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DAY6、全国5都市ツアーからマイナビBLITZ赤坂公演をレポート

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韓国発の5ピースバンドDAY6が、6月から韓国を皮切りにアジア、オーストラリア、カナダ、アメリカ、ヨーロッパを周るワールドツアーを敢行。10月にJAPAN 1stアルバム「UNLOCK」をリリースした彼らは、「DAY6 2nd LIVE TOUR in JAPAN “UNLOCK”」を開催。その東京公演が、10月24日東京・マイナビBLITZ赤坂にて行われた。

韓国の音楽シーンというと、ヴォーカルやダンスを主体としたアイドルグループを真っ先に思い浮かべる人が多いかもしれない。しかしバンドシーンに目を向けると、洋楽のスケール感とメロディアスな要素を追従しながら独自の進化を遂げた良質なバンドが数多く存在する。そんな中、若手バンドの注目株として脚光を浴びているのがDAY6である。前回の来日が6月の東京・大阪公演のみだと考えると、仙台、東京、名古屋、福岡、大阪を周る今回のツアーは驚くべきスケールアップと言える。

ソールドアウトとなった会場は、開演前から登場を待ちわびるファンたちの熱気に包まれている。客電が落ち、SEなしでメンバーがステージに登場するとフロアから大歓声が上がる。ライヴはアルバム「UNLOCK」と同じく「Live Your Life」からスタート。扉が開かれるような壮麗なロックビートと、イントロから大合唱を誘う展開はまさに日本でのライヴを想定しており、確かな意志を持ったソンジン(Vo,Gt)の図太いバッキングと、真っ白なキャンパスに色彩豊かな絵を描くようなジェイ(Gt,Vo,Rap)のリードプレイが絶妙なコントラストを生み出し、バンド全体に立体的な音像をもたらしている。一方のリズム隊であるヨンケイ(Ba,Vo,Rap)とドウン(Dr)は、リズムをタイトに刻む堅実なプレイ。派手なプレイで魅せるというよりも、楽曲の世界観に寄り添うことで豊潤なグルーヴを担っている。「My Day」や「Better Better」のようにダイナミクスがついた楽曲では、ウォンピル(Kb, Syn,Vo)はキーボードやシンセサイザーを駆使したきらびやかなフレーズで、まさに調味料的な役割で彩りを加える。その楽曲が求める景色によって、それぞれのパートが出たり引いたり、絡み合ったりほどけたりして、ロマンチックなその歌を鮮明に浮かび上がらせているのだ。

ピアノロック、ポップス、エモ、ロックンロール、オルタナティヴ、はてはR&Bやファンクのようなブラックミュージックまで、多彩なジャンルを自由に行き来する懐の深い音楽性は、メンバー自身が作詞作曲を手掛け、4人がメインヴォーカルを取るという形態に起因する部分が大きい。その楽曲のどれもが圧倒的な生命力で聴く者の胸を打つのは、メロディーの素晴らしさ、そして卓越した歌唱力に他ならない。その強みが顕著に表れているのがバラードだ。冬の空のような侘しさと美しさをまとったピアノバラード「When you love someone」や、ソンジンのロングサステインとジェイの繊細なアルペジオという2本のギターが織りなすフレーズから、5人の楽器が渾然一体となって押し寄せるサビへとなだれ込む「Goodbye winter」など、聴き手の脳裏にいくつものサウンドスケープを刻み込む。徐々に緊張が解けてきたのか、アルバム「UNLOCK」に収録された「Nobody Knows」ではジェイとヨンケイはエモーショナルに体を揺らしながら楽曲を表現する。

また、今回のMCをすべて日本語で挑戦しているのにも好感が持てた。「皆さんアルバムは聴いてくれましたか?『UNLOCK』というタイトルには音楽のジャンルにとらわれずに、もっと自由に歌を聴かせたいという思いが込められています」とヨンケイが流暢な日本で話したかと思えば、「みんなの笑顔が本当にビューティフルで好きです」とドウンもアピール。ジェイのことを「モデルみたいで羨ましい」と突っ込んだり、日本語で無邪気にやりとりする姿は見ているだけでほっこりしてしまう。

