玉置浩二、最新ツアーの中から故郷・旭川公演の模様をWOWOWで放送

アーティスト

玉置浩二

昨年、安全地帯デビュー35周年と自身のソロデビュー30周年というダブルアニバーサリーイヤーを、積極的なツアー活動で駆け抜けた玉置浩二。今年も年明けから精力的にライブを重ね、8月からは小編成のバンドを携えて3か月以上におよぶ全国ツアーを展開。ファイナル直前の11月13日には、旭川市民文化会館大ホール公演が開催された。

会場が暗転し、汽笛を鳴らしながら走る機関車の音がこだまする。ステージに玉置が登場し、客席に大きく手を広げる。静かに歌い始めたのは「カリント工場の煙突の上で」。機関車の走る音がリズムを刻み、人生という長い旅を続ける彼の歩みを示す。

続いて歌われた「夜想」「いつの日も」。大切なすべてを慈しむ様に抱き締める。そんなぬくもりを感じさせる玉置の熱唱。彼の歌が、教会の鐘の様に響きわたる。

「サーチライト」「ラストショー」そして「ニセモノ」と、MCをはさむことなく歌い続ける玉置。寂しげな笑顔と優しいホルンのぬくもり。心に染み入る切ないフレーズが伝わってくる。ピンスポットの中で目を閉じ、何かを掴もうと手を伸ばすが届かない。

「MR.LONELY」では、この日初めてアコースティックギターを手にする。玉置の刻むギターが、彼の心の傷を優しく撫でる。その痛みすら伝わってくる様だ。

名曲「しあわせのランプ」では、冒頭から歌い紡いだ「日々への追憶」が心の防波堤を超えて、涙の滴がこぼれ落ちる様だった。

DJとピアノとトランペットとホルン、パーカッションの軽快な演奏と共に始まった第二部。甘美なメロディーで酔わせた「ワインレッドの心」で始まり、沢田研二のカバーを決めて魅せた「君をのせて」。そして、ジャジーな「無言坂」では、ステージと客席が一体となってスゥイングする。

玉置のエアギターが炸裂した「じれったい」、軽快な疾走感の中に、強い意思を感じさせる「田園」。顔をくしゃくしゃにして歌った「メロディー」。

ひざまずいて深く祈る様な歌を聴かせてくれたのが第一部だったのに対し、第二部は拳を握りしめて立ち上がり、そして再び前に進んで行く意思が歌を通じて伝わってきた。そして、それがまた深くせつなかった。

アンコールでは玉置が独りステージに残り、観衆と共に「夏の終りのハーモニー」を歌った。それは、玉置と観客が再び会えるまで共に前進し生きることを誓う約束の歌の様だった。

WOWOWにて、ツアー終盤に行われた彼の地元・旭川公演の模様が2019年1月3日夜10:00より放送される。

今回のツアータイトルの「カーネーション」といえば「無垢で深い愛」の象徴ともいえるが、「無垢で深い愛」とは、玉置浩二の音楽そのものだ。彼の純度の高い想いが音楽に昇華し、聴き手の心に特別な余韻をもたらした至高の音楽空間が番組で体験できる。

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