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中村一義、サニーデイら豪華アーティストが集結したデビュー20周年ライブイベントが大盛況で終了

アーティスト

1月20日、東京・Zepp Tokyoにて、中村一義プレゼンツ「20→(トゥエンティ・ゴー)」が行われた。

2月18日 江戸川区総合文化センター大ホールのワンマン「エドガワQ 2017~ERA最構築~」から始まった、中村一義のデビュー20周年イヤー・プロジェクトの締めくくりを飾るライブイベント。中村一義と彼のバンド=海賊の他、ゲスト・アクトとしてサニーデイ・サービス、SPECIAL OTHERS、小谷美紗子が出演、オーディエンスと共に20周年を祝った。

ライブレポート
開場中の時間に、オープニングアクトとして、海賊のメンバーであるヨースケ@HOME(ギター、コーラスなど)とあずままどか(コーラスなど)が「前説をやれって言われたけど、何すればいいの? 『ここで拍手ー!』って練習とか?」などと言いながら登場。ふたりでしばしMCの後、それぞれ1曲ずつ弾き語り。まず、あずまがルーパー(音をリピートさせるエフェクター)を駆使してアコースティック・ギター、音と歌を何十にも重ねながら「希望」を聴かせ、ウクレレ1本のヨースケは「『かえるのうた』を思い出してください」と、「ピース」をオーディエンスと共に歌った。

本編のトップはSPECIAL OTHERS。4人がお互いの音を確かめるようにインプロヴィゼイションを聴かせた後、スッと曲に入ってしばし演奏、ブレイクしたと思ったら「どう? どう?」というあの声が響き、中村一義が登場。演奏にのってこのイベントの趣旨を説明し、「トップは僕が世界でいちばん好きなジャム・バンド、SPECIAL OTHERSのみなさんです!」と紹介──という「犬と猫 再び」に続き、「BEN」「Uncle John」の3曲をプレイした。

MCでは芹沢”REMI”優真(キーボード)が、「デビューしてすぐの頃、雑誌のインタビューでSPECIAL OTHERSを誉めてくれていたことが、ずっと自分たちの支えになっていました。本人には言ってないけど」と、感謝の気持ちを言葉にした。

転換中は中村一義がひとりでMC。「お祝いコメントをいただいています」と、海賊のギタリストでもある三井律郎(本日は不参加)、やついいちろう、七尾旅人のコメント映像を、彼らと自分の関係を説明しながら、オーディエンスと一緒に観ていく。

次はサニーデイ・サービス。曽我部恵一・田中貴のふたりにサポート・ドラマー岡山健二が加わった3人編成で、まず最新アルバム『POPCORN BALLADS』から「虹の外」と「summer baby」、その前の『DANCE TO YOU』から「苺畑でつかまえて」「セツナ」の4曲を披露。「セツナ」の後奏では3人のプレイがどんどん激しくなりながら続いていくのを、オーディエンスみんな固唾を飲んで見守る。

そして、曽我部恵一の「じゃあ、ちょっと友達を紹介します!」という言葉で、中村一義が加わる。「僕はデビューの時、サニーデイ・サービスに入れてもらいたかった人なんで」(中村)「当時それ言ったらほんとに入ってたね」(曽我部)というMCをはさんで、中村の「犬と猫」、サニーデイの「青春狂走曲」を4人でプレイする。「犬と猫」では「どう? どう?」の大合唱が起き、「青春狂走曲」ではサビで中村&曽我部の美しいハモリが響いた。

次の転換もお祝いコメント映像。グッドモーニングアメリカの金廣真悟、かつて100sのツアー映像作品のナレーションを務めた石井正則、GOING UNDER GROUNDの松本素生、デビューから10年間中村が所属していたマネージメント事務所の大先輩である宮沢和史(ex.THE BOOM)からのコメントを、中村の解説と共に聴く時間。

転換明けの三番手は、小谷美紗子。歌とキーボードの彼女を、ギター町田昌弘、キーボード高野勲、ベースTOMOTOMO club、ドラムマシータがサポートするという、本人曰く「海賊・小谷美紗子バージョン」でステージに上がった。

