ドキュメンタリー映画『エリック・クラプトン〜12小節の人生〜』、事務所スタッフとピーター・バラカンによるトークショー開催
“ギターの神様”エリック・クラプトンの波乱に満ちた人生を、貴重なアーカイブ映像とともに赤裸々に描き出す、音楽ドキュメンタリー『エリック・クラプトン〜12小節の人生〜』が11月23日より全国公開する。これを記念して、エリック・クラプトンの来日公演に長く携わってきたウドー音楽事務所の高橋辰雄、石谷正和、そしてピーター・バラカンを招いたトークイベントを実施した。
外国人アーティストとしてはダントツの公演数を誇るエリック・クラプトン。石谷が「初来日から前回で211回のコンサートに裏方として関わってきました」と挨拶すると会場は驚きでどよめいた。高橋「この映画を通してしいクラプトンを発見出来たら」と続け、バラカンは「僕もエリック・クラプトンの初来日公演を見てます。さすがに私は211回は見てませんが、クラプトン歴はヤードバーズのデビューシングルに遡ります」と挨拶し会場を沸かせた。
初来日時のクラプトンについて、「酔っ払いでした。表参道にある練習場に酔っぱらって現れて、当時の優秀なツアーメンバーの頭にケチャップをかけてました」と石谷が明かすと、若かりし頃のクラプトンを知るファンが多く詰めかけていることもあって大きな笑いが起こった。
バラカンも「映画の中でも、本人がビックリするほど自分がダメだった頃を事細かに語っているんです。」と本作を説明。高橋も映画でも描かれる「70年代のジャンキーの時期から酒もドラッグも煙草もやめて今の家族を築くまでの40年間近くクラプトンを見てきた。『Tears in Heaven』の頃に変わった、そして一番大きいのは今の奥さんとの出会いだろう」と懐かしんだ。
「イメージ的には“ギターの神様”、ロックミュージシャンだったんです。ブルースの方に行くのは違うんじゃないかなと思ってた。でも後から考えると絶えず先を行ってましたね。」と石谷。
バラカンは「66年のジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズのLPのジャケットの裏にクラプトンがギターを弾いてる写真があって、ギターのヘッドの部分にタバコを挟んでいて、シャツのカフスボタンを開けてるんです。66年当時カフスボタンを外している人なんて私は見たことが無く、当時のイギリスの若者はみんな真似していた」とクラプトンの音楽以外での影響力についても語った。
高橋は「日本への来日時にはよく裏原宿に行き日本人デザイナーの靴を買っていました。トンカツも好きで週に2,3回行っていた」と来日時のクラプトンのプライベートも明かした。
「リハーサルはしないでライブの30分前に会場に着いて、コーヒーを飲んで、ステージに向かい吸っていたタバコをギターのヘッドに挟んで、いきなりレイラを弾くっていうのが印象に残っている」と高橋、「やっぱり74年の初来日時のコンサート」と石谷、バラカン氏も「2006年だったかな、ギタリストを連れてきてトリプルギターだったんです。連れてきた二人に弾かせて余裕だな」と、それぞれ印象的なコンサートについて語った。
石谷「おとこエリック・クラプトンのカッコ良さを再考した、みなさんが知らないクラプトンを楽しみながら見てほしい」、高橋「音楽映画じゃないんです。エリック・クラプトンの人生を描いた映画だと思いました。それを彼は見てほしかったんだなと思いました」、バラカン「彼はこの映画を通じて俺と同じ間違いをしないでちょうだいなという風に考えたと思ったんです。」と締めくくり、当時の貴重な話で盛り上がったトークイベントは幕を閉じた。