AK-69、アルバム「無双Collaborations -The undefeated-」オフィシャル・インタヴュー後編到着
6月20日に究極コラボベスト・アルバム「無双Collaborations -The undefeated-」リリースした、AK-69のオフィシャル・インタヴュー後編が公開された。
AK-69 オフィシャル・インタヴュー(後編)
–UVERworldとは“Forever Young feat.UVERworld”に続いて、新録となる“ONE LIFE feat.UVERworld”で、二度目のコラボを展開されましたね。
UVERworldはこれまで誰ともコラボをしてこなかったアーティストなんだけど、“Forever Young feat.UVERworld”で、コラボ・バージンを俺にくれて(笑)。そういう動きが出来た理由は、TAKUYA∞と俺が、人間としてお互いに共鳴しあえたって部分だと思うんですよね。アーティストとして対等に、お互いをしっかりリスペクトしあえているからこそ、このコラボが成り立ったんだと思う。
コラボの第一弾として“Forever Young”を制作して、その後に俺の武道館(「DAWN in BUDOKAN」)だけじゃなくて、彼らの「男祭りライヴ」(「UVERworld KING’S PARADE 2017」)でもその曲を披露したり、そういう、色んなリレーションシップを通じて、またコラボで曲を作りたくてしょうがない状態だったんですよね、それは両者とも。
だって、向こうから「AKくん、そろそろ“Forever Young”歌いたいんで、俺らのライヴに来てくださいよ!」って声がかかれば、俺も「おう!行く行く!」って感じだし、本人同士の関係性がフラットすぎて、お互いのレーベルが困るぐらい(笑)。そういう風に、俺達はお互いに一緒に突っ走ることの出来る関係性だと思うし、「心が共鳴」してるからこそ、最高のコラボレーションが自然に出来るんだと思いますね。
–そして“ONE LIFE feat.UVERworld”は全編英詩という構成になっています。
LAでのレコーディング・セッションの時に作ったので、デモは英語で作ってたんですよね。そのデモをTAKUYA∞に聴かせたら、「ヤバイ!やりましょう!」って、そのまま制作に入れるぐらい、ノリノリで返事をしてくれて。
お互いに全英詩は初めてのチャレンジだったけど、俺たちが初期衝動的に格好いいと思った楽曲をそのまま作ってみて、それをリスナーが聴いた時に同じように感じて貰える可能性があるなら、それをリリースする意味があると思ったんですよね。だから、ある種スゴく大きい規模での遊びが、この曲では出来たと思いますね。
–そして“蒼天の果てに feat.CITY-ACE”は、AKさんの立ち上げた事務所:Flying B Entertainmentに所属するCITY-ACEをフィーチャリングに迎えた楽曲になりました。
元々はアニメ「蒼天の拳 -REGENESIS-」のオープニング・テーマということで描き下ろした曲だったんですが、TV尺からフル尺に再構成する時に、CITY-ACEとのコラボがパッと浮かんだんですよね。
この曲にCITY-ACEがメロディをはめてくれることで、新しいアプローチが生まれると思ったし、それが、ヒップホップ・シンガーとしてのCITY-ACEなら形に出来るだろうなって。結果、すげぇ締まったと思うし、どんハマりしてくれたと思いましたね。
–新録の3曲を分析すると、“Brave”という日本の音楽シーンの歴史と王道を感じる楽曲、“ONE LIFE”というロックの先端を進む楽曲、そして“蒼天の果てに”というヒップホップを根本においた楽曲と、それぞれに大きな方向性がありますが、その3つのファクターは、AK-69の動きともリンクしているようにも感じます。
まさにそうですね。ジャンルを超えたレジェンドとの大きなコラボ、ロック畑とのセッション、ヒップホップ・アーティストのAK-69としてお茶の間や音楽シーン全体に切り込んでいく姿勢、という意味でも、この3曲は大きな意味があると思いますね。
–お茶の間やポップス・シーンに切り込むという意味では、倖田來未“Bling Bling Bling feat. AK-69”などの楽曲も印象に残ります。
くぅちゃんのファン層や規模感から考えると、「こういうヴァースを歌って下さい」と指示があってもおかしくは無いと思うんだけど、「AK色で染めて下さい」っていう依頼だったし、事実、俺の書いた内容をそのまま認めてくれたのは嬉しかったですね。
それによって良い化学反応も生まれたと思います。しかも、俺がガイシホールに初めて立ったのが、くぅちゃんのライヴのゲストでだったんですよ。「THE RED MAGIC RELEASE TOUR FINAL」でソロとしてガイシホールというアリーナに立つ前に、免疫をつけて貰ったと思うし、そういう意味のあるコラボになったと思いますね。
–ヒップホップ・サイドの楽曲も、サウンド的にも内容的も非常にバラエティに富んだ楽曲が収録されていますね。
TERRYとの“999 featuring AK-69”も思い入れが強いし、YORKとの“FIND YOU feat.AK-69”は、俺がNYに武者修行に行ってた時期の後半に作ったんですね。
だから、今書けって言われたらなかなか出てきづらい英語の言い回しがあったり、あの曲のヴァースは、俺がNYに行ってた成果が出てると思いますね。それから、“Let me Know feat.AK-69 & KOHH”もやはり重要ですね。それはプロデューサーがタイプライターだった事も含めて。
–それは具体的には?
