Mrs. GREEN APPLE、幕張メッセでのホールツアー最終公演をWOWOWで10/25放送
Mrs. GREEN APPLEのホールツアー最終公演、千葉・幕張メッセ国際展示場でのライブを10月25日 21:00よりWOWOWで放送する。
Mrs. GREEN APPLEが4月にリリースしたアルバム「ENSEMBLE」を携えて開催したバンド史上最大規模の全国ツアー「ENSEMBLE TOUR ~ソワレ・ドゥ・ラ・ブリュ~」のファイナルとなった幕張メッセ公演。およそ3時間にわたり、全29曲が演奏された濃厚なライブは、ブロードウェイミュージカルへのオマージュを込めた華やかな演出がふんだんに盛り込まれ、Mrs. GREEN APPLEにしか作ることのできない世界が広がっていた。
開演を告げるブザーが鳴り響くと、紗幕に5人のシルエットが浮かび上がった。1曲目「Love me, Love you」のイントロにあわせて、バサリと紗幕が落とされると、ステージ上の階段のうえに、演奏隊の正装で決めた大森元貴(Vo)、若井滉斗(Gt)、山中綾華(Dr)、藤澤涼架(Key)、髙野清宗(Ba)の5人が姿を現した。そして、軽やかなメロディにあわせてジャンプをした「キコリ時計」、疾走感溢れるロックサウンドのなかで若井と藤澤のソロプレイが炸裂した「愛情と矛先」を畳みかけると、会場のボルテージは早くも最高潮へと高まっていく。
「ENSEMBLEツアーへようこそ!半端ない景色ですね」。嬉しそうに語りかける大森の言葉のあと、メジャーデビュー曲「StaRt」で会場はハンドクラップ&シンガロングで一体になる。最新アルバムのツアーだが、今年結成から5年を迎えたミセスがこの場所に辿り着くまで、大切に歌い続けてきた曲たちが惜しげもなく披露されていった。
エレクトロなサウンドにのせて藤澤がダンサーと共にキレのあるダンスを見せた「Oz」、傷ついた心に寄り添うようなミディアムテンポ「日々と君」など、前半はメンバーの確かな演奏力を主軸にしたバンド感のあるシーンが続いた。そこから中盤にかけてはスケール感のある演出で、幕張メッセに“音楽のテーマパーク”のような空間が築き上げられていく。
紗幕でステージ上をカフェ風に仕立て、ゆったりと聴かせたジャズナンバー「Coffee」では、髙野が奏でるコントラバスが大人っぽいムードを醸し出すと、ステージに炎が燃え上がったアグレッシヴなロック「ツキマシテハ」、さらにトロピカルハウスなイントロが心踊る「WanteD! WanteD!」を経て、お客さんの頭上を色鮮やかなレーザーが激しく交錯した「うブ」や「WHOO WHOO WHOO」といったEDMナンバーを連発。ジャンルの壁を自在に行き来するミセスの楽曲は、決してロックバンドという枠で収まりきるものではない。
ライブの終盤は、「Mrs. GREEN APPLEは今年で結成5周年になります」と言うと、客席からは「おめでとー!」と祝福する声が湧き上がった。「5年でここまで来られるとは思ってない……って言うと嘘になるけど(笑)」と冗談っぽく言いながら、集まったお客さんに感謝を伝えた大森。「ENSEMBLE」という作品について、「悲しくて、辛くて、苦しくて、寂しい。あんなに華やかなアルバムなのに、作家の僕はそういう気持ちを抱いてます。だから、こんなに素敵なキラキラした衣装を身にまとって、こんなに素敵なステージを組んでもらわないと、エンターテインメントとして成立しないんだと思います」と語りかけた。
続けて披露された、「ENSEMBLE」というアルバムのなかでも、特に異彩を放つ楽曲として届けた、愛と悲しみのピアノバラード「They are」が素晴らしかった。たとえ表面的には華やかに見えても、ミセスの楽曲には、誰もが胸に抱く孤独や寂しさが否応なく貫かれている。そこに共感するからこそ、彼らの音楽は同世代を中心に多くの支持を集めているのだ。ライブのラストはミュージカルのような華やかなサウンドにのせて、ピエロ風のダンサーが踊った「PARTY」と、ライブの幕開けも飾った2度目の「Love me, Love you」でフィニッシュ。
ミセスが5年間で培ってきたすべてを注ぎ込んで完成させた、悲しみを内包したエンターテインメントは、ハッピーだけど、切なくて泣きたくなる。そんな忘れられない時間だった。