「そんなビューティフルなみんなに送る曲です」とヨンケイが話したあと、ソンジンがアコースティックギターに持ち替えての「Beautiful Feeling」「I’m Serious」を披露。DAY6の歌詞観に触れると、主人公は決して強くたくましくクレバーであるとは言い難いが、少年が持つ神秘性と青年が持つ叙情性をはらんでいて、それを個性豊かなヴォーカリストたちが歌うことで息吹が吹き込まれるかのように躍動しはじめる。真っ直ぐに届くソンジンの声、甘く人懐っこいジェイの声、豊かな倍音を感じさせるヨンケイの声、艶やかで憂いを帯びたウォンピルの声、時折登場するドウンの声もスモーキーで味わいがあり、自由自在に歌唱がスイッチしたり流麗なコーラスが加わることで、車窓からの景色のように新しい世界が次々と目の前で繰り広げられる。フロントの4人が横並びにセッティングされた理由も納得だ。

「次は誰でもロックンロールになれる曲です」とソンジンが宣言すると、ジェイの軽快なカッティングとともに手拍子が沸き起こった「Everdybody Rock!」、ベースラインがうねるように鳴り響く「What Can I Do」、EDMの趣も感じさせるダンサブルなロックチューン「Somehow」、イントロが流れた瞬間に大歓声とともにフロアが大きく波打った妖艶な「Shoot Me」など、プレイヤーとしてのバイタリティが開花した攻撃的な楽曲を立て続けに投下。

終盤は、日本デビュー曲の「If 〜また逢えたら〜」、JAPAN 2ndシングルの「Stop The Rain」、日本テレビ系「ダウンタウンDX」の11〜12月度エンディングテーマにも決定した「Breaking Down」など、日本のファンにとっても馴染み深い楽曲を披露。特に「Stop The Rain」は生形真一氏(Nothing’s Carved In Stone, ELLEGARDEN)がプロデュースを手掛けた楽曲ということもあり、これまでDAY6のサウンドでは見られなかったワウやオクターバー、フランジャーといったギターエフェクトも果敢に取り入れ、“静”から“動”へと振り切るようなダイナミックな音像で圧倒。

盛大なアンコールに迎えられ、再度ステージに登場したメンバー。彼らのデビュー曲「Congratulations」ではこの日一番の大合唱が起こり、メンバーも思わず“フー!”と唸るほどの一体感に包まれる。自分のもとを去った愛する人の残像に苛まれ、その悲哀を吐露した珠玉のバラード「You were Beautiful」では、荘厳さえも感じさせるコーラスワークで空間をドラマティックに色付けて見せた。

そして、メンバーから日本語でファンに向けた感謝の気持ちが述べられる。

「6月に東京と大阪で初ワンマンライヴをして、今こうやって全国ツアーができているのは皆さんのおかげです。ありがとうございます」(ソンジン)

「今回のツアーでは皆さんと思い切り盛り上がりたかったのですが、それができてとても幸せです」(ジェイ)、「日本デビューしてまだ6カ月ですが、いろんな経験ができて皆さんと会う機会も増えてすごく嬉しいです」(ウォンピル)

「これからも僕たちDAY6のことをもっともっと愛してくださいね。その気持ちに応えられるように頑張ります」(ヨンケイ)

「今日は来てくださって本当にありがとうございます。楽しすぎて帰りたくないです! 今日はDAY6の夢を見てくださいね。約束ですよ」(ドウン)

ラストはパーティの締め括りに相応しいゴキゲンなナンバー「DANCE DANCE」で幕を閉じた。

どのシーンを切り取ってもクライマックスのような熱量で、文字通り“ワールドクラス”のパフォーマンスをやってのけたDAY6。世界を周る旅(ツアー)の途中だが、遠くない未来に世界を席巻することを確信させるには十分すぎるステージだった。

ライブレポート:溝口元海
写真:ヤマダマサヒロ

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