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The MANJI、アルバム「TRIPLED」ツアー東京公演は熱くて温かいロックな空間に

アーティスト

ROLLY(Gu&Vo)、佐藤研二(Ba&Vo)、高橋ロジャー和久(Dr&Vo)によるロック・トリオ、The MANJIが9月27日に渋谷CLUB QUATTROにて『The MANJI「TRIPLED」RELEASE TOUR』の東京公演を開催した。

会場に入ると客入れのBGMは古き良き時代のHR/HM。それだけでテンションが上がってしまったのは筆者だけでないはずだ。見渡せば同世代の男女達。青春期に通ってきたものも窺い知れる。そして、いつしかBGMがJudas Priestナンバー…しかもデビューアルバム『Rocka Rolla』からの楽曲が立て続けに流れる中、客電が落とされたーー。

7月にリリースした8年振りのアルバム「TRIPLED」を引っ提げてのツアーということもあって、オープニングを飾ったのは同アルバムの1曲目でもある「MANJIパワーMANJIドリンコ」。初っ端なから軽快なグルーブと抜群のコーラスワークでフロアーの床を揺らし、佐藤は左手に白い手袋を着用したお馴染みのスタイルでベースをギターのごとく弾きまくってブリブリと鳴らす。早くもThe MANJIの世界が大きな口を広げ、観客をまるごと飲み込んでいった。そこに畳み掛けるように“みんな、肩の具合はどないや?”とロジャー。50オーバーの男の悲哀とも言える、五十肩を歌った「フィフティーショルダー」が投下され、コミカルな歌と痛快なサウンドが観客をさらに酔わせる。そんな序盤2曲の余韻に浸って、“いきなりロックコンサート全開っていう感じで、いい感じです!”とROLLYもすでに満足げだ。

ライヴはその後もアルバム「TRIPLED」のナンバーが次々と披露され、加速度的に熱を帯びていく。ツアー21本目ということもあって、アルバムの曲も成長し、柔軟性を持っていて、十二分に起爆力を発揮しているのが印象深い。また、3人のいぶし銀のプレイも余裕があっても隙はなく、緊張感や緊迫感をまとい、目の前のロック好き達のツボをガンガンに突きまくっている。観客はクラップや歓声で呼応しながら高揚感を高め…それは“熱狂”というより、その表情は“楽しい!”のひと言に尽き、フロアーは笑顔がいっぱいで、ハッピーな空間が生まれていた。

そんなピースフルなライヴにプレミアムスーパーゲストとして招かれたのが、5月のShibuya duo MUSIC EXCHANGEでのワンマンライヴでも絶大なインパクトを残した、すかんちのドクター田中。キーボーディストでありながら前回はギターを持っての登場に驚かされたが、今回はギターすら持っていないのがさすがだ。独特の間合いのトークで場の空気をかき乱すのも“ドクター田中、健在”といったところか。彼の一挙手一投足にメンバーも含め、会場の笑いが絶えない。そして、まずはドクター田中がカウベルを担当して陽気なブルースロック「恋の奇跡」を披露すると、続く「まままままんじ」ではロジャーがタンバリンを持ってフロアーを徘徊。最終的には卵型のシェイカーを振るドクター田中だけをステージに残し、ROLLYも佐藤もフロアーに降りて、センチメンタルなムードを持ったサビの♪ままままままままんじ、いえい〜というフレーズを全員で合唱する場面も。アットホームな空間がそこに渦巻いていたことは言うまでもない。

そして、迎えたのは今夜の見せ場のひとつ「ユミコとタクシー」。ロジャーの語りによる“初恋の甘い思い出”を綴ったドラマチックな大曲で、涙あり、感動あり、もちろん笑いもあって、ここにも彼の悲哀が詰まっているわけだが、その想いをROLLYがギターで情感たっぷりに表現していたのも特筆すべきところだろう。ちなみにドクター田中は小さなグロッケンとコーラスを担当。その後、メインヴォーカルを務めるすかんちのナンバー「恋人はアンドロイド」でフロアーを大いに盛り上げると、今回もキーボードを弾くこともなく、ステージを去っていった。

いよいよライヴは終盤戦。「卍 part2」で口火を切ると、そのまま一気にラストスパート! 3人はオマージュやリスペクト以前に、キッズの頃に戻ったかのようにルーツロックのエッセンスを含んだフレーズを弾きまくり、叩きまくる。しかも、それぞれが好き放題にやろうが、そこは押し引きを熟知した百戦錬磨のプレイヤーだけに、がっちりと噛み合った強烈なグルーブを作り出し…むしろ、何倍も威力を増してフロアーを焚き付ける。繰り出されるサウンドに体を預けて踊り、クラップし、一緒になって歌うオーディエンス。その光景を見てテンションをさらに高めていくメンバー。そんなエナジーの循環が延々と繰り返され、ROLLYも“何万人もいるような気持ちになるね”と、佐藤も“うわぁ〜ってなるよね(笑)。ロックバンドの醍醐味を感じました”と興奮が隠せない。しかも、普通ならアーティストが感極まった時に言う“サンキュー”という言葉を、逆に観客全員で言うという前代未聞のシーンもあり、ステージにもフロアーにも最高の笑顔が広がっていた。そして、アルバム「TRIPLED」の最後を飾る飛翔感のあるポップなロックチューン「Fly High☆Me」で本編が締め括られると、観客達の満面の笑顔と盛大な拍手がメンバーをステージから温かく送り出す。

アンコールは「TRIPLED」から。ROLLYがドクター田中を呼び込むの忘れて曲を演ろうとしたのはご愛嬌で、抜群のテクニックに裏打ちされたハードロックサウンドが会場を再び沸騰させ、パッションがほとばしる圧巻のソロ回しでは、歓声があがり、フロアーいっぱいにメロイックサインが高く突き上げられる。オーラスは「ハンティーフラッシャー」。疾走感の上を行く爆走感で爽快にぶっ飛ばすサウンドが、この日一番の熱気とクラップを発生させて大団円。誰もが完全燃焼した心地良い疲労感を噛み締める中、場内に客出しがBGMが流れたのだが、それが全員で大合唱した♪ままままままままんじ、いえい〜のフレーズだったことも追記したい。まさに最後の最後までハートウォームな空間が、そこにあった。

TEXT:土内 昇
PHOTO:土田 紘

【セットリスト】
1. MANJIパワーMANJIドリンコ
2. フィフティーショルダー
3. ヘイユー
4. 来るのでっす
5. おまえにほれた
6. Let’s get FUNKY
7. 恋の奇跡
8. まままままんじ
9. ユミコとタクシー
10. 恋人はアンドロイド
11. 卍 part2
12. ロックンロール中学生
13. 地獄の極楽
14. Fly High☆Me

ENCORE
1. TRIPLED
2. ハンティーフラッシャー

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