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倖田來未が最高の公演と名高い『JAPONESQUE』を『大阪文化芸術FES 2019』で再現、肉体芸術と呼ぶにふさわしい至極のパフォーマンス

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倖田來未

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『大阪文化芸術フェス2019 KODA KUMI LIVE JAPONESQUE re(CUT) 』2019.11.8(FRI)COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

2019年9月4日、倖田來未は、大阪文化の魅力を国内外に発信する『大阪文化芸術FES 2019』の記者会見に臨んでいた。彼女はその席で、『KODA KUMI LIVE JAPONESQUE re(CUT)』を開催することを発表。同公演は、2013年におこなったアリーナツアー『KODA KUMI LIVE TOUR 2013 〜JAPONESQUE〜』を、演出規模を変えずにホール会場で再現するというもの。

2013年の『JAPONESQUE』といえば、日本をテーマに、アリーナ会場ならではの豪華絢爛さで観るものを魅了。さらに倖田が、感性と表現力の極地へ挑んだパフォーマンスを展開。彼女自身にとって想い入れが深いことで知られている。完成度が非常に高く、好評価を浴びたライブを、わざわざアップデートさせる必要性はあるのだろうか。倖田に以前、インタビューをおこなった際「格好良いものを、格好良く塗り替えることは難しい」と語っていた。もしかすると今回の『JAPONESQUE re(CUT)』は、自分で自分を苦しめることになりかねないのではないだろうか。そのように感じるところもあった。結論から言うとそれは杞憂に終わった……というより、こちらの陳腐な不安や想像を遥かに凌駕し、「エンタテインメントとして最高峰」と絶賛したくなるほど、贅沢な90分間を体験させてくれたのだ!

倖田來未

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場内を埋める、多くの女性。ちびっこの姿も数多く、実に幅広い層から支持されていることがわかる。そんな中、故郷・京都の風情を彷彿とさせる太鼓橋のセットの奥から、花魁姿の倖田が登場。

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1曲目「So Nice」では、男性ダンサー扮する傘持をしたがえ、豪華な着物をまとった倖田が花魁の街歩きを再現しながら妖艶に歌う。場内には桜吹雪が舞い上がり、会場全体に花火の映像が打ち上がる。

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山口百恵の楽曲をカバーした「さよならの向う側」では、白いドレス姿の倖田がせりあがり、それに連れてドレスの裾がステージいっぱいに広がっていく。まるで映画館のスクリーンのように伸び広がったドレスに投影されるのは、星屑やスパンコールなどをイメージさせるキラキラした映像。そしてBメロの始まりには何と、大阪名物・通天閣が倖田のドレスに映し出される。これは大阪公演だけの限定映像で、後にも先にも今回のみ。観客はその圧倒的なスケールと美しさにうっとりと見惚れていた。

倖田來未

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何度見ても驚かされるのは、今や倖田の代名詞にもなっている、命綱なしで挑む空中でのアクロバットだ。hideの曲のカバー「ピンクスパイダー」では、倖田が鳥かごの上に立ってそのままリフトアップ。どんなに揺れても踏ん張る脚力、強靭な体幹からくる見事なバランス感覚は、息をすることも忘れるくらい圧巻。

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「OMG」でも、天井から吊るされたヨガハンモックに捕まり、腕力のみで上へ登ったり空中で大回転をみせたりと、アスリート顔負けの身体能力を披露。

倖田來未

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倖田の肉体を最大限に駆使したパフォーマンスの数々。まさに、ボディアートと言えるのではないだろうか。

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あと、演出面で特筆したいことがある。開演してすぐ、場内に甘い匂いが漂い始めた。てっきり、女性のお客さんが多かったのでスイーティーな香りがしていたのかと思ったが、ライブ後に倖田に直接話を聞いたところ「桜の甘い匂いを実際に漂わせていたんです。倖田來未のライブは視覚、聴覚、嗅覚で楽しんでほしいから」と語ってくれた。ファンにライブを楽しんでもらうため、常にアイデアを欠かさない倖田らしい凝った演出だった。

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もちろん歌唱力、ダンス力も素晴らしい。ダンサーたちと一緒にバキバキに踊っても、息を一切乱すことなく歌い上げる様は圧巻。ドラマ性をまじえたダンスは特に見応えがあり、中でも「Slow」では悲痛な想いを交えた表現もあいまって、心に突き刺さるものがあった。

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歌唱面も、UAの代表曲のカバー「情熱」の終盤でみせるスキャットや、「愛を止めないで」の心地よいビブラートなど、倖田の歌のうまさを何度も実感。

カバー曲「Livin’ La Vida Loca」では全編英語詞で歌唱。倖田の情熱的な歌い方は、寒くなってきたこの季節を忘れさせるくらいホットな気分にさせた。さらに、手を交差させたり払いのけたりするような仕草の振り付けは、観客も一緒になって振りコピ。一体感が生まれ、ライブがより一層加熱した。

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1曲目「So Nice」から15曲目「OMG」まで、MCコーナーをはさまずノンストップでライブ。しかし決してタイトになりすぎていない。それはやはり、倖田のチャーミングな人間性が顔を覗かせていたからだ。

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ラストを飾った「愛のうた」の前に、この日初めてのMCをおこなった倖田。「大阪文化芸術FESに呼んでいただいて、本当にライブにこだわってきて良かった。今回はアリーナでやっていたセットをホールに持ち込んで、4D、3Dのように「飛び出る來未」を楽しんでもらいたかった。こんなに手が届くような距離、アリーナではありえないから。私の夢物語を、スタッフが作り上げてくれた。温かいファンの皆さん、そしてスタッフ、たくさんの方々に愛をもらうことができました」と感謝し、涙を浮かべる。そして同曲を、会場の一人一人に届けるように、高ぶる感情を隠すことなく歌い上げた。

倖田來未

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2013年『JAPONESQUE』の再現ライブではあったが、まったく違う印象を得ることができた。それはやはり、6年の間で培われた倖田の成長があるからにほかならない。歌唱力、ダンス力、筋力、表現力。すべての力のグレードがアップ。だからこそ今回、『JAPONESQUE』は進化した。また何年後かに再び、『JAPONESQUE』に挑んで欲しい。そう思えた夜だった。

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取材・文=田辺ユウキ 撮影=田中聖太郎

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