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w.o.d. “本質的にかっこいいと思えるバンド”スサシ&THIS IS JAPANを迎えた自主企画『スペース・インベーダーズⅢ』をレポート

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w.o.d. presents “スペース・インベーダーズⅢ”
W / SPARK!!SOUND!!SHOW!!、THIS IS JAPAN
2019.9.23 渋谷CHELSEA HOTEL

今年に入り3回目の開催となった、w.o.d.が主催し現行ライブハウスで活躍するバンドたちと共に一夜を作り上げていく自主企画イベント『スペース・インベーダーズ』。その『Ⅲ』が今回は名古屋、大阪も交え東名阪にて実施された。大阪・名古屋では盟友とも呼べる名古屋のSuspended 4thとのWネームにて行なわれた。また、この渋谷CHELSEA HOTELでは、SPARK!!SOUND!!SHOW!!とTHIS IS JAPANといった音楽性やその伝達スタイルこそ違えど、会場を惹き込み、巻き込み、終わった後に何か嵐が去った後のような、観終わった後に「凄かった……」という感想を残すバンドたちとの共演が繰り広げられた。

今年初旬の第一回目は下北沢近松、春の第二回目は下北沢BASEMENT BAR、そして今回は渋谷CHELSEA HOTELと毎度ステージもキャパも大きくなっている同イベント。こと今回のCHELSEA HOTELは内装もゴージャスさと、ちょっとした退廃さやホーンテッドな雰囲気も手伝い、誠にこの3グループにはピッタリの会場であった。

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「同業者の自尊心をズタズタしにやってきたぜ!!」とステージ一番手に現れたのはSPARK!!SOUND!!SHOW!!。場内を支配しコントロールするかのような、独特の緊迫感を終始まき散らしていった彼ら。まずは、ラガmeetsダブステップ&ガバがミックスされたかのような「感電!」でのタナカユーキ(Vo/Gt)、チヨ(Ba)、タクマ(Key/Gt)による3MCスタイルにて言葉の連射が始まる。続く「GODSPEED」ではイチロー(Dr)の躍動感たっぷりのドラムとタクマ(Key/Gt)のディストーションギターも加わり、ドライブ感が場内に寄与されていく。そしてダークメタルな「黒天使」では、ラウドさを擁しながらも持ち前の躍動感が場内をバウンスさせ、「かいじゅうのうた」の際には、モーゼの十戒の如く満場のフロアが真ん中より左右に裂け、その真ん中でタナカが渾身を込めて歌う場面も印象深かった。
「w.o.d.とはフェスで一緒になってからの友達。俺らがいい感じで(今後シーンを)引っ掻き回していくから」とタナカ。そんな彼がギターを手に「BRUSH UP」へ。ラガも混じったライミングとドライブ感溢れる疾走が場内も引き連れ走り出していく。続く「無愛愛」ではラテンポップ混じりのサウンドが会場をバウンスさせ、モータードライブ的なストレートさもインパクト大であった「SCAR」、それらとは対照的にムーディでセクシーな「good sleep」では一気に全く違った雰囲気と、そんな中、たゆたうように歌うタナカの姿も想い出深い。また、会場のiPhoneのライトだけの中、ムーディに歌った「MARS」を経て、ラストはこの状況を今にひっくり返してやるとのフリースタイルから「南無」へ。バウンス性の高いサウンドの中、タナカが歌いながらフロアを横断しバーカウンターに着。そこで同曲を歌い切り、彼らはライブを終えた。

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2番手のTHIS IS JAPANは、これからの作品化が楽しみな未発表の新曲群を立て続けに放ってくれた。
深くリバーブのかかった幻想的な小山祐樹(Gt/Vo)によるギター音を抜け、突込んでくるようなかわむら(Dr)によるタイトなビート。そこに乗る杉森ジャック(Gt/Vo)のやさぐれ気味の歌と共に「グルメ」がスリリングさとヒリヒリさを伴いフロアめがけて飛び込んでいく。続いて水元太郎(Ba)が生み出すドライブ感も効いた「ストロボ」では、かわむらの育むカウパンクのりの2ビートが会場をグイグイと惹き込んでいき、スタックスビートからよりドライブ感を駆り立てるように「apple me」に入ると醸し出される痛快さにフロアも更なる激化を見せていく。
「時間を守れない自身に自戒の念を込めて」と入った「Yellow」で歌われたのは、そんなのノープロブレム&君次第と正反対のことだったりもした。続いて杉森もギターを持つ。「Z.Z.Z.」に入るとグルーヴィさやハネた部分が更に場内に躍動感を寄与し、場内のバウンスも激化。続く「D.I.Y.」では、性急的で突込んでくるサウンドに乗せ、やりたいことだけ、好きなことだけやればいいさと歌で誘発してくる。
「w.o.d.には自分たちのコンピ盤『NOT FORMAL ~NEW ALTERNATIVE~』に参加してもらい、その際のレコ発ライブも一緒にやった仲。これぞまさに相思相愛。その結果が今日の共演へと繋がっている」と杉森。その言葉を経て以後はラストスパート。ボルテージもグングン上がる。抜き差しによるメリハリも織り交ぜたドラマ性とそこを抜けた気持ち良さもたまらなかった「悪魔とロックンロール」、小山もボーカルを取るツインボーカルスタイルで夜を駆け抜けろと歌われた「GALAXY」ではステージに向けて無数の拳が上がった。そして、ラストの「カンタンなビートにしなきゃ踊れないのか」がそんなもん関係ねえよとばかりに痛快に放たれた。何もかもを一緒に吹き飛ばしてくれたかのような爽快さを残し、彼らはステージ袖へと消えていった。

