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WEAVER、12/3にBillboard Live TOKYO公演を開催 テーマは“大人WEAVER”

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12月3日、東京・六本木のBillboard Live TOKYOにて、WEAVERのスペシャルライブ「Billboard Live 〜The Beginning of Our Thirties〜」が開催された。

この日は杉本雄治(Piano&Vocal)の30歳の誕生日。これにて、奥野翔太(Bass & Chorus)、河邉徹(Drum & Chorus)、3人共に30代へ突入となる。

「メンバー全員が30歳になった最初の日に、ずっとライブをしたかったBillboard Live TOKYOでできることが本当にうれしい。30歳、最高のスタートを切りたい」と杉本。

“大人WEAVER”をキーワードに、ストリングス、後にサックスをも迎えた編成を組み、この1日のためだけにつくりこんだ特別なアレンジを携えて臨んだ。

ライブは2部制で開催され、1st STAGEは18:30、2nd STAGEは21:30に開演。ドレスアップした観客は、食事と飲み物を楽しみながら、客席を通過してステージへと向かうメンバーを大拍手で出迎えた。
 

WEAVER 12月3日 Billboard Live TOKYO 撮影:関口佳代

まずは、舞降る雪のようなリズムと細やかさで奏でられる杉本のピアノで幕開けたオープニング・セッション。呼吸の合ったアンサンブルで、心地よい音の世界へと聴き手を招き入れていく。
 

WEAVER 12月3日 Billboard Live TOKYO 撮影:関口佳代

「トキドキセカイ」は歌メロの良さと疾走感はそのままに、間奏で大胆なアレンジを披露。河邉は満面の笑みで、喜びやトキメキを全身で表現していく。
 

WEAVER 12月3日 Billboard Live TOKYO 撮影:関口佳代

「Stay」はスティングを彷彿とさせるレゲエ調の裏打ちリズムで、ヴァイオリンの雨宮麻未子、チェロの伊藤修平の歯切れ良いピチカートも心地よい。奥野の鳴らす低音が効いていて、渋く大人っぽく曲を聴かせた。
 

WEAVER 12月3日 Billboard Live TOKYO 撮影:関口佳代

若き焦燥感、やるせなさを当時は感じたヒット曲「Hard to Say I love you〜言い出せなくて〜」も、音を鳴らすこと自体を楽しんでいるメンバーの余裕が感じられる演奏。遊び心に溢れたリズム変動もスリリングで、大人びた印象に生まれ変わっていた。

MCでは、6年前に初めてBillboardのステージに立った「MTV Unplugged」ライブを振り返って、「前は異様な緊張感があった。お客さんも…」(奥野)「お互いにね(笑)」(河邉)と笑い合ったが、時が経った今回の公演では、場の空気感を味わい楽しめている様子が伝わってくる。

また、Billboardとのコラボレーションで、メンバーのアイディアを元にした限定メニューも3つ用意されていて、特別感を盛り上げた(2nd STAGEでは売り切れるほどの人気だった)。

一足早く6月に誕生日を迎えた河邉が、30歳になって初めて存在を知ったというジェノベーゼ、スイーツ好きな杉本のカルア・トースト、そして楽曲タイトルに由来し、誕生日を迎えた杉本に贈られたスパークリング・カクテル「流星〜Celebration〜」。

メニューにも用いられている“感動オリーブオイル”は杉本も愛用しているそうで、自宅でフレンチトーストをつくっている、というエピソードも。家でフレンチトーストをつくる・つくらないという話題で談笑する3人のやり取りは、30代になったとはいえ、これまでと変わらぬ無邪気な彼らのままだった。

カクテルはメンバーの手元に届けられ、奥野の「30代の始まりの夜に!」との発声で乾杯。特別な一夜は、まだまだ始まったばかりである。

12月らしく、「冬にぴったりな曲たちを持ってきたので、楽しんでもらえたら」と、山下達郎の「クリスマス・イブ」、ワム!の「ラスト・クリスマス」といった楽曲群を、WEAVERのコーラスワークの良さが際立つアレンジでメドレー。

なだらかに「ふたりは雪のように」へと繋げると、やがてミラーボールが眩く光を放ち始め、雪の結晶のフォルムをした光がステージを照らしていく。

間奏で背後の幕が左右にゆっくりと開くと、そこにはイルミネーションきらめく夜景が出現。夢見心地へと誘われた。加えて、サックスでLupinのテーマをジャジーに奏でながら楢崎誠(Official髭男dismのベース&サックス)が登場。

奥野がベーシスト飲み会で意気投合して以来、4月から開催していた自主企画「WEAVING ROOM」にも招き、交流を深めて来た同年代の盟友である。

奥野の呼びかけで観客は立ち上がり、「Wake me up」「だから僕は僕を手放す」「Another World」を連打。杉本もピアノを立ち上がってプレイ。サックスの力強いブロウも後押しし、サウンドはより一層ゴージャスでドラマティックに変貌。聴きながら体を揺らし思わず走り出したくなるような歌と演奏を放ち、会場はまるで熱狂するスタジアムのような高揚感に包まれた。

「Billboardでこんなに汗を掻く人がいるか?って話ですよね(笑)」と2nd STAGEで杉本が語っていた通り、落ち着いたムードを湛えた会場を勢いよく飛び出していくような、ロックバンドとしての心意気を感じさせる3曲だった。

