K(ex.BORN)、ソロ活動2周年記念のワンマン公演灼熱のステージを展開 ライブレポート
BORNの解散から3ヶ月後となった2016年8月19日、Kはソロアーティストとして初ライブを行うため東京・新宿ReNYの舞台に立っていた。あれから2年の歳月が経過。8月19日、Kは「K 2nd Anniversary ONEMAN LIVE『TIME OF AWAKENING』」と冠した公演名のもと東京・高田馬場CLUB PAHSEのステージにいた。
この日は、「K LIVE MINI ALBUM 2018.05.24渋谷WWW『未発表音源集』」と名付けた未発表ライブ音源集も会場及び通販限定で発売。この公演では、同作品へ収録した曲たちも含め、Kの2年間の歩みを集約したステージングを見せてくれた。
胎動…その音色は、何かが起きようとしている調べ…いや、報せだった。猛々しい音を響かせたSE「afect」に乗せ、ギターのCazqui(NOCTURNAL BLOODLUST)と千歳(Chanty)、ベースのIvy、ドラム匠という個性の強いメンバーたちが次々と舞台へ登場。
「全員で派手に演ろうぜ!」。鼓膜をつんざく轟音ギターの音を合図にKが叩きつけたのが「Rebirth」だ。みずからの生きざまを示すように、轟音の翼を羽ばたかせた音楽が、フロアー中の人たちの感情を一瞬で昂らせた。拳を振り上げ飛び跳ねる観客たち。音の翼は心に、意識へ、自分の弱さを超えたその先にある楽園へ羽ばたく力を授けてゆく。
轟く音を響かせた演奏は、さらに力を増す。破壊的な衝動を携えた演奏を背に、煽るように「fame」を歌うK。挑発的なその姿は、すっかりヴォーカリストとしての存在感を放っていた。
「2年前の新宿ReNYのライブから2周年です。今日も、思いきり暴れて帰ってくれよ」。その言葉を示すように、これまで以上にラウドな音を背負い、Kは「Raging pain」を突き付けた。
身体をつんざく刺激的な音に触発され、理性がどんとん剥がれていく。気取った装いなど捨て去り、昂る気持ちのままに頭を振り、野太い声を張り上げる観客たち。破壊的な演奏が、言葉にならない嬉しい痛みを身体中へ刺してゆく。
地を這う重いベース音を合図に、重厚なサウンドを活かしながら、Kは演奏の速度をさらに上げだした。爆走する「Higher」へ飛び乗り、一緒にブッ飛べばいい。激しく吠える演奏に身を、心を預けた観客たちは、疾走する楽曲から振り落とされまいと激しく跳ね続けていた。終盤にはフロアーへ巨大なサークルモッシュも誕生。理性…そんな言葉はどんどん記憶から消し去ってしまえ。
トリプルギター編成で叩きつけたのが、「HARMFUL」。この曲では、K流のロックンロールなスタイルを提示。激しくドライブする演奏に飛び乗り、K自身もニヒルな笑みを浮かべ、ビートの上でメロディアスな歌を駆け巡らせた。まさに、イカしたロックンロールなセッション風景じゃないか。
ダウナーでノイジックなSEに乗せ、自由に音を重ね合うメンバーたち。その荘厳な音色は、次第に歪んだ音を吐き散らすヘヴィでミッドグルーヴな「Mirror」へと深化。奈落へ引き込む重苦しく歪んだ演奏の上で、Kは悲哀を込めた歌声をメロディアスに響かせてゆく。
深く深く身体を沈める楽曲の上で流れるKの歌声は、闇や絶望の中に見えた希望の光や手綱のようにも感じれた。なんて切なくも美しさを届ける歌だろう。歌い手Kとしての魅力の一面を味わえた気分だ。
深遠な世界で重くゆったりとそよぐ音色。重苦しい空気に優しく光を注ぐように、Kはメロウで哀愁味を抱いた歌声を魅力に、小さな抑揚を覚える歌「Lily」を射し込んだ。心を支配していた闇が次第に薄れてゆく。
Kが伸ばした歌の手に導かれた僕らは、何時しかみずからの身体へ輝く光をまとっていた。Kが、僕ら自身の心へ希望という光を次々と放ちだす。その光が膨らみ花のように広がることへ喜びを覚える中、僕らは口元を優しく揺らしていた。告白にも似たKの想いに心奪われたフロアー中の人たちが、舞台上のKをジッと見つめながら、心の中で彼に想いの手を伸ばしていた。
「解き放つようにSTORY」。光をまとった演奏が、Kの優しい歌声を合図に一気に強烈な輝きを放ちだす。モノクロな世界をカラフルに染め上げるように、失くしたいろんな心の欠片を、「STORY」が希望という想いで修復してゆく。「STORY」へ触れるたびに僕らは、明日へ向かって歩む気持ちになれる。沸き上がる強い感情を激しい演奏に乗せ吐き出すKの歌声に触発された観客たちが、光のシャワーを浴びながら、眩しい想いに手を伸ばし続けていた。