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SEが流れ、ステージ上に漂う濃いスモークの中、w.o.d.の3人が現れる。まずはお互いが向き合う。発せられる1音までの間に緊張感が張り詰める。それを突き破るようにスリリングなサイトウタクヤ(Vo/Gt)のギターカッティングが場内いっぱいに鳴り響く。1曲目は「0」であった。のっけからグイグイとステージへと惹き込みにかかる3者。更に深部へと誘うように「THE CHAIR」に入ると、中島元良(Dr)が生み出す16ビートが踊らせると同時に有する緊迫感をたきつけてくる。音数が少ないぶん抜き差しにてドラマづけが成されていった同曲を経て、「丸い真理を蹴り上げて、マリー。」に入ると、Ken Mackay(Ba)の運指の多いベースとタムを活かした元良のドラミングがウネリを育んでいく。場内からも無数のコブシがステージへと返る。また、「KELOID」では同曲の擁する緩やかな上昇感に、あえて変拍子を交える場面も。そこを抜け出会える天空感がたまらなかった。対して「Mayday」では元良の生み出す硬質な16ビートが場内を腰で踊らせ、対照的にサビでは急に天空に引き上げられるような感覚を味あわせてくれた。

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ここでMC。「この共演に感謝。本質的にかっこいいと思えるバンドを集めた。他の2バンドも自分たちには持っていない面を持っている同じかっこいいバンドたち」とサイトウ。
ここからはミディアムな曲が続いた。「サニー」ではどことなくの夜明け感が味わえ、「みみなり」のサビではパーッと広がっていく開放感が楽しめた。

ここからは後半戦。Kenの重いベースリフにサイトウの揺らぎ成分の混じったギターも特徴的な「スコール」が全部さらっていってやる!と言わんばかりに放出されれば、「1994」では再び緊迫感を会場に引き戻す。また、「Fullface」での元良の叩き出すジャングルビートが血湧き肉躍らせていく中、辿り着いた本編ラストに待っていた「lala」では、開放感と共に場内が大団円的へと導かれていくのを見た。同曲後半のハミング部では場内も合わせて大ハミング。それを経たアウトロの怒涛さがまた凄かった。これぞまさに三位一体。三者一歩も引かずにグイグイとこれでもかと己の音をブツけ合った。とはいえピークがくると、まるで何もなかったかのようにピタっと音止め。「凄い……」との感触と余韻だけを残し3人は一旦ステージを降りた。

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アンコールは2曲。新境地的な楽曲と、今後も続いていくであろう彼らの旅を明示し大団円へと導いた楽曲たちが贈られた。対照的ながら、どちらも今後への彼らへと夢を馳せさせる楽曲ともいうべきこの2曲。
まずは発売したばかりのニューミニアルバム『1994』から「音楽に救われてきた。自分もそんな音楽が作れたら」との思いが込められた、彼らの新境地的なナンバーとも呼べる「セプテンバーシンガーズ」が、これまではやや見えにくかった歌を届ける先、歌うべく相手に向けて歌われた感のある同曲が光へと導いてくれた。また、それとは対照的にラストに放たれた「Wednesday」では、再び会場をグイッと引き寄せ、エンドレスな未来に向けて駆け抜けていった。最後はサイトウによる「バイバイ」の一言。その言葉とこれまでは観後もあまり湧かなかったポっとした温かい気持ち、そして明日へと向かっていくささやかな活力を会場に残し、3人はステージを去った。

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すでにニュース等で案内されてはいるが、w.o.d.は次のワンマンライブを来年2月に代官山ユニットにて行うことも決定している。新境地も伺え、ダンサブルでより共有感や「グランジ」以降の音楽性が詰まった今回の『1994』を経て、そこではどのような音が鳴らされ、響き、オーディエンスと共に昇華されていくのか。そのあたりもますます楽しみになったこの日。彼らがどこに、どのように進んでいくのかを今後も見守っていきたいとの気持ちがますます募った一夜であった。
 

文=池田スカオ和宏

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