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GRASAM ANIMAL、渋谷の隠れ家でホームパーティーを開催 「Bali High」インタビュー

アーティスト

フェスやライブに行く人が年々増え、盛り上がりを見せる一方で、多くのイベントが同質化してきている現状。そんな中、一風変わったイベントを企画しているバンドがいた。

GRASAM ANIMAL(グラサンアニマル)は、2015年から都内を中心に活動している4人組のバンド。2017年には、AVOCADO records(LOSTAGE, MASS OF THE FERMENTING DREGS, Qomolangma Tomato等が在籍)を主催していた斉藤匡崇が中心となり立ち上げた新レーベル「エイトビーター」の初代アーティストとして初の全国流通盤をリリースした期待の若手である。

彼らがオーガナイズする新しいパーティー「Bali High」は、渋谷の隠れ家的な空間で開かれるホームパーティーだという。昨年末に初開催された「Bali High」の第2弾が今月開催されるということで、木屋和人 (Vocal, Guitar) と柳澤凌成 (Bass)に話を聞いた。
 


 

とにかく日常じゃなくて非日常でパーティーを作りたい

 

――「Bali High vol.1」に遊びに行かせていただいて、よくあるバンドの自主企画とは違ったものだと感じました。まずは、「Bali High」というイベントについて教えてください。

木屋:元々のアイデアはホームパーティーのような…自主企画とかそういうことではなくて、自分たちがバンドで一個やるけど、バンドが連なるイベントじゃなく色々混じったイベントがあってもいいんじゃないかなって。

――色々、と言いますと?
 

GRASAM ANIMAL

柳澤:「企画」となると対バンライブが主流だと思うんですけど、仲良いバンドの友達とかを呼んで、飛び入りでやってもらうとか、なんかそういう感じがパーティーっぽいなって。あとはRUBY ROOMという場所自体も雰囲気があるので、ああいう環境で普通とちょっと違ったことをやりたいなと。

木屋:かなりラフで、全然決まりごともなくて。

柳澤:あんまりかしこまってやりますよっていうよりかは、クラブみたいな感じだよね、ノリ的には。

木屋:vol.1の時には、演奏終了後にいろんな人たちが暴走して、勝手に俺らの楽器使って乱入してね。演奏終わったのにやり始めたりしてね。

柳澤:でもあの雰囲気は、僕らが狙っていたところでもあったので。

木屋:あと、ホスト役じゃないですけど、積極的に自分らからお客さんに話しかけていって。ライブに来て、一人でポツンといるっていうのもありだけど、誰かと話したり、それこそグラサンアニマルのパーティーだから、グラサンアニマルが話した方がいいんじゃないかっていう。

――なるほど。グラサンアニマルがいる家にみんな来て、遊ぼう、みたいな。

木屋:そう。「フルハウス」の感じですね。

――先ほどのお話の感じだと、RUBY ROOMだからこそといった感じがしました。

木屋:そうですね。ステージも低くて、あそこが隠れ家的な感じ。

柳澤:海外のバーにちょっとした演奏スペースがあるみたいな雰囲気で、お客さんとの距離が近いからああいう場所を活かしたいなって。

木屋:うん。RUBY ROOMに入ったら非日常の感覚になれるなっていうのは前から思っていて、だから続けている部分がありますね。

――RUBY ROOMで、「Bali High」の前に企画を開催していますね。そのときは、今のホームパーティーみたいなものではなかったんですか?

木屋:そうですね、その時は普通に対バンを呼んでって形だったんですけど、その時はその時なりに色々考えてやりましたけどね。お香をめっちゃ焚くとか(笑)。

柳澤:ははは(笑)。焚いてたね、そういえば。

木屋:香りから非日常にしようというか、とにかく日常じゃなくて非日常でパーティーを作りたいなっていうのはあります。

――今回の企画で始まったことではなくて、以前からずっと考えていたんですね。

柳澤:結局3回やって、RUBY ROOMに僕らが惚れちゃったみたいなところがあって「ここがいい」ってなっちゃったので。

木屋:プール付きのライブハウスとかあればそういうところでやりたいけどね。

柳澤:海外のセレブの庭みたいな感じでしょ(笑)。

木屋:そうそう。

――飛び込む人がいそうですね(笑)。パーティーが好きだとおっしゃっていますが、それは音楽でも意識していますか?