熱狂を連れたまま、演奏は「4/4 party」へ。Kが、観客たちがタオルを振りながら、もっともっと熱い世界へ飛び込もうと共にはしゃぎだす。理屈も屁理屈も全部消し去り、舞台上から放たれるロックンロールなパーティナンバーへ身を預け、一緒に騒げばそれでいい。楽しむこと以外、他に何が必要だと言うんだ。だって、ここはライブ会場だぜ。
轟く「雀羅」の演奏に合わせ、観客たちを煽るK。ふたたびギターを置いてヴォーカリストに専念したKは、ラウドなパーティロックナンバーをぶつけ、観客たちを暴れゆく熱狂の渦の中へ連れだした。BORNの頃から得意としていた観客巻きこみ型の暴走ナンバーは、Kにとても似合う戦闘服だ。「YEAH! YEAH! YEAH!」と心のままに叫び、騒ぎまくれ。それが、この世界で楽しむ最強のルールだ。
続く「the beatiful hate」は、まさに肉体の限界へ挑戦する激烈ナンバー。ふたたびギターを手にしたKは、意識を昇天させる勢いでクレイジーな爆音曲を豪快に叩きつけ、観客たちを熱狂の中へ巻き込んでゆく。途中、機材トラブルからもう一度演奏を演り直すことにはなったが、むしろ、そのハプニングが観客たちの暴れたい感情へさらに火を注いだ結果に。誰もが、限界のその先へ飛び込む勢いで騒ぎ続けていた。
流れだしたのが、気持ちをカラッと開放させる超アッパーでパンキッシュなロックチューンの「PP」。途中からラウドな姿に転化してゆく様もイカすじゃない。ギターを置いたKは、台の上に立ち、今にも客席へ飛び下りんばかりの姿で観客たちを熱く熱く煽り続けていた。
Kの挑みかかる姿勢へ、同じく全力で頭を振り、手バンしながら想いをぶつける観客たち。途中、サポートメンバーの千歳がKの変わりに観客たちを煽る場面も登場。勢いの止まらない千歳は、客席へダイブどころ、そこいら中で叫び狂っていた。何時しかフロアーには、今年の猛暑以上の熱気が生まれていた。
最後にKは、彼自身を応援してくれるファンたちへの想いを、照れくささを隠すため激しい音に乗せて伝えようと「深愛」を届けてきた。Kが心に何時も秘めている想いを、「ただ君に会いたくて」「愛してる」というシンプルだけど素直な気持ちを、彼は歌に乗せ届けてゆく。照れ屋なKの精一杯の告白?!だからこそ、それを歌に乗せて伝えるしか出来ない不器用さが微笑ましいじゃない。
アンコールでも、火のついた勢いはおさまるどころか、さらに激しさを増してゆく。誰もが爆走する「Screaming for〜」に身を預け、頭を振り乱す。サビではキャッチーな歌に合わせ一緒に口づさみながらも、終始、爆裂した演奏に合わせ、満面の笑顔で無邪気に跳ね続けていた。
その勢いは、とんでもなく進化した姿となって舞台上から解き放たれた。倍増した勢いを持って、Kは「Higher-高速Ver-」をブースト。K自身も頭を振り、客席へ飛び込まんばかりの姿勢で歌をぶつけていた。中盤に生まれたすさまじいヘドバンの大波。猛り狂った演奏が、身体をガツガツ直撃する。何時しかフロアーではくるくるまわりはしゃぐ人たちも。これぞ、最高の熱狂パーティソングじゃないか。
最後にKが叩きつけたのが、「MY WORLD」だ。壊れた世界の中、これからも一緒に歩むことを確かめるように。何より、激しさの中へ温かみを覚える歌声や演奏を通し、Kは、はしゃぐ観客たちの熱した感情をしっかりと抱きしめていた。
止まないアンコールの声を受け,予定外に行った二度目のアンコールでは、ふたたび「Rebirth」を通し、観客たちとヘドバンや折り畳みなど熱狂のバトルを再開。感情的な演奏を剥きだしたままに叩きつけながら、共に絶叫の果てへ身を投じていった。
Kが、ファンたちが、この2年間の日々を共に歩んできたことへ喜びを覚え、また一緒に歩み続ける約束を確かめあった、この日。
今後のKだが、12月22日に東京・高田馬場AREAを舞台に「-The Kingdom Fes,-vol.4」の開催を発表。来年2月には東京・TSUTAYA O-WESTでも何かしら仕掛けてゆくようなので、今後の発表を楽しみに待っていよう。
PHOTO:五十嵐あい
TEXT:長澤智典
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