東京パフォーマンスドール、映像と融合し進化した未来型ダンスサミットが大盛況

アーティスト

撮影:Jumpei Yamada

6人組ガールズグループ・東京パフォーマンスドール(通称TPD)が、9月1日に横浜・DMM VR THEATERにて「東京パフォーマンスドール DMM VR THEATER presents Future LIVE〜複合現実〜 vol.4 “ダンスサミット VR”」を開催した。

これは、“ホログラフィック映像技術とリアルなアイドル達が融合した未来型ステージ”を標榜する「DMM VR THEATER presents Future LIVE〜複合現実〜」シリーズの第4弾。

第1回目開催の頃からシリーズに関心を寄せていたTPD側と、TPDのキャスティングを考えていたシアター側の“相思相愛”が、ついに実った形だ。

チケットはもちろんソールド・アウト。

超満員の観客は、DMM VR THEATERでしか体感することのできないホログラフィック演出による新しい形のダンスサミットに惜しみない拍手と声援を送った。

準備期間には約2か月が費やされた(もちろんその間には「TOKYO IDOL FESTIVAL」や「@JAM EXPO」などの大フェスがあった)。

メイン・テーマは「映像とTPDのシンクロをより美しく見せること」。

メンバーとコレオグラファーは、フォーメーション、それぞれの振り、顔、手、足の角度などをいつも以上にシビアに考え、振り付けの精度を高める単純作業を繰り返し、映像スタッフはTPDのダンスに適合する映像の作成に精力を傾けた。

メンバー6人は会場でのリハーサル中、客席からステージがどう見えるのかを半分ずつに分かれて確認しあったりしながら、いままでにない体験にワクワクした様子だったという。

メンバー全員(高嶋菜七、上西星来、櫻井紗季、浜崎香帆、脇あかり、橘二葉)のソロ・ダンスをフィーチャーするオープニング曲「Neo Elements」から、“VR効果”は抜群だった。

さまざまな光がメンバーや客席を包み、壁や天井も含めたシアター全体を照らし出す。白のブラウス、黒のスカートというモノトーンの衣装と、カラフルなライトが雄大なコントラストを描きながら目に飛び込んでくる。

続く最新シングル曲「Shapeless」は、まさにこの場にぴったりのセレクション。イントロ部分の無機質的な振り付けで特に際立つ“AI感”“ロボット感”が、シアター独自の演出を得て、さらにリアルに伝わってくる。まるでSFの街に紛れ込んだような気分になったのは、ぼくだけではないはずだ。

人気曲「逆光×礼賛」「TIME」が新体制TPDで披露されたのは今回が初めて。4月19日のワンマン公演を最後に9人から6人になったのだが、個人的には「人数」よりも「奇数が偶数になったこと」が曲の見せ方に大きく影響しているように思えた。この2曲は、新しいフォーメーションによって、確かに新たな魅力を得た。

続いて、このライブのために作られた「Honey! Come Come!」〜「Kiss × Bang Bang!」〜「現状打破でLove you」のキュートなメドレーゾーン。

カジュアルでカラフルな衣装に着替えたメンバーのまわりに車のイラストや歌詞(マンガのような“フキダシ”つき)などが映し出され、曲がもともと持っている“かわいい”世界観に立体感が付け加えられていく。

浜崎と橘が「BURN ME OUT」でダンスの火花を散らすかと思えば、上西と脇のユニット・赤の流星は「エデンの雨」で客席にエキゾチックなうるおいを与える。

この曲は6月29日に行なわれた赤の流星のワンマン「金曜日の流星」の第1回目で初公開されたが、今回、満を持してTPD公演のセットリストに加わった。

雨つながりということか、次は「Raining」。櫻井のメイン・ボーカルで年上の男性への叶わぬ思いを歌った曲だ。傘を使った振り付け、浜崎と橘による安定感のあるバック・コーラスも印象的だった。

ユニット・コーナーのトリをとるのは、もちろんリーダーの高嶋。バイリンガルの彼女は今回、全英詞のオリジナルナンバー「be alright」を選んだ。熱唱する高嶋の姿と、ステージに映し出される和訳詞の両方が楽しめたのも、このライブならではの特典といえる。

その後再び6人が登場し、先代TPD人気曲「CATCH!!」を椅子を使ったパフォーマンスで披露。

シングル「TRICK U」のCDジャケットやMVに使用した“大人セクシー”衣装で実に艶っぽいパフォーマンスを繰り広げ、「TRICK U」と続く(鎖が映し出される演出も刺激的だった)。

「FREEDOM」「SURVIVAL!!」「DREAM TRIGGER」も6人用のナンバーとして練り直され、すっかり消化されきったあとでの、セットリストへの復活だ。

それまで映画を見るように着席で楽しんでいた観客も、リーダー高嶋の煽りで、「FREEDOM」から総立ちになり、さらなる盛り上がりへ。

“まだまだそんなものじゃないでしょ”と追加で煽りを入れる高嶋、それに一層のパワーで応えるファンたち。そのエクスタシーはアンコールになっても続いた。

タオル曲「Are you with me?」が始まり、メンバーの声が聴こえてきても、ステージ上には誰もおらず、“恋の花火”という歌詞フレーズそのままに花火が映し出されている。

何がどうしたんだと思っていたら、6人がステージと客席の間に来て、通路で歌い始めたではないか。ヴァーチャル・リアリティが、一気にリアリティに変容したような感覚だ。

ステージに戻った6人は、これも久しぶりとなる「ナガレボシ」を披露。17年3月に中野サンプラザで行なわれたワンマン公演でもひときわ強い印象を残したナンバーが、星をイメージした幻想的な映像と共に届けられた。

TPDと映像は、プロジェクションマッピングを使った舞台公演「PLAY×LIVE「1×0」」(プレイライブ「ワンバイゼロ」、第1回は2013年8月)以来の“深い仲”。今回も劇場の特性を生かした演出と選曲、そしてキメ細かなパフォーマンスでファンを魅了しつくした。

TPDは最高の状態で2018年の残り3分の1に突入したといっていい。今月末から3月まで続く定期ワンマンライブ「渋谷 LIVE CIRCUIT」、ニューアルバムのリリース(11月)など、嬉しい話題が続く。

文:音楽ジャーナリスト/原田和典
撮影:Jumpei Yamada

セットリスト
1. New Elements
2. Shapeless
3. ダイヤモンドは傷つかない -Rearranged ver.-
4. 逆光×礼賛
5. TIME
6. Honey! Come Come!〜Kiss x Bang Bang!〜現状打破でLove you(メドレー)
7. BURN ME OUT
8. エデンの雨 / 赤の流星
9. Raining
10. be alright
11. CATCH!! -Rearranged ver.-
12. TRICK U
13. FREEDOM
14. SURVIVAL!!
15. DREAM TRIGGER
16. BRAND NEW STORY
17. SHINY LADY
EN1 .Are you with me??
EN2. ナガレボシ