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オフコースの名曲たちがクラシックで蘇る、さかいゆう、佐藤竹善、平原綾香ら横浜で競演

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オフコース

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10月27日(日)に神奈川県民ホールで開催された『オフコース・クラシックス・コンサート』のオフィシャルレポートが到着した。


オフコースの代表曲をオーケストラの編成で演奏し、世代を超えたシンガーが歌う。そんな企画アルバム『オフコース・クラシックス』が10月23日にリリースされて、発売記念コンサートが27日に所縁の地である神奈川県民ホールで行われた。

演奏を担うのは神奈川フィルハーモニー管弦楽団、指揮するのはアルバムのアレンジも手懸けた服部隆之。作曲家としても活躍している服部さんは、緻密に楽曲を制作し、幾重にも仕掛けがあるオフコースの音楽を「音楽IQが高い」と評している。

さて、開演時間の17時になると、神奈川フィルハーモニー管弦楽団のメンバーが次々にステージに登場する。オープニングで演奏されたのはアルバム未収録の『眠れぬ夜』と『秋の気配』。メロディーをフルートやサックスなどの管楽器が歌うように奏でる。弦楽器ではなく、管楽器とは少し意外に感じられたが、聴くにつれて、人によっては吹奏楽を思い出し、オフコースと共にあった青春時代が蘇るのではないだろうかと思った。

演奏がコントラバスとドラムによるジャズ風に切り替わる。服部さんによれば、「レイ・チャールズの世界観を再現したアレンジ」だとか。そこに登場したのがトップバッターのさかいゆう。優しい声で『愛を止めないで』を歌い始める。エモーショナルに歌い進めるなかで、せつなさと愛が伝わってくる。

MCで「小田和正さんの歌い方を普段からパクっています」と告白。小田さんのことが大好きで、初めて会った時に「ファンです」と告げると、「そうだろうな」と返ってきたエピソードを披露して、会場の笑いを誘う。

再び神奈川フィルハーモニー管弦楽団が2曲続けて演奏する。ハープとチェロの演奏が印象的だった『愛の中へ』と、『でももう花はいらない』。後者は、鈴木康博さんが作曲した楽曲で、バロック風にアレンジしたと紹介される。

2番目に登場のゲスト・シンガーは、佐藤竹善。アルバムでも歌った『生まれ来る子供たちのために』は、ピアノの伴奏で歌い始めて、メッセージを響かせたいという思いが歌から伝わってくる。この歌を「高校1年生の時に、友達の家で、60回くらい連続で繰り返しながら聴き続けたことがある」と言う。当時女性ファンが多かったので、男子はオフコースが好きだとなかなか公言しにくかったそうだ。

続いて、アルバムでは平原綾香が歌った『言葉にできない』をパフォーマンス。一音一音をかみしめるように歌う。アルバムとは異なる、讃美歌風のアレンジから祈りが伝わってくると思ったら、間奏で、世界で一番美しいと言われるモーツァルトの『クラリネット協奏曲イ長調』を盛り込んだと紹介される。

次にサックス奏者の西村貴行さんが登場し、『I LOVE YOU』でソロ演奏を披露する。「アレンジが施されても、心に響くメロディーが生きている。吹きながら、鳥肌が立ってくる」と話す。服部さん曰く、「小田さんの楽曲には構築美がある」とのことだ。

3番目のゲスト・シンガーは、韓国出身のソン・シギョン。会場のファンから歓声があがる。まずアルバムでも歌った『君住む街へ』を披露。レコーディングの際は、体調が悪くて、当初ソウルで歌ったものの、東京で録り直したという。年齢的に「リアルタイムでオフコースは聞いていないけれど、小田和正さんの歌を知り、その後時代を遡って聴くようになった」と話す。

ここでMs.OOJAが登場し、ソン・シギョンと交互に歌う。彼女が初めに歌ったのは『さよなら』。アルバムでは上白石萌音が歌った曲で、イントロの後、無伴奏で歌い始めて、アコースティックギターとチェロが合流する。そのアレンジが素敵。そして、Ms.OOJAのアプローチが清楚に歌った上白石萌音の歌とは真逆というか、愛に対する大人の女性の情念を歌う。それを”僕“という言葉がさらに強調するかのようだった。

ここで最後の2曲は、立って踊ってもいいですよ、と指揮者の服部さんが促す。再びソン・シギョンが登場し、『YES-NO』を歌い始めると、大きな手拍子が沸き起こる。ペンライトも振られる。

そして、Ms.OOJAが再登場して、最後の1曲『YES-YES-YES』を歌う。ブルーのフリンジのエレガントなドレスに身を包みつつ、繊細な小田和正のヴォーカルとは対照的な、生命力たっぷりの太くたくましいヴォーカルで歌いあげる。カヴァーの多様性、おもしろみを堪能させてくれる。

最後にカーテンコールで全員が登場する。その姿に服部さんがコンサート中盤で、「男性陣は、全員キーを下げてもいいですよ、と言ったのに原曲と同じ、つまり小田和正さんと同じキーで歌いたがった」と語ったことが思い出された。誰もが小田和正をリスペクトしているのだ。

文=服部のり子

 

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