「ゼノブレイド2 黄金の国イーラ」トークイベントで光田康典、ACE CHiCO、清田愛未が制作秘話語る
1月20日、mora presents「ゼノブレイド2 黄金の国イーラ オリジナル・サウンドトラック」購入者スペシャルイベントが、東京・乃木坂のソニー・ミュージックスタジオにて開催された。
事前応募者の中から約8倍の倍率をくぐり抜けた40名のみが参加できた本イベントには、「ゼノブレイド2 黄金の国イーラ オリジナル・サウンドトラック」の作曲に関わっている光田康典、ACE CHiCO、清田愛未の3人が出演し、なかなか聞くことのできない制作秘話が展開された。
まずは事前に応募者から募った質問をもとに、トークコーナーが始まる。
「『黄金の国イーラ』と本編の楽曲で、異なった点について教えてください」という質問に対して、「『黄金の国イーラ』は”アコースティック”なサウンドがテーマでした」と答える光田。ゲームの総監督を務める高橋哲哉の意向で、「黄金の国イーラ」ではエレキギターなどのデジタルなサウンドは使用していないそうだ。”アコースティック”のテーマを踏まえて、CHiCOはさらに”ジャズっぽさ”を意識したと話す。
また「普段はどのような環境で音楽を聴く事が多いですか」という質問に対しては、「そんなに高くないですよ」と清田が答える。
子供がいることもあり、子供向けの歌を手軽に聴けるスマートスピーカーなども重宝しているそう。CHiCOも900円のイヤホンも含めて、安い物からプロユースの物まで複数種類のイヤホンと、同じく安い物からプロユースの物まで複数種類のスピーカーで音を確認していると話す。
一方で自宅に制作環境を整えている光田は、作曲・MIXと同じ環境下で音楽を聴くことが多いそうだ。
「ゼノブレイドのコンサートの予定はありますか?」との質問には、「高橋総監督も開催したがってるんですよ」と答える光田。
「曲数が多いから、2泊3日くらい開催できそう」とCHiCOは笑う。ただしどの曲も、生音での演奏を前提としていない難しいアレンジのため、特に平松建治の手掛けた曲については「ギタリストを4人くらい入れないと」との意見も。
光田が「バンドより、オーケストラコンサートの方が難しくないかも」と話すと、会場からは期待を込めた拍手が起こる。
そしてイベント後半はスタジオルームに移動し、実際に「ゼノブレイド2 オリジナル・サウンドトラック」のレコーディングなども行っている環境で、ハイレゾ音源を鑑賞した。
1曲目に流れるのは、「ゼノブレイド2 黄金の国イーラ オリジナル・サウンドトラック」より「リサリア原生林」。
作曲を手掛けた清田は、「今回”アコースティック”がテーマだったこともあって、パーカッションも全部実際に演奏してもらったんです」とこだわりを話す。「シェイカーの音1粒1粒、味がありますね」と、ハイレゾ音源で改めて楽曲に聴き入る。
ACEの2人が手掛けた「四足のアルス/グーラ」は、ベース・ドラムを同時録音をしたそう。アドリブパートでは異なるパターンを何回もレコーディングしたというから驚きだ。
「王都アウルリウム」は、「”枯れた感じ”というディレクションをしました」と話す清田。レコーディングが終わった後に「いい感じに枯れていました!」という不思議な褒め方をしてしまったエピソードを話し、客席の笑いを誘う。
そして「黄金の国イーラ」のエンディング曲となる「A Moment of Eternity」。光田は、ボーカリストのJen Birdと「相当コミュニケーションを取った」と話す。本編のエンディング曲は日本でレコーディングを行っていたが、Jenご本人からの要望もあり、「A Moment of Eternity」はJenの暮らしているロンドンでレコーディングを行ったそうだ。
平松建治作曲の「戦闘!! / イーラ」を挟んで、「ゼノブレイド2」本編からも数曲がピックアップされる。光田が手掛ける「Xenoblade II – Where It All Began -」は、ハイレゾの良さが顕著に感じられる楽曲。主人公が海の中に入っていく様子を重低音で表現したと言い、「この重低音はゲーム機だと分からないかもしれないですね」と3人で顔を見合わせる。
「グーラ領 / 森林」のレコーディング時、体調を崩していたという清田。苦しかった思い出が残っているそうだ。本楽曲のパーカッションについて、「打ちこみでも、ハイレゾで聴くと違って聴こえますね!勉強になります」と笑う。
「Drifting Soul」は、ACEの工藤ともりが手掛けた楽曲だ。残念ながら本イベントには出演できなかったが、CHiCOを通して「ベースを担当した渡辺等が、すごいスキルだった」との言付けを披露する。
なお本楽曲は、元々男性ボーカルの予定だったそう。自身もボーカリストとしても活躍するCHiCOがいることもあり、ACEはキーの設定に強いこだわりを持っているという。
何度もJenの音源や映像の声を確かめ、一番Jenらしさが出るキーを探し、Jenの低音の魅力を出したいと思い、歌い出しでその低音が語りかけてくるようにしたという。
続いての「雷轟! アルティメット」は、8bit調の貴重なデモ音源も。録音の直前に仕様が変わって、ともりが今の形へとアレンジをしたという。
そして最後に流れるのは、本編のエンディング曲である「One Last You」だ。「『ゼノギアス』の頃から”悲しいけど希望はある”がテーマであることが多かったため、高橋総監督とは暗黙な了解がありました」と光田は言う。またボーカルのキーについては、「1音目で”来た!”という音を出せるか」という点を大切にしたという。
こうして、ボリューム満点のハイレゾ鑑賞コーナーを終え、最後に3人から一言。
まず楽曲を久々に聴いたという清田は、「もう1回ゲームをプレイしてみたいなと思いました」と話す。ハイレゾを通して、「ホールやスタジオの違いまではっきりと聴いてとれました」と話すのはCHiCOだ。また光田は、「プロキオン・スタジオで制作しているハイレゾ音源は、圧縮音源と値段も変わらないので、少しでも良い音で聴いてください」とまとめ、本イベントは終了となった。
スタジオでのハイレゾ鑑賞と豪華作曲陣の貴重なトークを通じて、「ゼノブレイド2」シリーズを彩る楽曲に込められた想いを、改めて強く感じる1時間であった。
ゲームをプレイしている人にとってはもちろんのこと、ゲームをプレイしていない人にとっても、“作品”として充分に聴きごたえのある「ゼノブレイド2」シリーズのオリジナル・サウンドトラック。制作秘話を胸に、もう1度聴き直してみると新たな発見に出会えるだろう。
関連リンク
関連リンクはありません
広告・取材掲載