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CIVILIAN、ファン熱狂の2018年最後のワンマンツアー「again&again」を開催

アーティスト

CIVILIAN「again & again」

CIVILIAN(ex.Lyu:Lyu)が10月11日に東京・渋谷WWW Xで、最新シングル「何度でも」を冠にしたワンマンライブ「again & again」を行った。

バンド改名2周年を記念したワンマンライブ「CIVILIAN 2nd Anniversary Live“TWO”」から3ヶ月ぶりとなるワンマンライブ。かなり精力的なライブ活動を続けている彼らの原動力になっているのは、「どうしたらお客さんに楽しんでもらえるか?」という純粋な思いだろう。少しでも楽しんでもらいたいという彼らの気持ちは、この日のオープニングに最も表れていたのはないだろうか。

開演前のステージには薄い紗幕が吊るされていた。19時になると場内が暗転し、スクリーンには青い水玉に続いて、バンドのロゴが白抜きで投影され、“L”が真っ赤に染まった。と、同時にオープニングナンバー「セントエルモ」が始まると、スクリーンにはかすかに陽の光が差し込む水中が映し出されていた。

コヤマの歌声に合わせて歌の言葉はプカプカと浮いていき、やがて水面(もしくは大気圏)を突破し、胸の中いっぱいに新鮮な空気が入り込む。ラップのように言葉が詰まった速いパッセージのロックナンバー「ぜんぶあんたのせい」では言葉が洪水のように画面いっぱいに溢れ出し、クラップを繰り広げる観客を圧倒した。

耳だけではなく、目からも言葉が飛び込んでくる。バンド初となる紗幕を使った演出は、独特な言語感覚を携えている彼らのライブに合っていたし、とても刺激的な体験となった。

今年8月にリリースしたシングル「何度でも」を力強く歌い上げたコヤマは最初のMCで、「2018年、最後のワンマンツアーになりました。まだちょっと早いかもしれませんが、今年培ってきたもの、経験して学んだことを今日と大阪で全て君たちにお返しするつもりでこのステージに立ってます」と熱く語り、「いつか必ず消え去ってしまう、いつか必ずいなくなってしまうあなたのことを書きました」と解説した「あなたのこと」やナノウ時代の代表曲をバンドでセルフカバーした「ハロ/ハワユ」など、1stアルバム「eve」収録曲を続けて演奏した。

「命」と密接につながった楽曲が多いが、前述の「何度でも」を含め、「死」より「生」に軸足が置かれている強さを感じる。ただ、それも、続く「神経町A10街」や「ドッペルゲンガー」など、Lyu:Lyu時代があってこその“今”であることは間違いない。絶望の中で嘆きながら研いだ刃を持ったバンドであることには変わりはない。ただ、その刃を他人を攻撃するためではなく、守るために使うようになったのだ。

この日のライブでは、コヤマが観客に向けて、「楽しいですか?」と問いかけるシーンもあった。「楽しい!」と声を上げるものもいれば、拍手で答えるものもいたが、コヤマは「ワンマンライブをやってる最中に今の言葉を聞くのがいちばんの楽しみであり、僕らの責任感が問われる瞬間だと思ってます。楽しんでくれているんだったら、本当に嬉しいです。ありがとう」と返し、「やっぱりライブは楽しいな」と率直な感想を述べた。

演者も観客も「楽しむ」という姿勢こそが、今のCIVILIANのライブの最大のメッセージになっているのではないかと思う。

そして、ドラムの有田とベースの純市による中盤のMCでは、2019年に開催される全国ワンマンツアー「Hello,civilians〜全国編〜」の全日程を公開。最後に、ファイナルとなる東京公演がマイナビBLITZ赤坂に決定したことが発表された。

有田は「今までで一番でかいよ。埋めたいんです。どうか僕たちにいい景色を見せてください。お願いします」と頭を下げると、会場からは割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こった。

