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DAIGO、名曲の数々が新たに生まれ変わるツアーファイナル公演 ライブレポート

アーティスト

DAIGO

BREAKERZのヴォーカリストDAIGOが、12月5日にリリースしたカバーアルバム「Deing」を携えてソロライブツアー「DAIGOソロデビュー15周年記念ライブツアー“Deing”」を東名阪で開催した。

「Deing」は、彼が所属するレコード会社「Being」が1990年代から2000年代初頭にリリースし、世代を越えて長く歌い継がれている大ヒットナンバーから厳選した11曲を再構築し、カバーしたアルバムだ。中学、高校時代に大好きでよく聴いたり、カラオケで歌っていた楽曲たちを自らの作品としてリリースするということ。

その制作指揮をとったのは、Beingの創設者であり、プロデューサーである長戸大幸であるということ。長戸プロデューサーとの本格的な初タッグとなる今作は、Being所属アーティストになって11年、DAIGOにとっては様々な想いを宿した念願叶っての特別な作品なのである。

新たな発見や学びも多かったというレコーディングを経て、満を持して臨んだライブは、作品同様にBeing愛に溢れ、原曲への敬意を表した熱意溢れるステージとなった。12月24日、平成最後のクリスマスイブに東京・神田明神ホールで開催された最終日の模様をレポートする。

ここ東京・神田明神ホールは今年12月15日にオープンしたばかりの、東京都千代田区に鎮座する神社「神田明神」の境内に建てられた大型イベント・ライブホールである。クリスマスイブで賑わう街の喧騒から少し離れた閑静な場所に佇むホール内は、寒波が押し寄せる外気とは打って変わって、ライブへの期待で充満し熱気で溢れていた。

開演時刻を迎え、「Deing」収録曲の原曲音源がダイジェストで流れる中、バンドメンバーに続いてDAIGOが颯爽と登場。フロアはハート型をしたグッズのライトが無数に灯され、割れんばかりの歓声に包まれた。濃紺のジャケットにブラックパンツ、ブラックタイというシックな装いのコーディネートで決め、ティアドロップのサングラスをかけたDAIGOにオーディエンスの視線が一気に注がれると、次の瞬間印象的なギターフレーズが鳴り響き場内はさらにヒートアップ。

ライブはWANDSのカバー「もっと強く抱きしめたなら」から華々しく幕を開けた。オリジナルと同じロケ地で撮影したミュージックビデオも話題となっている同曲を、ストレートでハリのある瑞々しいボーカルで歌い上げた。続いて間髪いれず疾走感溢れるエネルギッシュなZYYGのカバー「君が欲しくてたまらない」をドロップ。ダイナミックな音像がこの上ない高揚感をもたらしていった。

「Deingツアーにようこそ。俺がDAIGOです!!皆さん、平成最後のクリスマスに、ここに居て大丈夫?(笑)。DAIGOと一緒に過ごしてくれて嬉しいです。ありがとう!! まずはみんなで神田明神にお参りしましょう!」と言って、神田明神の方角に向かって全員で二礼二拍手一礼を捧げ、今宵のライブの成功を祈願。そして、「CET(=クリスマス イブ 楽しもうぜ〜!)」とお約束のDAI語であおって次曲へ。

ポカリスエットのCMソングとしても人気を博したFIELD OF VIEWの大ヒットナンバー「突然」が披露された。原曲同様イントロなしの歌から始まるキャッチーなこのナンバーでは、それまでかけていたサングラスを外し、いつもと変わらぬ人懐っこい笑顔を覗かせて再び大きく会場を沸かせた。

続く「甘い Kiss Kiss」は、原曲を歌うREV同様、デビッドボウイを始めとしたグラムロックをルーツに持つDAIGOだけあって、まるで自身のオリジナルなのではと思えてしまうほどにお似合いのナンバーだ。軽快なデジタルビートに乗って妖艶な歌詞が展開する同曲を、熱くグラマラスなボーカルで魅了してくれた。