00年代中盤の、俺がアンダーグラウンドで名前を大きくしていった時期に書いた、「Guess Who’s Back ?」や「Follow Me」をプロデュースしたのが、タイプライターだったんですよね。当時、俺とタイプライターのタッグは、一つのヒットの法則だった。そのタッグで久々に作ったのが“Let me Know”なんですけど。実は、最初に俺が出したメロディはタイプライターに「そのメロディは違う」ってダメ出しされたんですよ。
俺も自信がないメロディだったらそれに納得してたけど、気に入っていて自信のあるメロディだったから、「はあ?」って(笑)。でも、頑としてタイプライターは「もっと良いメロディがAKなら出せる」って退かなくて、それで俺も意地で書いたのが、あの曲のメロディだったんですよね。
そしたら、タイプライターもKOHHも感動してくれて、結果、素晴らしい曲になったと思う。それはスゴく記憶に残ってるし、俺の才能を更に引き出せるように「プロデュース」してくれたと思いますね。
–ヒップホップ・ヘッズとしては、TOKONA-Xの所属したグループ:イルマリアッチの生み出したヒップホップ・クラシック「ビートモクソモネェカラキキナ」と「Young Gunz feat. Shigechiyo & Kent」をオマージュした、「ビートモクソモネェカラキキナ (2016 REMIX) feat.Zeebra & AK-69」の収録も印象に強いですね。
あの曲の制作をジブさん(ZEEBRA)と一緒に出来たというは、本当に感慨深かったですね。俺たちの中でヒップホップのキングといえば、やっぱりジブさんだし、DJ RYOWによって新たな息吹の吹き込まれた意味のある曲でタッグが組めたのは、やっぱり嬉しかった。
トコナメ(TOKONA-X)が生きてた当時、俺らも良い意味で「ZEEBRAをまくってやりたい」って野望を、ストリートで語ってたんですよね。あいつは惜しくもこの世にはいないけど、あいつが持ってたDEF JAMの看板を俺がいまは背負って、あいつの曲を元にして、俺がラップして、DJ RYOWがバックアップして、そこにZEEBRAを客演に迎えて、この曲が完成したっていうのは、すげぇ意味があると事だと思いますね。
しかもヒップホップ・ファンの子たちが、「久々に俺のイケイケなヴァースを聴いた」っていうので、湧いてくれたのも嬉しかったですよね。俺としても、昔東京や他の地方に対して思ってた「名古屋だ、かかってこい」っていう気持ちを思い出してラップしたし、自然と若い時の熱いノリが出せたと思うし、そういう気持ちにさせてくれた曲ですね。
–また、配信では DJ HAZIME制作のAKLO, PUNPEE, AK-69 による「MY STYLE」など、CDには収まりきれなかった曲もリリースされていますね。
そうやって色んなジャンルのアーティストや、色んなタイプのラッパーが参加してくれたり、参加させてもらった事を、再確認する盤になりましたね。ただ、そういったジャンル分けや棲み分けを超えて大事なのは、「音楽力」だと改めて思いましたね。
俺自身、誰かに俺の音楽を見せたときに、認めざるを得ない、音楽的な説得力を持たせないといけないと思ってるし、こういう幅広い参加陣と制作出来たのは、それが出来てるんだと自負になりました。
作品のクオリティ、ライヴでのパフォーマンス、出で立ちや雰囲気、そういう全てが「アーティスト力」「音楽力」だと思う。その上で「いつだってAK-69であること」が作品を通して打ち出せていると思うし、それを発揮してるからこそ、こうやってキングとして今ここに居れるんだと思いますね。
–さらに海外勢とのコラボ楽曲も配信には収録されていますね。
そうですね。改めてDJ Khaled, Fabolous, Fat Joeって冷静に考えるとヤバすぎるメンツだなって。でも、これも俺がNYで武者修行して、各々リレーションシップを取りながら実現出来た事なので、俺にしか出来ないコラボであると自負してますね。
–これからのコラボでイメージしている事はありますか?
ずっと言っているのは、尾崎豊さんの音楽とコラボをしてみたい、という事。それがサンプリングなのか、どういう形なのかは全く決めてはいないけど、尾崎さんの音楽に新たな生命を吹き込めるような機会があったらな、っていうのは、ガキの頃から思ってる夢ですね。
尾崎豊さんが俺のアーティストとしての本当のルーツだから、それがもし叶うなら嬉しいですね。それから、真っ向勝負でコラボをしてみたいのは、永ちゃん(矢沢永吉)。ガキの俺が言うのはおこがましいけど、育った時代は違えど、「成り上がって」トップに辿り着いたという部分では、絶対に共鳴出来ると思うんですよね。そんなコラボが出来れば、本当に嬉しいですね。それからヒップホップのコラボだったら、やっぱりJAY-Zっていうのはあるし……言い出したらキリがないですね(笑)。
–ではソロの動きはいかがでしょう?
ここでコラボの形を提示出来たので、次は「これがAKだ」っていうソロを、用意してますね。ToshlさんやUVERworldとのコラボを通して俺に注目してくれる人が増えたなら、そういった人に「これがAKだ」っていう衝撃を、俺のソロで、音楽で与えたい。それが出来るようなものを、近い内には見せられると思いますね。
インタヴュワー:高木JET晋一郎