木屋:パーティーっぽいイベントがいいなと思うのは、対バンしてライブすることに堅苦しさを感じているからですね。

柳澤:お客さん側もああいう形式のライブだと身構えちゃうというのがあるので、そこをフラットにする意味でも「Bali High」でそういうのをできたらいいなと。

――なるほど。

木屋:演者とお客さんとの距離感もあるし、対バンでぼんぼんぼん、っていうのだとストーリーが繋がらないことが多くて。それと日本の音楽界の中では、ちょっと僕ら自体が辺境な位置にいるのでなかなか対バンしたいバンドも少ないし。

――そうなんですか?

木屋:そうなんですよ。だからなかなか難しいんですよね。

――では、対バンしたいバンドってどういうバンドなんですか?

木屋:えっと、ビートルズとか。

――それは、難しいですね(笑)。

 

俺らに室内は狭すぎる。

 

――実際にそういった趣旨で「Bali High vol.1」をやってみて、どうでしたか。

木屋:1回目は偶然も多かったけど成功したかな。みんな楽しいって言って帰ってくれたので、パーティーっていう作り方は合ってたんだなって思いました。

柳澤:あのとき1人で来た人とかは、次やるときにこの楽しいっていう雰囲気を友達に伝えて連れてきてほしい。どんどんパーティーが大きくなって、いずれ新木場とかでやりたいし、外とかでも(笑)。

――外でやりたいというのは、他のインタビューでも言っていましたね。

木屋:よく言っていますね。俺らに室内は狭すぎる。

柳澤:まぁね、わかんないけど(笑)。その「Bali High」っていう名前でどんどん大きくできたらいいなって思ってて。あの楽しいっていう感覚を来た人は伝えていって欲しいです。

――友達が友達を呼んで、っていうのがまさにパーティーっぽいですね。
 

GRASAM ANIMAL

木屋、柳澤:そうです、そうそう。

木屋:まぁパーティーやりたいと言っておきながら、自分らはそういう人種の人たちではないんですけどね。落ち着いた中の段階的に上がっていくパーティーだから。

柳澤:大きい声出したりするとか、そういうのはないからね。

――パリピじゃない人が段階的にパリピの中に。

木屋:そう、心の内から沸騰させていくような。

柳澤:グラサンを共通の言語として友達ができたら…とか、僕らはそれが狙いというか、ね。

――「Bali High」に行ったらいつも居る人がいる。

木屋:そうですね、それがいい。

柳澤:集合場所みたいな。

木屋:値段も安いので。

――いくらですか。

木屋:1000円でプラス2ドリンク。

――その値段設定なら、ハードルも低いですね。

柳澤:平日ですけどスタートの時間もわりと遅めなんで。会社勤めの方とかも終わった後来てくれたら嬉しいですね。

木屋:19時くらいにオープンして、最後にグラサンが出てっていう感じでね。RUBY ROOMは元々バーなので、イベントがフェードして、バー営業に入るんですよ。だからそのまま残ってる人とかもいますね。※(RUBY ROOMは、22時までに演奏を終わればいいとのこと。通常のライブハウスの場合、22時までと言われたら22時に撤収しなければいけないことが多い。)

――パーティーの空気感を味わいつつ飲めますね。

木屋:なので終電間際まで残っている人も多いですね。もう終わりだって言っているのに、そのときに勝手に友達たちが乱入して演奏してた(笑)。

柳澤:そうそう(笑)。

木屋:でも、すごくよかったよね。

――良い場所ですね。

木屋:自由な雰囲気なので、そういうのが楽しめる感じ。一か八かっていうのもあるんですけど。

柳澤:1回目は偶然に助けられたみたいなところがあったので。2回目はまた別の面白いことをやろうかなと。

――次回の開催は2月12日ですね。どのようなことを考えているんですか?

