クミコ、介護世代の心を揺さぶり“世界が涙する詩”を歌う「最後だとわかっていたなら」ショートアニメーション公開
クミコが、3月7日にリリースした新曲「最後だとわかっていたなら」のショートアニメーションを公開した。
「最後だとわかっていたなら」は、原作者であるアメリカ人女性のノーマ・コーネット・マレックが、1989年に10歳の息子を亡くした際に綴った一篇の詩で、原作タイトルは「Tomorrow Never Comes」。2001年に起きたアメリカ同時多発テロ9.11で亡くなった消防士の手帳に書かれていた詩として注目を浴び、テロの追悼集会でも朗読されたことで“世界が涙する詩”として知られるようになった。クミコ自身も、90歳になる両親を3年にわたり介助する日々を過ごしており、この詞に感銘を受けたことから新曲「最後だとわかっていたなら」を歌っている。
公開されたショートアニメーションは、ひとこま漫画家、アニメーション作家、イラストレーター、絵本作家など多種の肩書きを持ち、毎日映画コンクール大藤信郎賞、紫綬褒章受賞などの受賞歴をもつ古川タクが担当。ディレクターは最先端のクリエイティブディレクターでありリリックスピーカーを開発した斉藤迅が務め、古川のアナログ感溢れる線画のアニメーションと、リリックスピーカーの歌詞ビジュアライズのデジタル技術を駆使した斎藤のディレクションが作品を表現する。介護をする側・介護をされる側の両面からの姿が描かれた映像は、介護世代の心を揺さぶる感動の作品に仕上がった。
クミコは「これまで音として唄っていたこの歌が、古川タクさんとリリックスピーカーの皆さんのおかげで、立体になりました。立体より宇宙になったといったほうがいいかもしれません。人が生まれて死んでいく。その自然の摂理をこの動画は静かに優しく教えてくれます。この作品を見てから、日常が変わりました。老いた両親といて、心がざわつきそうになる時、すぐにこの動画を思い出すのです。そうするとなんだか愛おしい思いが溢れて、穏やかな気持ちになれるのです。この作品に救われたのは、誰より私自身かもしれません。そして、この作品が、できれば私と同じ、いえ、それぞれの立場で一生懸命に生きておられる皆さまの、心のオアシスになることを願っています。」とコメントを寄せている。
同映像は、クミコが6月30日に東京・EX THEATER ROPPONGIで行うコンサートにてライブでの初披露が予定されている。また、EXシアターのコンサートが完売につき、10月には東京・Billboard Live TOKYOでのライブも決定。
斉藤迅 コメント
この詩は、クミコさんがご両親のことを思い浮かべながら歌っている曲。僕はそんなエピソードを聞いてから曲を聴いたもので、おもわず泣きそうになった。そして、すぐに北海道の地元の両親にあんまり会ってないな、もっと会いたいなと思った。仕事が忙しい忙しいと言っておらずに、たまにはお盆に実家に帰って一緒にジンギスカンでも食べたいと思った。だって、人生、いつなにが起こるかわからない。下手したら、子供の時は永遠に繰り返される感じていた、夏になったら庭でジンギスカンを食べる、スイカを食べる、そんなことが、ふと気づいたら二度と無いのかもしれない。そんな当たり前のことを思い出し、心がヒヤッとした。この歌の面白いところは、聴いた人によって思い浮かべるのが両親だったり祖父母だったり子供だったり孫だったりそれぞれ違うのに、一様に、この時間を大切にしなきゃ、という気持ちにさせるところだ。ご一緒させていただいたタクさんとは世代も違うので、製作中に頭に浮かべている対象がそれぞれ違うのに、それでもひとつの世界観を作れている、それはこの歌のもっている普遍性のおかげだろう。ふたつの世代で介護や老後というテーマと向かい合うのがとても貴重な体験だった。そしてそれを話す中でタクさんの人生を垣間見、その生き方に同じ製作者として深く感動した。この歌はいろんな人に人生の時間や人生、自分の大切な人を想起させるのだ。多くの人が、この歌をきいた直後、思わず自分の大切な人に電話してしまうだろう。お盆帰るよ などなど。