エリック・クラプトン、4月に3年ぶりの来日公演 平成最後の武道館公演へ
エリック・クラプトンの、通算22回目となる来日公演が4月に開催することが決定した。
2018年はハイドパークやマディソン・スクエア・ガーデンなどでコンサートを行ない、強いこだわりを感じさせるクリスマス・アルバムまで発表するなど、精力的に音楽と向きあってきたクラプトンの動向を熱心に追いかけ、この来日決定の発表を、文字どおり首を長くして待ちわびていた人も多いだろう。
今回の日本公演は、別記のとおり、日本武道館で5回という日程が組まれている。アルバム「アイ・スティル・ドゥー」完成後に行なわれた前回、2016年4月の公演と同じ規模。クラプトンが武道館のステージとあの八角形の空間をこよなく愛してきたことはよく知られているところだが、最終日4月20日のライヴが終了した段階で、その通算公演回数はなんと96に到達する。海外アーティストとしては、もちろん、ダントツ1位の、とんでもない記録だ。
この偉大な記録の出発点となったのが、1974年秋、彼が29歳のときに実現した、初のジャパン・ツアー。以来、回を重ねるごとに日本の音楽ファンとの絆と、日本文化への関心を深め、日本収録のライヴ作品も残してきたクラプトンにとって、今回の武道館5夜限定公演は、つまり、初来日45周年を記念するもの、ということになる。
22回、96回、そして、45年。どれもずっしりとした重みを感じさせる数字だ。その長い活動時間の流れのなかで積み上げられてきたそういった記録や数字を深い部分で意識した、集大成のようなライヴを聞かせてくれるに違いない。
さて、本稿冒頭でも書いたとおり、クラプトンは2018年も欧米各地で10回近くステージに立つなど、無理のないペースを守りながら、ライヴに取り組んできた。YouTubeなどにアップされたたくさんの映像での、さらに円熟味を増した印象のギターとヴォーカルは、観る者、聴く者を強く惹きつける。
また同年10月には、アプローチも、選曲も解釈も、アレンジも、演奏も歌も、すべてがとてもクラプトンらしいクリスマス・アルバムを発表。ブルース版「ホワイト・クリスマス」のパフォーマンス・ビデオなどが話題を集めている。
そして11月には、「ティアーズ・イン・ヘヴン」誕生のきっかけともなった「RUSH」の監督リリ・フィニ・ザナックに制作を委ねた究極のドキュメンタリー映画『エリック・クラプトン〜12小節の人生〜』の日本公開がついに実現。複数の音楽雑誌で特集を組まれるなど、変わることなく注目を集めつづけてきたクラプトンは、今年3月に74回目の誕生日を迎え、その翌月、日本の土を踏むことになるわけだ。
今回の日本公演でクラプトンを支えるバンドは、ファンにはよく知られたベテラン・ミュージシャンたちで構成されている。
クリス・ステイントンはライヴ盤「ジャスト・ワン・ナイト」を生んだ1979年の日本公演前後から、さまざまな形でクラプトンの活動に貢献してきた英国人キーボード奏者。テキサス出身のギタリストでジミ・ヘンドリックスやスティーヴィー・レイ・ヴォーンの流れを汲むドイル・ブラムホールⅡは、2000年発表「ライディング・ウィズ・ザ・キング」への参加をきっかけに認められ、ギター・パートナーだけでなく、ソングライター、プロデューサーとしても活躍してきた。
ロサンゼルスを拠点にジャズからポップスまで幅広い分野で働いてきたベース奏者ネイザン・イーストは、85年の「ビハインド・ザ・サン」でクラプトンと出会い、「アンプラグド」をはじめ多くのプロジェクトに参加。ポール・キャラックは、「ハウ・ロング」「サイレント・ラニング」といった名曲で知られる伝説的アーティスト。前回の来日公演でも黒檀のハモンドと渋いヴォールで強烈な存在感を放っている。
ドラムスは、新加入のソニー・エモリー。ジョージア州出身で、ジョー・サンプル、アース・ウィンド&ファイアーなど多くの大物アーティストと共演してきた実力派だ。またバックグラウンド・ヴォーカルは、おなじみのシャロン・ホワイトがケイティ・キッスーンとコンビを組むことになるが、ケイティは新加入ではなく、80年代後半から90年代前半にかけて多くの作品やライヴに参加していたあの人。ライヴ盤「24ナイツ」収録の「ワンダフル・トゥナイト」で印象的なスキャットを聞かせていたのも、彼女だ
文:大友博
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