柳澤:まだ言えないけど、あの雰囲気を残しつつなにかしらの仕掛けを。

――それは楽しみですね。そもそも、「Bali High」という名前はどこからきているんですか。
 

GRASAM ANIMAL

木屋:新曲で「Bali High」ってのがあるんですけど、「Bali High」の元々の意味は『South Pacific (邦題:南太平洋)」という映画の中に出てくる幻の島なんです。その「バリハイ」っていう響きが好きで…「バリハイ〜」ってなんかギャグっぽくてよくないですか?英語だけど日本語みたいな。

――グラサンの曲の歌詞もそういった感じですよね。

木屋:英語のダジャレが好きで。前のアルバムのタイトルも「アニマルプラネット」から取った。

――「アニマルプラネット」?

木屋:「アニマルプラネット」って、ケーブルテレビの番組があるじゃないですか。その響きをちょっともじるみたいな。

柳澤:そうなの?

木屋:そう。響きをもじったりするのが好きで。

柳澤:語感というか、語呂とかね。

木屋:語呂だよね。

――「Bali High」を映画から取ったということでしたけど、映画が好きなんですか。

木屋:映画好きなメンバーが多いですね。僕は違います(笑)。

柳澤:俺も違います(笑)。

――残りのお二人ですか(笑)。ではイベントや曲とかを映画っぽくしたい、という訳ではない。

木屋:映画はあんまり観ないから分かんないな。でも、テラスハウスで流れてそうな曲ってあるじゃないですか。

柳澤:テイラー・スウィフトとかね。

木屋:そうそう。そういうのを自分が曲作る時に結構思い浮かべたりしますね。

――もしも、テラハでグラサンが流れたら。

木屋:狙い通りって感じです。

柳澤:声質が合わなそうだな(笑)。

 

「初めて来たんですけど」って言えば、色々説明してくれます(笑)。

 

――ところで、フライヤーの絵が気になります。

 

