マイルス×コルトレーン、最後のツアーとなった伝説の5公演を初公式リリース
マイルス・デイビス・ファン必聴“ブートレグ・シリーズ”第6弾として「マイルス・デイビス&ジョン・コルトレーン:ザ・ファイナル・ツアー ブートレグ・シリーズVol.6」(原題:Miles Davis & John Coltrane – The Final Tour: The Bootleg Series, Vol. 6)国内盤が3月28日に発売される。
マイルス・デイビスとジョン・コルトレーン。このモダン・ジャズ界巨匠2人による化学反応を堪能できる本作はCD4枚組で発売される。
ラジオ放送音源として一部の幸運なファンしか聴けなかった、1960年春のヨーロッパ・ツアーから5公演を収録。3月21日パリ・オランピア劇場での2公演、3月22日ストックホルム・コンセルトフセットでの2公演、3月24日コペンハーゲンのティヴォリス・コンセルトサル公演という、ツアー中で最も良かった5公演がセレクトされている。
そして、これがコルトレーンがマイルスのグループに参加した最後のツアーとなった。マイルスとコルトレーン、2人の合わせ持つパワーが頂点にあった瞬間、今でも色あせないその美学を時空を越えて体験できるファン必聴の作品となる。
このツアーが行われたのは、「カインド・オブ・ブルー」が発売されて約半年後の1960年春。当時、ともに1926年生まれで30代半ばだったマイルスとコルトレーンはそれぞれに音楽的改革の真っ最中にあり、時に競い合い時に交わる2人のヴィジョンが織りなす衝撃の走るようなサウンドを聴くことができる。
収録されているのは、マイルス・デイビスのグレイテスト・ヒッツと言うべきラインナップだ。「ラウンド・ミッドナイト」「バイ・バイ・ブラックバード」「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」「ウォーキン」「オール・オブ・ユー」等ライヴで定番のナンバーが演奏されている。
そしてマイルスが作曲した「ソー・ホワット」「オール・ブルース」は、オーディエンスにとっては当時最新アルバム「カインド・オブ・ブルー」に収められた新曲だった。パーソネルはマイルス・デイビス(tp)、ジョン・コルトレーン(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(d)で全員「カインド・オブ・ブルー」から一緒にやってきたメンバー。
「1960年春に行われたツアーは、ステージ上でも裏でも、様々な事が起こっていた。力強い、感情を露わにしたパフォーマンスでは、バンドの変化し続ける、独創的なエナジーがサウンドにも現れ、ヨーロッパの観客がそれに臆すことなく反応しているのも聞いて取れる。観客の様子も、これら歴史的なパフォーマンスならではの重要な特徴だ」と、グラミー賞受賞の音楽歴史家アシュリー・カーンが当時の様子をライナーノーツで語っている。
「本作の音楽について良く言われているのは、素晴らしいジャズ・グループがなんとか崩壊しないように踏ん張っている様子が現れているということ…また同じくらい説得力のある見方が、この1960年当時の状況としてマイルス・クインテットが偉大なグループたるサウンドを再発見している最中だった、音楽をどれほど詰め込めるか、一度に全てを、それを一つのコンサートに、さらには一つの曲の中にということだ。それはメンバーがかけ離れているということではなくて、それぞれが同じユニットにいながらにしてより自分らしい故に、分岐しながらも共存し、共作が可能だったということ。」
4CDからなる本作は、スウェーデンのDJ:カール=エリック・リンドグレンが当時ジョン・コルトレーンをインタビューした貴重な録音で締めくくられる。「怒りを感じていますか?」と聞くリンドグレンに、「いや、そうじゃない」と答えるコルトレーン。「この間も誰かに話していたんだけれど、たくさんの音を吹く理由は、もしかすると怒ってるように聞こえるかもしれないけれど、一度に色々な事を試しているから。整理していないんだ。」
本作をプロデュースするのはスティーヴ・バーコウィッツ、マイケル・カスクーナ、リチャード・サイデルのグラミー賞受賞チーム。放送局のアナログ・マスターから新たにマスタリングされており、マイルス・デイビス・エステート、ジョン・コルトレーン・エステート、レガシー・レーベルが一体となって本作の公式リリースを実現させた。
1960年3月にヨーロッパのラジオ曲で放送されたこれらの録音を長年求め、珍重するコレクターも多い。またアナログ・レコード・ファンに向けて、3月24日のコペンハーゲン公演が輸入盤国内仕様(日本語帯・解説付)アナログ盤として3月28日に同時発売予定。なおアナログ、CDともに完全生産限定盤となる。
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