WEN.23歳 feat.ウィンディ
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