さて、カバーアルバム「Deing」では、森友嵐士(T-BOLAN)、大黒摩季、池森秀一(DEEN)といったオリジナルを歌うレジェンド3人とのデュエットにも大きな注目が集まっている。続いては今の季節にもぴったりなバラードチューンを2曲、森友とデュエットした「離したくはない」、池森とデュエットした「このまま君だけを奪い去りたい」を、この日はDAIGOのソロバージョンで披露した。

アドリブでフェイクを織り交ぜるなどエモーショナルに歌い上げた「離したくはない」ではシンガロングで客席と心をひとつにし、「このまま君だけを奪い去りたい」では情感豊かな歌声で切ない歌詞の情景を写実的に浮かび上がらせ、オーディエンスは元よりDAIGO本人も深い陶酔感にどっぷり浸っている様子が伝わってきた。

「おかげさまで今年僕は40歳になり、そしてソロデビュー15周年を迎えた節目の年になりました。こうやってライブに来てくれる皆さんの応援があったからこそ15年歌い続けることが出来ました。本当にありがとうございます。そんな中、この夏に15周年記念シングルとしてGLAYのTAKUROさんに曲を提供して頂きました。しかも2曲も! 僕にとっては『Deing』同様、本当に大切な宝物になりました。ここでそのTAKUROさんに書いて頂いた2曲をお届けしたいと思います!」そう語り、往年の名曲に負けない鮮烈なメロディーが胸を揺さぶる「真夏の残響」をドラマティックに歌い上げ、「今夜、ノスタルジアで」では自らもアコギを弾き、バンドとの風通しの良いアンサンブルを奏でながら、非常にリラックスした伸びやかな歌声を響かせた。

ライブ中盤には、「Deing」から女性ボーカルの名バラードをセレクト。雄大なバンドサウンドに、悠々とした包容力溢れるボーカルが胸に沁みたZARDのカバー「永遠」、そしてDAIGO特有のソフト&ウォーミーな歌声を活かした倉木麻衣のカバー「Secret of my heart」を続けて披露した。

女性ボーカルの楽曲と、DAIGOのメロウに響く歌声の相性の良さというのは、今回のアルバムの中でも1つの大きな発見ではないだろうか。原曲とはまたひと味違った芳醇な味わいがあり、ライブでも非常に心地よかった。

さあライブもいよいよ佳境へ入り、ここで和洋折衷なイブの夜にぴったりなクリスマス&ウィンターソングの名曲メドレーが届けられた。ビング・クロスビー「ホワイトクリスマス」、ワム「ラストクリスマス」、GLAY「Winter,again」、L’Arc〜en〜Ciel「winter fall」、X「Forever Love」、山下達郎「クリスマスイブ」、B’z「いつかのメリークリスマス」、桑田圭祐「白い恋人たち」などを、HYDE、B’z、桑田圭祐へのオマージュを捧げたモノマネも交えながら披露。

さすがのエンターティナーぶりに、オーディエンスは皆一様にリア充な笑顔を爆発させ、最高にハッピーな時間が刻まれていった。その勢いのままエキサイティングなハイパー・チューン、大黒摩季のカバー「あなただけ見つめてる」へ。興奮の坩堝と化した客席からステージに拳が一斉に向けられ、間奏のバンドメンバー紹介では一気にボルテージを加速させていった。

そしてDAIGOの明るくピースフルなキャラクターにもフィットする「世界中の誰よりきっと」を、手を振るなど歓声に応えステージを左右移動しながら歌い、より一層和やかで親密な空間を作り上げて本編の幕を閉じた。

熱いアンコールに応えて、グッズTシャツにトレードマークの黒革のグローブを装着し再登場したDAIGOから「ここでDAIGOサンタから、皆さんに歌のクリスマスプレゼントをお届けします!」と告げられ、新曲が披露された。

