KICK THE CAN CREW、クリスマス・イブの夜に全国ツアーファイナル「3人揃って新しい歴史が始まるぜ!」

アーティスト

全国ワンマンツアー「LIVE TOUR 2017『タコアゲ』」を全国7カ所で開催し、東京、宮城、北海道、愛知、大阪、広島を賑わせパフォーマンスをブラッシュアップさせてきたKICK THE CAN CREW(以下KTCC)が、今ツアーの集大成とも言うべき最終日を、クリスマスイブの福岡で迎えた。

3階までビッシリとファンで埋まった福岡サンパレスに、お馴染みの「千%」のイントロが鳴り響き、3人のシルエットが幕越しに映し出される。大歓声と拍手を浴びながら、銀テープが舞う演出の中、幕が落ち、真っ白な衣装を纏ったLITTLE、KREVA、MCUが姿を現した。

九州ファンと久々の対面を果たした彼らは、9月に日本武道館で行なった「復活祭」の時と同じく、完全復活の象徴的ナンバー「千%」で口火を切った。落ちてきたテープを振りながら、ビートに身を委ねる観客。間髪入れずに「全員集合」、「なんでもないDays」を投下し、フロアとの掛け声も息ピッタリで、メンバーは「福岡最高!」と笑顔を見せる。

最新アルバム「KICK!」収録のナンバーで今のKTCCを体現したあとは、「マルシェ」をぶっ放し、長年待ち焦がれていたファンの熱量は一気に爆発。大合唱が鳴り響くホールの温度はみるみる上昇し、早くも一体感は揺るぎないものに。

「いろんな意味でお待たせしました!復活してからなかなか縁のなかった福岡に、ツアーファイナルで来ることができました。3人揃って新しい歴史が始まるぜ!みなさん、一緒に世界を変えてくれますか?」とKREVAのMCに合わせて、「完全チェンジTHEワールド」が鳴り、続けて「カンケリ01」をプレイ。“広がる世界は予想以上にハードそれでもパニくらず立ち向かう”という歌詞は、16年という月日を経てさらに説得力を帯び、当時とまた違う強さで訴えかけてくる。

メロディアスなミディアムナンバー「今もSing-along」で大人の色気を漂わせれば、インディーズ時代の名曲「ユートピア」ではMCUが情感たっぷりにライミング。途中、KTCCサウンドの要を担うDJの熊井吾郎を紹介し、高速スクラッチが冴え渡る「C’MON EVERYBODY」など、往年のファンをくすぐるナンバーも飛び出す。熊井のクールなプレイに、観客も負けじと「TORIIIIIICO!」で、3人の声をかき消すほどのかけ声で応戦。

MCの時間は最小限に、次々新旧織り交ぜた選曲が連打され、RHYMESTERと共作した「神輿ロッカーズ」など、予想を裏切る選曲も惜しみなく披露された。「無敵の3本マイクで、1曲でも多く提供してみんなの期待を上回りたかった」とKREVA。レーザービームと映像、そしてパーティーチューンで散々会場を揺らした後、KTCC史上初の試みとなったスタンドマイクでは、「また波を見てる」「また戻っておいで」というメロウな曲を、優しく唄い上げる。

そこで観客の目線に違和感を覚えたKREVAは、「みんなMCUを見ているんだもん!」と不服申し立て。照れながらMCUは、「どうりで視線が痛くて(苦笑)。今日はみんなが集まってくれてガチで幸せです!ありがとうございます!」と会場を見渡しながら頭を下げた。

また、福岡ではラジオ番組をもつリトルも、思い入れのある地で感慨深げに素直な気持ちを吐露する。「ヒップホップを止めた仲間もいる中、今こうやってステージで無事みんなと再会できたり、新たに出会う人がいる。それってなかなかの奇跡だと思う。欲を言えば、この奇跡をここで終わりにしたくない。KTCCと次のステージに向かって一緒に歩いてもらえないでしょうか? もう3人でやれないかもしれないと思った時に背中を押してくれた言葉があります。みんなの支えにもなってくれたら嬉しいです」というメッセージ後、“まだ何も終わっちゃいないぜ”と、人気ナンバー「イツナロウバ」へ。

リトルの言葉によってさらに一体感を増したフロアは、「sayonara sayonara」「アンバランス」と怒涛の名曲リレー。手を左右に揺らしながら3人と一緒に唄う観客。「素晴らしい歌声をありがとう!」と感動的な光景が広がる中、大スクリーンには今ツアーのもようが映し出され、「I Hope You Miss Me a Little」で会場のボルテージは最高潮の中、遂に本編が終了した。

3人の個性豊かな声と高い技術、コンビネーション、そしてチャーミングなキャラクターによって生み出されるKTCCの魅力。それを直に再確認し、喜びで満ちた会場は、大きな拍手が鳴り止まない。

アンコールでは雪が降る幻想的な演出の中、山下達郎の「クリスマス・イブ」をサンプリングした「クリスマス・イブRap」で観客にクリスマスプレゼント。そして、アルバム「KICK!」のラストに収録されている「タコアゲ」をみんなで大合唱しながらクライマックスを迎え、このツアーを締めくくった。

DJの熊井吾郎と4人手をつなぎ一列に並び、笑顔と充実感に満ちた表情は、彼らの活動の主軸であるステージで得た喜びの大きさを物語っていた。最新アルバムから9曲を披露し、最新型のKTCCで大いに会場を湧かせ、同時に色褪せることなく瑞々しい光を放った名曲がもつポテンシャルの高さも証明した。個々で常に前進してきた現役エンターティナーとしての貫禄を見せつけた迫力のパフォーマンスは、あくまでも“始まり”ではなく、“通過点”に過ぎないことを思わせてくれた今ツアー。クリスマスイブの帰路、興奮冷めやらぬ観客たちは、KTCCの来年の動向にますます目が離せなくなったハズだ。

Photo by 岸田哲平

セットリスト
M-1 千%
M-2 全員集合
M-3 なんでもないDays
M-4 マルシェ
M-5 完全チェンジTHEワールド
M-6 カンケリ01
M-7 今もSing-along
M-8 ユートピア
M-9 C’MON EVERYBODY
M-10 TORIIIIIICO!
M-11 神輿ロッカーズ
M-12 地球ブルース~337~
M-13 また波を見てる
M-14 また戻っておいで
M-15 イツナロウバ
M-16 sayonara sayonara
M-17 アンバランス
M-18 I Hope You Miss Me a Little

En-1 クリスマス・イブ Rap
En-2 脳内VACATION
En-3 タコアゲ

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