不穏な死の匂いが漂うハロウィンソング「ハッピーホロウと神様倶楽部」、シタールのイントロがついた「赫色 –akairo-」、改名後初のシングル「bake no kawa」、そして、会場が一体となっての大合唱が巻き起こった「生者ノ行進」へ。生と死を行き来しながらも、何度でも立ち上がり、まっすぐに前を見つめていくかのようなアグレッシブでパワフルな演奏に「今、この瞬間」の生の実感を得たような興奮があった。
 

CIVILIAN「again & again」

そして、「こんな歌、誰にも届くわけないという思いで作った曲が、いざ歌っていたら、本当にたくさんの人に届いて。いいと言ってもらえて。この歌の歌詞の最後の通りになりました」と語ったLyu:Lyu時代の代表曲「メシア」では、<あなたが今日笑ったこと/他でもないあなたが笑ったこと/それで僕の世界は救われたんだよ>というフレーズが聴き手一人一人の心にそっと置くかのように丁寧に届けられ、コンプレックスをテーマにしたロックバラード「顔」、1stアルバムのラストナンバーである「明日もし晴れたら」で本編は終了した。

この曲を歌う前に、コヤマは幼少の頃を振り返ってこう語っていた。少し長いが引用したい。

「本当に小さい頃から、歌うことは大好きだった記憶があります。両親にカラオケに連れて行ってもらったりとか、自分の歌を録音する遊びをやってました。そんときは自分の声が嫌いだとか、見た目や性格が嫌いだとか、一切考えないで、ただ自由に声を出して、他愛もない人の曲を歌って、録音して、友達と一緒にゲラゲラ笑いながら、聴いて。ああ、楽しいなっていうことしか考えてませんでした。

どんなに頑張ってもあの人に届かないって思い知ったのはいつだっただろうか。自分がどんなに努力をしようと掴めないものもあるんだって知ったのはいつだったでしょうか。でも、僕はずっと1つのことだけを胸に思いながら曲を作ってきました。他人の歌ってることは他人が歌ってることでしかありません。だから、自分のこの感情を誰が救ってやれるんだってずっと思ってました。時には誰もかけてくれなかった慰めの言葉だったり、時にはどうしても言えなかった謝罪の言葉だったり、警察に捕まってもいいからどうしてあいつのことをぶん殴ってやらなかったんだろうっていう思いだったり。

そうやってできた僕とCIVILIANの愛しい子供たちが、今日もみんなの胸に何かを残していることを祈りながら、最後の曲を全力で歌いたいと思います。本当にありがとうございました」。

アンコールでは「来てくれたら価値があったと思えるライブをやります」と堂々と宣言。「死ぬ気で頑張っていくので、これからもよろしく願いします」と挨拶し、「3人が始まったときにできた、とても大切な曲」だという高揚感たっぷりのロックナンバー「暁」と、「何度でも」や「メシア」につながる「彗星」を激しくパフォーマンス。命、生と死、あなたの笑顔というフレーズを残して、ステージを後にした。

この1年、CIVILIANのライブは間違いなく変わった。数多くのステージを経験したことによって、観客の胸を疼かせる歌心や自然と体が動くようなグルーブを獲得しただけではなく、「楽しさ」が加わった。2019年はライブバンドとして、よりたくましさと楽しさが増したCIVILIANを見ることができそうだ。

10月11日  SHIBUYA WWW X「CIVILIAN One Man Live 2018 “again & again”」セットリスト
M-01 セントエルモ
M-02 ぜんぶあんたのせい
M-03 何度でも
M-04 残り物の羊
M-05 どうでもいい歌
M-06 ハロ/ ハワユ
M-07 あなたのこと
M-08 神経町A10 街
M-09 ドッペルゲンガー
M-10 ランララ
M-11 回転
M-13 赫色-akairo-
M-12 ハッピーホロウと神様倶楽部
M-14 bake no kawa
M-15 生者ノ行進
M-16 メシア
M-17 顔
M-18 明日もし晴れたら
En-01 暁
En-02 彗星

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