今回Beingのカバーアルバムを制作し、ライブをしたことで、「改めて万人に愛される名曲を自ら作りたい!」という欲求が高まったというDAIGOは、ツアー初日大阪公演のステージ上で「例えばこんな感じは?」と即興で浮かんできたメロディーを冗談まじりに口ずさみ観客を喜ばせた。

ライブ後、それをそのまま終わらせることなく、東京へ戻る新幹線の中で改めて湧き出てきたメロディーを紡ぎ、速攻で楽曲を制作。なんと大阪公演の翌日に開催された名古屋公演で初披露したのだ。すると思いの外、好評だったということで、今回はアレンジをさらに煮つめ、ストリングスとコーラスを加えたほぼ完成形に近い形で披露してくれた。

Beingを意識した長いタイトルが特徴的なこのナンバーは、ソングライティングにも定評のあるDAIGOの真価を発揮した、美しい旋律が心を揺さぶる珠玉のバラードで、甘くリリカルな歌声にも非常にマッチしていた。

「15周年を迎え、Beingの名曲たちのカバーアルバムを出すことができ、平成最後のクリスマスイブに皆さんと一緒にこうして過ごせていること、とても感慨深いです。そして今回このツアーをやったことでこの新曲が生まれました。改めて僕にとってライブは大事な場所なんだなと心から思います。これからもライブをやればいい曲がどんどん生まれてくるんじゃないかなって、純粋にそういう気持ちになっています! ミュージシャンとしてこれからもしっかりライブをやっていきますので、今後とも皆さんよろしくお願いします!」

MC後は、彼の原点ともいうべき、DAIGO☆STARDUSTとしてデビューした際に、憧れの氷室京介に楽曲提供してもらったナンバー「MARIA」を投下。そしてラストは、「みんなでこれからも夢に向かって一緒に歩んでいこうぜ!」と投げ掛けて、「Deing」でもアルバムのトリを飾っているこれぞBeingサウンドの鉄板曲、ZYYG,REV,ZARD&WANDS featuring 長嶋茂雄のカバー「果てしない夢を」を客席と共に晴れやかに歌い、およそ2時間にわたるステージは充実のフィナーレを迎えた。

今回はカバー曲メインのライブということで、通常とは少し趣向を変えた内容になっていた。DAIGOのソロライブのサポートとしてお馴染みのバンドメンバー4人も、ライブで生まれるエネルギーによって激しさを増していくいつもの臨場感溢れるプレイとは少々異なり、今回はCD音源にできる限り忠実に、よりしっかりと演奏を届けることに徹している姿が印象的だった。

そしてDAIGO自身、原曲にリスペクトを捧げ、感情が先走ることなく丁寧にメロディーを紡ぎながら、いつも以上に真摯に歌に向き合いパフォーマンスしている姿が見て取れた。そんな今宵のライブは、楽曲そのものの素晴らしさに加え、DAIGOの底知れぬ音楽愛と情熱が、リアルタイムで原曲を聴いていた人はもちろん、馴染みのない世代の心をも突き動かし感動や歓喜を与える、それこそが音楽の本質であることを実感させてくれる価値のあるステージだった。

「いつまでも色褪せない名曲を自分も作りたい!」そう、本気で口にしていたDAIGO。今回の経験が新たなる楽曲への創造力を掻き立てる刺激になったことは言うまでもない。ミュージシャンとしてのさらなる飛躍に期待したい。

文:松原由香里(from music freak magazine編集部)
撮影:達川範一(Being)

 

DAIGO ソロデビュー15周年記念ライブツアー「Deing」
2018.12.24@神田明神ホール セットリスト

1.もっと強く抱きしめたなら
2.君が欲しくてたまらない
3.突然
4.甘い Kiss Kiss
5.離したくはない
6.このまま君だけを奪い去りたい
7.真夏の残響
8.今夜、ノスタルジアで
9.永遠
10.Secret of my heart
11.クリスマスメドレー
12.あなただけ見つめてる
13.世界中の誰よりきっと
〜アンコール〜
14.新曲
15.MARIA
16.果てしない夢を

 

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