Billboardはメンバーにとって思い入れが強い憧れの会場で、「平成最後、30代になって最初のライブをできて幸せ」(杉本)と感慨深げ。

「東京に来てほぼ10年。デビューして来年で10年。20代は悩んだ。でも言えるのは、今が一番楽しい!」との力強い言葉には大きな拍手が送られた。

同世代バンドの活動休止やメンバー脱退のニュースを聞くにつけ、「今音楽をできていることが幸せ」「この3人でずっとできている、この3人でなくちゃダメだと思えている」ことの尊さを噛み締めているという。

親、スタッフ、そしてファンの支えを“宝物”として受け取り、それを音楽に込めて届けたいと切々と語り、名バラード「Tonight」を披露。1番はピアノ弾き語り、2番はバンド全体で。清らかなファルセット、心の起伏を表わしたような強弱のメリハリが効いた、エモーショナルな演奏。母、父への感謝が歌詞に綴られているが、もっと広く、愛を注いでくれたすべての存在へと捧げる返礼の曲として心に響いた。

アンコールは、まずメンバー3人だけで登場。「僕らが祝われてばかりでも何なので、僕らからもプレゼントを」(杉本)との言葉から、告知を2つ。

1つ目は、今年3月に「夢工場ラムレス」で小説家デビューを果たした河邉の新作「流星コーリング」の第3章と、小説を元にして映画のサントラのように楽曲を紡いでいく“流星コーリングプロジェクト”第3弾シングル「Loop the night」が、12月4日0:00に配信スタートすること。

2つ目は、2019年の3月6日、アルバム・小説共に新作「流星コーリング」を発売するのと同じ日に、2枚目のベストアルバム「ID2」をリリースする、ということ。

過去を受け止めて慈しみ、未来へと一歩を踏み出すWEAVERの新章が間もなく始まる、といううれしいニュースである。

既に発表されている2019年3月の東名阪ツアー「WEAVER 14th TOUR 2019「I’m Calling You〜流星前夜〜」」でのファンとの再会を願いながら、1st STAGEは「最終バス」を3人だけの編成で披露。

三者三様にジャジーな遊び心を感じるプレイで、一音一音が味わい深く、表情豊か。「見上げた“Billboard”の星空が」と歌詞を変え、この日、この場所ならではのひと時を演出した。

2nd STAGEは「Just one kiss」を披露。タイトルコールだけで悲鳴とどよめきが上がり、沸き立つ会場。ロマンティックな歌詞が甘い歌声で響き、ファンへ贈るラブレターのように聞こえた。

1st、2ndいずれも、演奏を終える時は3人で顔を見合わせ、呼吸を確かめ合っていた様子も印象深かった。

最後は再びサポートメンバーを招き入れて、「Shall we dance」で大いに盛り上げた。2ndステージではイントロで楢崎が「ハッピーバースデー」を奏で始め、ケーキが運び込まれてお祝いタイムが繰り広げられた。

ストリングス隊も加わって「ハッピーバースデー」が演奏される中、3人の写真が描かれたケーキのロウソクを吹き消した杉本。好奇心旺盛な河邉がわざわざドラムセットから離れてケーキを見に来ていた様子が微笑ましかった。
 

WEAVER 12月3日 Billboard Live TOKYO 撮影:関口佳代

「いやぁ…もう、幸せです! ほんまありがとう! 3人よ? 3人!」と杉本はメンバーを指し示し、自分だけではなくWEAVER全員の30代突入祝いであることを改めて強調。

河邉から「30歳になってどうですか?」と尋ねられると、「『音楽、楽しいなぁ』と最近、思っていて。紆余曲折してきたんですよ、僕たち。でもやっと一つになれて来てる。自分たちのやりたいことができていて、“何か”を起こしていきたいと思ってる」と杉本。

まだ発表できないこともあるが、メンバーでそう話し合っている、とも明かした。

「これからもどうぞよろしくお願いします! Billboard! 僕たちが見たいと思ってる夢が近付いてくるような、そんな景色見せてもらえますか?」と語り掛け、ステージと客席とが一体となった時間がスタート。

音と音とのキャッチボールを絶妙な呼吸感で繰り返し、生み出されて行ったグルーヴは生命力に満ち溢れる力強さがあった。

30代の初日として最高の幕開けを飾った、Billboardでの2公演。12月31日には地元神戸で、「WEAVER×VARIT. Presents「WEAVING ROOM FINAL〜COUNTDOWN LIVE 2018→2019〜」も開催する。

10周年を迎える2019年のWEAVERは、2018年に積み重ねた実験や試行錯誤を糧に、より充実した活動を繰り広げていくに違いない。そう確信した一夜だった。

取材・文:大前多恵
撮影:関口佳代

セットリスト
M01 Opening
M02 トキドキセカイ
M03 Stay
M04 Hard to say I love you〜言い出せなくて〜
M05 アレンジ(クリスマスソング)
M06 ふたりは雪のように
M07 Lupin
M08 Wake me up
M09 だから僕は僕を手放す
M10 Another World
M11 Tonight

EN1 最終バス(1stSTAGE)
Just one kiss(2ndSTAGE)※いずれも編成はWEAVER3人のみ。
EN2 Shall we dance

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