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MUCC、2日間別メニューで行った武道館公演をWOWOWで独占放送

アーティスト

撮影:西槇太一

6月20日・21日に行われたMUCC 20周年記念ライブ「20年間の中で出逢えた全ての人たちと、まだ見ぬ未来のあなたへ。心からの感謝を。」日本武道館2days。この模様を凝縮して、9月3日にWOWOWで独占放送する。

MUCCは、1997年にボーカルの逹瑯とギターのミヤを中心に茨城で結成されたロックバンドだ。

リーダーであり、メインコンポーザーであるギターのミヤのルーツがフォークソングであることから、MUCCのヘヴィなサウンドの中には混沌とした世界が宿り、人間の業が赤裸々に描かれた歌詞には、生きる意味がシニカルに唱えられる。結成当初は、それこそがMUCCというバンドの個性であったと言えるだろう。彼らの音楽は、単に“ノレる”“暴れられる”ということや、ファッション的感覚で支持されている“若者だけに限定された音楽”という訳ではない。古い時代の楽曲はより色濃くフォーク色が宿っていることもあり、哀愁を孕んだ旋律や、郷愁感に浸ることのできる“体温”を感じる胸を刺す歌詞は、幅広い年齢層を魅了する。そんなMUCCの楽曲は、混沌としたヘヴィロックという原点を根底に置きつつも、その時々で新鮮に感じる、自分たちの中での“流行”を貪欲に自らの個性と融合させ、自らの領域を広げ続け今日に至る。

今回、6月20日と21日に日本武道館で行われたライヴは、MUCC史の20年の集大成といえる。フォーク、ヘヴィ・ロック、エレクトロ。そして、今年リリースされた最新アルバムで魅せた自らの原点と対面したバンドサウンドへの回帰。彼らは、この2日間で、20年間の変わらぬ軸と、変貌と進化のすべてを見せつけてくれたのである。

公演1日目。突然響き始めた秒針音と共に客席の照明が落とされ、ステージから放たれていた強い光が1秒ごとに灯火を失い真っ暗な闇に会場は包まれた。と、次の瞬間、ドラム台を囲むように灯った2つの松明の明かりがその場を照らした。ゆっくりとステージに姿を現した4人が、松明の明かりに浮かび上がる。とても厳かな空気を受け、オーディエンスは静まり返った。そんな中、SATOちのどっしりと構えたドラムから1曲目「朽木の塔」のイントロが始まった。この曲は、MUCCが初めて武道館のステージに立った、2006年6月6日『MUCC WORLD TOUR “TOUR FINAL「666」”』の始まりの曲と同じである。

“終らぬ過去を引きずって 朽木の上を偽足で歩く”と歌われる、過去の罪への深い贖罪は、MUCCの歴史の中で特別な位置にある1曲だ。彼らは初の武道館でこの曲を封印し、未来へと歩むことを決めた。それから11年経ったこの日、その封印を解き「朽木の塔」から幕を開けたのである。20周年という節目に、徹底的に過去と対面することを選んだ彼らは、この封印を解く事で、MUCCというバンドと真正面から向き合う覚悟をしたに違いない。

「初めての武道館で「朽木の塔」から始まった時は、極度の緊張と、1曲目から全身の力を込めた唄い方によって、一気に喉のバランスを失ってしまったことから、ライヴの中盤くらいまで上手く力を抜くことが出来なくて、自分が納得いく唄が歌えなかったのがすごく悔しかったけど、この日は力が入り過ぎることなく歌えた。2日目は純粋に自分たちもライヴを楽しめたしね。何よりも、よくファンが付いて来てくれてるものだなって思ったね」と、ボーカルの逹瑯は2日間のライヴを振り返る。

いつもMUCCのセットリストはミヤ(G)が決めているのだが、今回の武道館のセットリストは、逹瑯(Vo)とYUKKE(B)とSATOち(Dr)であったと言う。

「YUKKEと2人で近くのファミレスに行って、逹瑯とはその場でメッセージのやり取りをしながら3人で話して決めていったよ。最初は40曲くらい候補曲があったかな。そこからいろいろと話して、バランスを考えて組み立てていった感じ」(SATOち)

「『朽木の塔』で始まることは決まっていたから、そこは絶対として、全体の流れを見ながら並びを考えていった。旧曲と最新曲たちをどうバランス良く絡めていくかというところにも、すごく気を遣ったかな。20日に「朽木の塔」から始まって、21日のラストを『ハイデ』で締めくくっているのが、この2日間の武道館ライヴの肝だったと思うし、見所でもあると思う」(YUKKE)

