エルヴィス・プレスリー、完全復活を遂げた伝説のTV特別番組「’68カムバック・スペシャル」50周年記念盤のリリースが決定
エルヴィス・プレスリーが完全復活を遂げた1968年のNBC-TV放映「’68カムバック・スペシャル」の50周年を記念し、11月30日、ソニー・ミュージックから豪華ボックス・セットがリリースされることが発表された。このセットは同特番が世界初放映された日の記念日である12月3日の3日前に届けられる。
「’68カムバック・スペシャル〜50周年記念盤」は、エルヴィス・プレスリーの全盛期に行われた、テレビ放映された中でも史上最高のひとつに数えられるロックンロール・パフォーマンスの決定的なクロニクルである。今回の50周年記念盤で史上初めて音源(5CD)と映像(2Blu-ray)が、1つのパッケージに収められることになった。
パッケージにはエルヴィスの本当の姿にスポットライトを当てる、未使用のパフォーマンスやスタジオでのアウトテイクも収録、またエルヴィスとレッキング・クルーが特番のためにレコーティングした伝説のセッションの模様を収録したCDも含まれる。さらにレアな写真、当時のチケットのレプリカ、そしてトム・ジムニーの2018年のドキュメンタリー「エルヴィス・プレスリー:ザ・サーチャー」の制作に向けて行われたインタビューなどが収録された、80ページのカラーブックレットも封入されている。
新たに復刻されたBlu-rayの映像もジムニーが監修している。記念盤のコンテンツは11月30日、音源と映像が個別にデジタル版としてもリリースされる。
2019年には、米国でNBCとケン・アーリッチ・プロダクションズがタッグを組み、「’68カムバック・スペシャル」のトリビュートとして、ゴールデン・タイムに2時間の特別番組を放映する予定。
「The 50th Anniversary of the Elvis Comeback Special(エルヴィスのカムバック・スペシャル50周年)」と題された番組は、音楽界のスーパースターが勢揃いし、あの伝説の歌の夜のスペクタクルを、ステージの演出に至るまで再現する。楽曲のパフォーマンスに加え、同番組にはレアなエルヴィスの映像、アウトテイク映像、「’68カムバック・スペシャル」のオリジナルに携った者たちのインタビューなども含まれる予定。
「’68カムバック・スペシャル」(当時のタイトルは「Singer Presents… ELVIS」[邦題:ELVIS])は1968年12月3日に放映され、エルヴィスのキャリア、ポップ・カルチャーの進化、そしてテレビの歴史を飛躍させた画期的な放送イベントとなった。
1968年の放映以前には、メインストリームにとってのエルヴィスは、もはや絶大な力を持つロックンロール界のパイオニアではなくなっていた。1960年に米陸軍を除隊になってからのエルヴィスのキャリアは、数多くの映画への出演で、猛スピードで駆け抜けていたが、一方ロック・ミュージック・シーンは革新、実験、そして激動の時代を引き立たせるような切迫感で爆発しようとしていた。エルヴィスは1961年以来公の場でパフォーマンスを行ったことがなく、テレビにも1960年以来出演していなかった。
1968年6月にセッション数回にわたって収録されたこの特別番組は、壮観なプロダクションのナンバー(「ナッシングヴィル」「セイブド」「ギター・マン」「リトル・エジプト」「ビッグ・ボス・マン」「レット・ユアセルフ・ゴー」)から、初期のアルバムやショウで共演していたギタリストのスコッティ・ムーアとドラマーのDJフォンタナとエルヴィスが再結集する親密な「シットダウン」パフォーマンスによる彼の往年のヒット曲まで、様々なセッティングにおいてエルヴィスの姿を描いている。
黒いレザー姿の「シットダウン」および「スタンダップ」のセットはその時点までのエルヴィスのキャリアを振り返るものだったが、ハイライトとなった新曲「メモリーズ」はこの番組のためにマック・デイヴィスが書き下ろしたもの。
この特別番組を締めくくった卓越したナンバーは、今ではプレスリーの名曲となった、「明日への願い」の感情たっぷりのパフォーマンス。この讃歌的な新曲は、W.アール・ブラウンがエルヴィスとこの番組のために特別に書き下ろしたものだった。
同番組はその週全米で最も視聴されたテレビ番組となり、音楽と文化の大きな勢力としてのエルヴィスの地位を再び確固たるものにした。「思うに、’68年の特別番組は、彼に再びツアーに出るための自信を与えたのではないでしょうか。人々が彼を受け入れるだろうと分かった訳ですから」とプリシラ・プレスリーは語った。
「あの番組が大成功したおかげで、彼はステージに戻ってオーディエンスと共に過ごすこと、それこそが自分のやりたかったことだと確信したのです」。この番組の成功は、プレスリーのキャリアに大々的に再び火を点けた。
同番組の放映後間もなく、エルヴィスはメンフィスのアメリカン・サウンド・スタジオに入り、彼のナンバーワン・ヒットの中でも息の長い部類に入る「サスピシャス・マインド」や、彼のカントリー・ソウルの名盤「エルヴィス・イン・メンフィス」(チャートの1位となった「イン・ザ・ゲットー」を収録)を生み出したセッションを行った。
1969年、エルヴィスはラスベガスのジ・インターナショナル・ホテルでの画期的な出演契約を引っ提げてライヴ活動に復帰。定期的にショウを行う生活を始め、キャリアの終焉まで続けた。
「私はエルヴィスのパフォーマンスを見たことがありませんでした」とプリシラ・プレスリーは語った。「1968年の特番でやっと彼のパフォーマンスを初めて見たのです。そして私は自分の見たものが信じられませんでした。うわぁ、すごいわ、すごいわ、という感じでした。彼が実際にステージの上にいて、そこに向かって歩いていって、そのステージを自分のものにする。その魅力で、そのエネルギーで、そのいでたちであのようにオーディエンスを意のままにする人は見たことがありませんでした。まるであのショウのために生まれてからずっとリハーサルをやってきたかのようでした」。
若き日のブルース・スプリングスティーンをはじめ、何百万人ものファンにとって、「’68カムバック・スペシャル」は人生を変えた出来事となった。「『’68カムバック・スペシャル』を何週間も待っていたのを憶えているよ」とスプリングスティーンは最近そう振り返った。「人生を変えることは分かっていた。ダイニング・ルームのどの辺りにテレビがセットアップしてあったかも具体的に思い出せるし、自分が座っていた場所も正確に憶えている。そう、自分の中から一生消えない記憶になったことのひとつなんだ」。
同日には「ザ・キング・イン・ザ・リング」のLP2枚組もリリースされる。今年前半、レコード・ストア・デイに向けて生産限定盤として最初にアナログでリリースされたこのLP2枚組は、「’68カムバック・スペシャル」の中でも異彩を放つ、親密な「シットダウン」セットの模様が収められている。
このライヴ・パフォーマンスは少人数のオーディエンスに囲まれて録音されたものであり、エルヴィスの名バッキング・バンドの元祖のメンバーだったギタリストのスコッティ・ムーアとドラマーのDJフォンタナをはじめ、強力なアンサンブルを従えて行われた。