葉加瀬太郎、12万人動員予定のコンサートツアーが開幕
今年50歳迎えた葉加瀬太郎が、生誕50周年を記念して8月1日にリリースした初の「ALL TIME BEST」アルバムを引っさげた全国50公演、12万人を動員予定のホールコンサートツアーが幕を開けた。
同ツアーは8月1日に発売されたベスト・アルバム「ALL TIME BEST」を携えて行われる。
彼の50歳を記念したこのアルバムは通常盤(CD1枚16曲入り)、豪華盤(CD2枚組33曲入り)、そしてローソンHMV盤(CD3枚組50曲入り)というラインナップ。これまでのキャリアを総括した初のオールタイムベストであるだけでなく、代表曲「情熱大陸2018〜フルオーケストラ ヴァージョン」「Etupirka2018〜デュオ ヴァージョン」の新録2曲も収録されている。
フル・アコースティック・サウンドの限界に挑戦した昨年の「VIOLINISM III」ツアーとは雰囲気を変え、今年はアコーシティックだけではなくエレクトリック楽器やコンピューターも使ったいつものハイブリッドなサウンドにさらに磨きをかけての登場だ。
バックを固めるメンバーは同じHATSレーベルの盟友、鳥山雄司(ギター)、葉加瀬と同じく東京芸大出身の榊原大(ピアノ)と柏木広樹(チェロ)、リズム・セクションにはフュージョンやJ.POPからも引っ張りだこの川崎哲平(ベース)と玉田豊夢(ドラムス)そして仙道さおり(パーカッション)、さらに大島俊一(キーボード・サックス・フルート)とクライズラー&カンパニー時代から葉加瀬の右腕的存在の八巻誠(マニュピレーター)という鉄壁の布陣。
コンサートは「Another Sky」でスタート。ヴァイオリンとチェロで始まり、続いてヴァイオリンとガット・ギター、最後にヴァイオリンとピアノという構成の贅沢なデュオ・ヴァージョンだ。
そしてバンド全員による「A Different Day」「陽のあたる家」、MCをはさんで「ひまわり」「WITH ONE WISH」と人気曲が冒頭から惜しげもなく演奏される。
ここでギタリスト/プロデューサーである盟友、鳥山雄司を紹介。曲は榊原のピアノ・ソロに導かれ、「Time and Time again」へ突入する。じつはこの曲、鳥山雄司が参加しているユニット、ピラミッドによる発売されたばかりのアルバム「PYRAMID 4」からの、葉加瀬太郎をフィーチャーしたナンバー。もちろん、鳥山雄司のエレクトリック・ギター・ソロも聴きどころだ。
続く「冷静と情熱のあいだ」を経て展開する軽めの物販紹介も進行上の程よいアクセント。そして前半最後は「水族館〜春〜新世界」とクライズラー&カンパニー時代のクラシック・レパートリーをメドレーで爽やかに締めくくった。
休憩をはさんで始まった後半は、ビリンバウを持って舞台前方に登場した仙道さおりをフィーチャーしてエキゾティックにスタート。仙道はバラフォン、ガラブッカと民族的なパーカッションを操り、中東的雰囲気を持つ「ARAB EXPRESS」を鮮やかに飾って見せた。
そして波のSEも気分を盛り上げてくれる夏気分満載のリゾート・メドレー「船上にて〜シシリアン セレナーデ〜長崎夜曲」が、これまた爽やかでいい。この夏、バカンスに行けなかった人へのタイムリーな贈り物であるかのような粋な計らいだ。
続く「エトピリカ」から、分数ヴァイオリンを用意して観客を舞台に迎えての〜ヴァイオリンを弾こう〜も和めるコーナーだった。
さあ、いよいよコンサートも終盤を迎える。仙道のバウロンとタップ、榊原のピアニカをフィーチャーした「One pint of love」から、コンサートのハイライト「情熱大陸」へと一気にヒートアップ。コンサート・グッズである「ハカセンス」をメンバー全員が振り、大いに盛り上がった。
メンバー全員の高い演奏能力でじっくり聴かせる要素はもちろん、お祭りとして楽しめることにもこだわったコンサートだ。
そして、アンコールは美しい音色とメロディが印象的な「瑞風」と「万讃歌」。ヴァイオリンという楽器は本来、クラシック音楽の楽器である。そのヴァイオリンの可能性を探り、インストのマーケットを独自な形で開拓していった葉加瀬太郎の功績は大きい。たとえクラシック音楽に詳しくなくても、だれもがポピュラー音楽という共通の領域でヴァイオリンの音色を楽しめる。これが葉加瀬太郎の世界だ。
全国50公演にもおよぶこのツアーを葉加瀬太郎は12月30日の東京・日本武道館公演まで全力で駆け抜ける。葉加瀬をはじめメンバー全員が奏でる素晴らしい演奏と音色、軽快なトーク、そして楽しさ満点の舞台演出。葉加瀬太郎流のエンタテインメントを体験することができる。