MUCCとは、実に不思議なバンドである。新旧の曲が見事に溶け合っていた景色も、実に印象深いものだったのだ。中でも、最新曲である「りんご」が、旧曲か?と錯覚するほどの馴染み方をしていたことや、当時のままのアレンジで届けられた「1979」が、スキルアップしたサウンド感により、最新のMUCC曲かと思うほどに表情を変えていたことも、20周年を意識した、このセットリストならではの不思議であったように思えてならない。「朽木の塔」という特別な序章からはじまった1日目は、彼らが歩んできた歴史を鮮やかに蘇らせた。

公演2日目。ステージから客席を照らす透明な光が、宙を彷徨う中、4人が姿を現すと、オーディエンスは大きな歓声で彼らを迎え入れた。真っ白な衣装に身を包んだ逹瑯は、両手を大きく広げた後、ゆっくりと言葉を発した。

「20年間の中で出逢えた全ての人たちと、まだ見ぬ未来のあなたへ。心から、心からの感謝を。ありがとう———」(逹瑯)

美しくも激しい「脈拍」が客席へと流れ込む。20年という歴史を積み上げてきた彼らが生み出した、最新のMUCCである。ラウドなサウンドの中に、どこまでも現実的で赤裸々な感情を乗せながらも、ロマンチシズムなメロを漂わせる彼らの個性は、聴き手を一気にMUCCの世界へと引きずり込んだ。

前日の重く、暗い緊張感の漂う世界観とは異なり、ディスコサウンド的な4つ打ち曲や、デジタル要素が強く取り入れられたサウンドも多くみられた。「ファズ」は、彼らが初めてエレクトロニカを取り入れたナンバーでもあり、大きくバンドの音やイメージを変化させたきっかけとなった1曲だ。特別な開放感を含んだヘヴィチューンである「KILLEЯ」では、スタンディングエリアに巨大なサークルモッシュが出現するという、ここ最近のMUCCのライヴを眺めることが出来た。

“ならでは”の哀愁をおびたメロディの運びがMUCCの原点を感じる「空と糸」、マーチングドラムから始まるヘヴィなダンスナンバー「G.G.」、艶やかなフュージョンテイストのノリのダンス曲「秘密」も、前日のライヴ感を一掃した。このブロックでは、ロックバンドのライヴでありながらも、フロアは全身に音を浴び、体を音に委ねるといったクラブ的なノリで埋め尽くされていたのだ。

本編の後半に届けられた「咆哮」「ENDER ENDER」「Mr.Liar」といった逹瑯のデスボイスを取り入れたボーカルが楽曲を力強く突き上げるラウドロックでは、フロアにサークルモッシュやダイブが起こり、中盤で魅せたクラブノリで会場を盛り上げていたバンドと同じバンドとは思えない激しいノリを見せつけてくれた。

そして、YUKKEがコメントで“この2日間のライヴの肝である”と語っていたラストの曲「ハイデ」では、結成当初のMUCCからは生まれてくることはなかった、鮮やかな景色を描き届けた。この曲の中程で舞い上がった真っ白な紙吹雪を浴びながら、オーディエンスは彼らの音に両手を高くかざし、盛り上げた。

「2日間通して良いライヴだったと思う。『朽木の塔』はこの武道館で浄化されたから、もう一生やらない。そういう意味でも、今回の武道館のライヴは特別なライヴになったと思う。」と、ライヴを振り返ってミヤが語ったとおり、この2日間で改めてMUCCというバンドの進化が感じられたように思う。そして、進化し続ける新たなMUCCの音を受け入れたファンたちが、MUCCというバンドをさらに飛躍させてきたとも言えるだろう。

彼らは今、まさに20周年イヤーの真っただ中に身を置き、この1年をかけ、徹底的に自らの過去と向き合っている最中だ。9月9日からは、グランキューブ大阪を皮切りに「MUCC 20TH ANNIVERSARY 殺シノ調ベ This is NOT Greatest Tour」と題したホールツアーが始まる。そして12月27日には主催イベント『「えん7 FINAL」in 武道館』で、この武道館に帰ってくる。

この先に続くMUCCという歴史は、まだまだ止まることを知らない。

番組情報
MUCC 20周年記念LIVE日本武道館 2days公演
2017年9月3日(日)21:30 WOWOWライブ
収録日/収録場所:2017年6月20日、21日/東京日本武道館
番組特設サイト:http://www.wowow.co.jp/music/mucc/

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