「Bali High」Organized by GRASAM ANIMAL

柳澤:ははは(笑)。あれ、歌代(ドラム)が作りました。

木屋:スタジオ作業中に遊んでて。

――それを採用したと。

柳澤:いや、いつのまにか採用になってた(笑)。やる気があったから「じゃあやりなよ」って。

――味のある絵ですね。

木屋:フライヤーとかも自分らで書いてやるくらいのほうがいいかな、って思ってます。

――では、2月12日の「Bali High vol.2」についてお聞きします。どんな景色が見たいですか。

木屋:みんなで手つないで最後輪になってたら最高ですね。

――なるほど。どういう人に来て欲しいですか。

木屋:ずっと家で縮こまって音楽を聴いている人とかも来て欲しい。縮こまるって言い方は良くないけど、俺もそういう人種だったので、そういう人たちと話がしたいし。

柳澤:じゃあとりあえず初めて来た人は木屋に、「初めて来たんですけど」って言えば、色々説明してくれます(笑)。

木屋:はい(笑)。このインタビューを見た方限定で、「初めて来たんですけど」って話しかけて貰えれば。

柳澤:専門店的な感じで。メンバーに「初めてなんですけど」って言ったら説明します、一から僕らが。

――ライブハウスって音楽が好きな人でも、ひとつハードルが上がるイメージがあるじゃないですか。

地下に降りてって怖い人がいるのかなとか、自分が行って良いのかなとか。そういった人たちにも間口を広げるようなイベントだなって思います。
 

GRASAM ANIMAL

柳澤:僕は第1回のとき、ドアマンをやってました(笑)。

木屋:でも、こんなに距離が近いのも今のうちなんで。どんどん遠くなるから、今のうちに会いに来た方が良いよ、っていう、忠告ですね。

――どういうきっかけでRUBY ROOMでやるようになったんですか。

木屋:たまたま見つけたんです。友達のバンドの余命百年が自主企画やってて、雰囲気いいなって。やってみたら気に入っちゃって俺らがいちばん出てる(笑)。

――余命百年のメンバーも「Bali High vol.1」にいましたよね。友達が多い。

木屋:いや、あれが全部。

柳澤:ははは(笑)。そう、あれが全部…って言っちゃうとアレだけどね。

――(笑)。友達全員が遊びに来てくれたんですね。

木屋:そうそう。フル動員した。

柳澤:僕らと友達になりたい人もね、バンドをやっている人とかでも来てもらえれば。

木屋:デモテープを持ってきてください。

――デモテープはエイトビーターの方にも?

木屋:よかったらエイトビーターの方にお願いします。でも本当にそういう子が来ても楽しいかもしれないな。音楽の在り方って自由でいいと思うんですよ。「非日常」とは言ったけど、その中でスイッチをガって入れるんじゃなくて、ナチュラルに、ゆるやかに、あがっている。

そういう感じで、人としゃべりながら、ステージに上って演ったやつが「あぁ、やっぱり曲がかっこいいからなにやってもかっこいいな」って。それに、あの空間がすごく音楽的だと思います。

――空間が音楽的。例えばストリートで打楽器を叩いてグルーブが起きていく、みたいなのも音楽的ですよね。

木屋:それ面白いかもしれないですね。1回ツアーみたいなのでやってみるのも良いかもしれないですね。

柳澤:鼓笛隊みたいな。

木屋:集合って立て看板振って、マーチングバンドがいて、みんなそれに並んで「バリハイ〜」って。

柳澤:で、RUBY ROOMに行く。いいねそれ。

――イベントのことを知らなくてもいっぱいついて来そうですね。「ライブハウスに行く」って心構えを必ずしもしないイベントならですね。

柳澤:僕は高校生ぐらいの時とか結構1人でライブハウスに行ってたんですけど、やっぱり一人でいくと話す人もいないし、転換の時間に早く始まらないかなーって思ってて。そういうのが「Bali High」には無い分、常に何かしらの音楽の仕掛けを僕ら主導でやろうと思っています。

――では、最後に読んでくれている人に、何か言いたいことはありますか?

木屋:とりあえず来てくれれば、グラサンアニマルの演奏はあるっていうのが、このイベントの肝なんです。で、僕らに間違いはないのでイベントにも間違いはないかなって思います。まぁちょっと変なことやって失敗する可能性もあるんですけど、そこは大目に見てほしい(笑)。

柳澤:まだ2回目だしね(笑)。

木屋:1000円プラス2ドリンクで、ミュージックチャージ1000円みたいな感じで飲みに来る感覚で楽しめると思うので、ちょっと小洒落たバーに来る感じで来て貰ってもらっていいんじゃないかな、って思います。

柳澤:学校帰り、仕事帰りにフラっとね。

木屋:あと、徐々に準備しているのでリリースの件もこうご期待。

柳澤:RUBY ROOMに来たら全て分かるぞ。

――ありがとうございました。
 

GRASAM ANIMAL

2人の話を聞いていると、「Bali High」とは、RUBY ROOMというGRASAM ANIMALの「家」で開催されるホームパーティーなのだという印象を受けた。

GRASAM ANIMALは、勢いとビートについ踊らされてしまうカッコいいライブの一方で、パーティーに遊びにくる人を笑顔にしようと真剣に考える、ホスピタティ溢れた人たちだった。

一筋縄ではいかない魅力に溢れる彼らが主催するパーティーに、遊びに行ってみてはいかがだろうか。

文:柴田真希

イベント詳細
「Bali High」Organized by GRASAM ANIMAL
日時:2019年2月12日(火) 開場:18:30 / 開演:19:00
場所:東京・渋谷RUBY ROOM
チケット:1,000円(+2drink)

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