自分の音楽的なこだわりに対して「これで合ってんのかな?」と自信がなくなった時に、中村一義の、音楽家としてひたむきにやりたいことを貫いていく姿に「私もマイペースでやればいいと思った」と、感謝の言葉を贈る。

「Recognize」「忘れ日和」の自曲2曲でZeppの空気を自分の色に塗り替えてから、町田昌弘・中村一義と3人編成で、中村の「世界は変わる」をじっくりと聴かせてくれた。

そして最後は中村一義。「海賊プロジェクトは、このふたりのアコースティック・ツアーから始まったので」と、町田昌弘とふたりで「笑顔」と「愛すべき天使たちへ」を歌う。曲が始まると、ステージ後方のスクリーンに『太陽』『対音楽』と、その曲が収録されたアルバムジャケットが映し出される(この演出は最後の曲まで続いた)。

その2曲を終えたところで中村、「発表があります。今夜はなんと13人目の海賊メンバーが加入します」と、今日のゲストでもある小谷美紗子がメンバーになることを発表。彼女曰く、「飲んでいる時に『海賊に入りなよ!』と言われて、明日になったら忘れてるだろうと思いながら『うん、入る入る』と返事したんだけど、忘れてなくて本当になりました」。「僕がもっとも共感した曲です」と、3人で小谷の「Who」をプレイし終わったあとも彼女はステージに残り、全曲に参加した。

さらに、キーボード高野、ベースTOMOTOMO club、ドラムマシータとヨースケ@ HOMEが加わったバンド編成で最高築された「Honeycom.ware」、「永遠なるもの」を歌い上げる。曲終わりで拍手に包まれる中村一義、「ありがとうございます、ずっとこの曲を歌っていられるバカでいたいと思います」。

Hermann H.&The Pacemakersと出会ったことが本当に大きかった、その出会いがなかったらこのステージに立っているかどうかわからない、音楽をやめていたかもしれない──という言葉から、ヘルマンのウルフ・岡本洋平・平床政治を呼び込み、10人編成になる。中村、「『Honeycom.ware』に続き、サビで僕が歌ってない曲なんで」と歌での参加をあおってから「ジュビリー」へ。そのサビの、オーディエンスとメンバーによるシンガロングがZeppを多幸感で満たし、その多幸感は次の「ももとせ」へも続いていく。ウルフ、ステージを右へ左へ動きながら海賊の大漁旗を大きく振り、「わっしょい!」という掛け声とともに音楽熱が客席へと波打っていく。

さらに曲間なしでマシータのドラムから、最新アルバム『海賊盤』のリード曲「スカイラン」では、波のように左右に大きく振られ、「1,2,3」ではアクションをする手でフロアが埋め尽くされるラストは、これまで数々のワンマンやフェスやイベントで、重要な瞬間にプレイされてきた「ロックンロール」。ステージの上も下もこの日最高の熱量に包まれて、本編が終了した。

アンコールは、中村「今日はスペシャルで、参加してくれた全員でお届けします!」と、SPECIAL OTHERSとサニーデイ・サービスを呼び込み、「死んでいるように生きてる奴はいないか?」という問いかけから「キャノンボール」がスタートする……が、中村&小谷&曽我部のトリプル・ボーカルの振り分けがうまくいかずストップ、場内爆笑の中もう一度やり直すことに。

小谷→中村→曽我部の順でリード・ボーカルをとり、間奏明けのサビではメイン・ボーカルを客席に預け、この日最大のシンガロングで「そこで愛が待つゆえに」のリフレインが響き渡る、という感動的な大団円を迎えた。
最後に、今日ステージに立ったミュージシャン総勢18人で肩を組んでお辞儀。終演SEの「フラワーロード」の中、オーディエンスの拍手はいつまでも続いた。

このイベントは、本人曰く、「20周年で過去をふり返るだけじゃなくて、未来へ続いて行くことを表したくて『20→(トゥエンティ・ゴー)』というタイトルにした」という。このライブ以降の中村一義の活動は、現在のところ発表されていないが、『最高築』『20→』「新メンバー加入」を経たバンド海賊とのこれまでにない最高最強の一体感と熱量をもって、

引き続きフットワーク軽く動いていくのではないかと予想される。次のアクションを楽しみに待ちたい。

Text by 兵庫慎司
Photo by 田中聖太郎

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