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高田漣、クリスマスイブにニューアルバム「ナイトライダーズ・ブルース」リリース記念ライヴ開催

アーティスト

高田漣が、12月24日のクリスマスイブに第59回日本レコード大賞優秀アルバム賞を受賞したニューアルバム「ナイトライダーズ・ブルース」のリリース記念ライヴを行った。

ライブレポート
「ナイトライダーズ・ブルース」リリース記念ライヴが行われたのはクリスマスイヴ。ライヴ会場になった青山CAYはレストラン・バーということもあって、フロアにはテーブルが並び、観客は食事を楽しみながらライヴを楽しめるというイヴにはぴったりの趣向になっていた。観客のおしゃべりや食器が触れ合う音が楽しげに響くなか、定刻通りにライヴは開幕。この日のメンバーは、高田漣(vo,g)を筆頭に、伊藤大地(dr)、伊賀航(b)、野村卓史(key)の4人で、アルバムの核となった面々が顔を揃えた。

アルバムの1曲目「ナイトライダー」で、勢い良くライヴはスタート。高田の切れ味の良いエレキギターに、伊賀のウッドベースが小気味良く絡む。続いて、機関車のエンジン音を模した伊藤のドラムに導かれて「Ready To Go〜涙の特急券〜」。ブルージーなサウンドからアメリカの匂いが漂ってきたと思ったら、今度ははっぴいえんど「びんぼう」のカヴァーだ。R&Bテイスト溢れる骨太なバンド・サウンドと日本語の歌詞の絶妙な組み合わせは、「ナイトライダーズ・ブルース」の原風景といえるかもしれない。

「ナイトライダーズ・ブルース」から3曲を演奏したところで、バンド・メンバーはいったんステージを離れて高田のソロに。アコースティックギターの弾き語りでアルバム収録曲「ハレノヒ」を歌った後、「コーヒーブルース」「猿股の歌」「フィッシング・オン・サンデー」と父・高田渡のレパートリーを3曲続けて演奏した。そのうち「猿股の歌」は、詩人・金子光晴の詩に高田渡が曲をつけて佐久間順平が歌った曲。ひとつの猿股をめぐる父と子の哀しくもおかしな物語だが、そこに高田親子のイメージが重なって感慨深い。

高らかにスライド・ギターを鳴り響かせた「フィッシング・オン・サンデー」の後は、再びバンド・メンバーがステージに戻って、今度は高田のアルバム「アンサンブル」から「鯵」「熱の中」「絵空事」を続けて披露。「鯵」を歌った後、「この頃の曲はとにかくコードが多くて、凝った曲を書こうと頑張っていました。それに比べると新作はコードがシンプルなんですよね」と振り返っていた高田。過去の曲を挟むことで、「ナイトライダーズ・ブルース」のアメリカーナな世界がさらに鮮明に浮かび上がった。

ライヴの後半は再び「ナイトライダーズ・ブルース」の曲が中心になったが、その皮切りになったのがレオン・マッコーリフのカヴァー「Take It Away, Leon」だ。高田いわく「新作の曲は人前でほとんど演奏したことがないんですが、唯一この曲は何度もバンドで演奏しました。細野(晴臣)さんのツアーに全員で参加して、そこで歌わせてもらったんです」。細野の新作「Vu Ja De」に通じるムードを持つこの曲は、高田とバンドが細野の音楽的遺伝子をしっかり受け継いでいることを教えてくれた。

そして、ライヴはクライマックスに突入。アルバムに参加したバクバクドキンのYUIと相棒のNAOKOが参加した「ハニートラップ」は、二人のキュートなコーラスを添えて楽しく賑やかに。「曲ができた時、絶対、大地君に叩いてもらおうと思いました」と言う「ラッシュアワー」では、期待に応えて伊藤がダイナミックでファンキーなドラムをプレイ。そこから、ライ・クーダーばりのスライドを聴かせる「文違い」。サザンソウルの雰囲気を漂わせたキーボードに胸が熱くなる「思惑」。そして、再びYUIとNAOKOをコーラスに招いた「バックビート・マドモアゼル」とアルバムの曲順通りに演奏されていく。曲毎にギターを替えながら、穏やかな語り口で心がこもった歌を聴かせた高田。そして、高田を中心に息の合ったアンサブルを聴かせたバンド・メンバー。4人が一体となって熱気溢れるステージを見せてくれた。

アンコールは高田がひとりで登場。「すべてのことにはいつか終わりがくる、ということを歌いました」と説明して、スティールギターを弾きながら「LITTLE HAWAII」を歌った。哀愁を帯びたスティールギターの音色は楽しい夜の別れを惜しむようでもあり、その余韻に浸りながら会場の外に出ると街はクリスマスの賑わいが続いていて、まるで夢から醒めたような不思議な気分。そういえば、「メリークリスマス」というお決まりの挨拶はなかったけど、このライブが最高のクリスマスプレゼントだった。

(文:村尾泰郎、撮影:沼田学)

セットリスト
M1.ナイトライダー
M2.Ready to Go 〜涙の特急券〜
M3.びんぼう
M4.ハレノヒ
M5.コーヒーブルース
M6.猿股の唄
M7.フィッシング・オン・サンデー
M8.鯵
M9.熱の中
M10.絵空事
M11.Take It Away, Leon
M12.ハニートラップ
M13.ラッシュアワー
M14.文違い
M15.思惑
M16.バックビート・マドモアゼル
-ENCORE-
EN1.LITTLE HAWAII

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