葉加瀬太郎、全国ツアーより12/27東京公演をWOWOWで生中継「僕にとって特別なクインテット(五重奏)」
葉加瀬太郎の全国ツアー「葉加瀬太郎 コンサートツアー 2017 『VIOLINISM III』」の中から、12月27日、東京・国際フォーラムAでのライブをWOWOWで生中継される。
今回のコンサートは、総合演出に映画監督の堤幸彦を迎え、演劇仕立ての楽しい構成に。冒頭、流れるムービーでは、架空のイタリアの田舎の村“クレルモンナーラ”が登場し、いかにも実在する村であるかのような凝りに凝った設定で、観客の笑いを誘う。その設定どおり、ステージにもリストランテと教会、ヴァイオリン工房が立ち並び、その手前の広場で音楽会が開かれるという趣向でコンサートが始まるのだ。
葉加瀬はヴァイオリン工房の職人“アントニオ”に扮し、演奏メンバーはそれぞれリストランテ店主 “グランデ”(榊原大/ピアノ)、時計職人の“アズール”(天野清継/ギター)、ワイナリーオーナー“マルチェッロ”(柏木広樹/チェロ)、写真館の主人“トゥーリオ” (西嶋徹/コントラバス)。この5人が仲良く演奏を繰り広げているところに流れ者の少年“リサンドロ” (仙道さおり/パーカッション)がやってきて、厳格な “マッテオ神父”に追い払われつつも、アントニオに声をかけられ、仲間となって一緒に音楽を奏でていく。
披露される曲は、葉加瀬にとって15年振りとなるフル・アコースティックサウンドのアルバム「VIOLINISM III」の収録曲が中心。葉加瀬が「僕にとって特別なクインテット(五重奏)」と語るメンバーは、レコーディング・メンバーでもある。レコーディング前の合宿で練り上げ、コンサートまでに磨き上げた渾身のハーモニーを聴かせてくれる。アンプラグドの温もりがあり、かつ軽やかなサウンドは、村の広場での音楽会という設定にぴったりだ。
葉加瀬はイタリア語で「ボナセーラ(こんばんは)」と客席にあいさつし、フォーレの「ドリーの子守唄」、ショパン「華麗なる大円舞曲」、など、クラシックファンにもおなじみのナンバーを独自のアレンジで奏でていく。少年役の仙道さおりはパントマイムやタップダンスなども披露する芸達者ぶり。数々のパフォーマンスでアクセントを加える。
「ラ・ジターヌ~気まぐれ女」は、作曲した葉加瀬自身もお気に入りだと語る曲。フラメンコを思わせるギターの音と哀愁たっぷりのヴァイオリンが絡み合う必聴の一曲だ。そして、後半では、葉加瀬の代名詞であるヒットナンバー「情熱大陸」がこれまでにないアレンジで披露される。コンサートグッズの“ハカセンス(扇子)”や“ハカシェイカー(振って音を鳴らす楽器)”を持った客席のファンも盛り上がること必至だ。
アンコールは、1944年にジョニー・マーサーが作曲した名曲「ドリーム」。葉加瀬はこれを太平洋戦争中にアメリカでヒットした曲として紹介し、「この平和がいつまでも続くように」という願いを込めて美しいスローバラードを演奏。最後はしっとりと聴かせ、上質な音楽の余韻を残してコンサートを締めくくる。
ソロデビュー20年を超えた稀代のアーティストが円熟味を見せる今回のツアー。WOWOWで生中継される公演も、年の瀬にじっくり味わうのにふさわしいプログラムとなりそうだ。