藤巻亮太、コットンクラブで本間昭光バンドとセッション 「粉雪」「3月9日」をはじめ、aikoやはっぴぃえんどのカバー曲も演奏
ちょっぴり春の兆しが感じられるくらい穏やかな晴天となった2月3日、東京・丸の内にあるライブレストラン・COTTON CLUBで「American Express presents THE BLUE SESSIONS Vol.6」を観た。
本間昭光がバンマス/キーボードを務めるスペシャルバンドによる演奏をバックに、珠玉のシンガーたちがその歌声を響かせてきた同シリーズ、今回の主役は藤巻亮太(レミオロメン)だ。
過去5回の開催はいずれも女性シンガーが登場していたため、今回が初の男性ボーカリストということになる。
バンド陣がスタンバイしたステージへと歩み出た藤巻を、文字通り拍手が「包む」。ステージと客席の間に隔たりがなく、どちらかといえば客席の一角にステージがあるような造りの会場であるため、互いの温度感や表情、息遣いまで感じ取ることができるのも、このシリーズの魅力の一つだろう。
そのせいか最初は少々硬くなってしまった、と後に明かした藤巻だったが、冒頭でいきなり飛び出したレミオロメン「粉雪」から、その深みと力強さを兼ね備えた歌声でたちまち場内を惹きつけていく。
なお、いつもはライブのクライマックスで演奏されることの多い同曲がこの位置に配されたのは、今回の出演へ向けて飲みながら打ち合わせした際に本間から提案したとのことで、さすがは名プロデューサー。ナイスアイディアである。
30代は世界中を旅し、山に登ったり街を訪れたりしていたというエピソードも語った藤巻は、そこで得た視点や価値観も反映されたソロ楽曲から、この日は「日日是好日」「マスターキー」「オオカミ青年」「花になれたら」を披露。いずれもストレートな構成とアレンジが施された楽曲なのだが、メロディと歌い回しで巧みにタメやアクセントをつけていく。
また、その歌声に乗って届けられる言葉の数々は映像喚起力がとても高く、中でもはっぴぃえんどのカバー「風をあつめて」の一人称視点で描かれる情景に、彼ならではの新たな息吹が吹き込まれていたのが印象深い。
他にも「スローなブギにしてくれ(I want you)」(南佳孝)、aiko「カブトムシ」(この日のドラムス・松永俊弥は同曲のオリジナルRECメンバーなのだそう!)と、恒例のカバーコーナーでおそらく他ではなかなか聴けないであろうレアなナンバーが選ばれていた点も特筆すべきだろう。
およそ1時間強のステージはあっという間に終盤を迎え、藤巻の躍動感あるパフォーマンスに手を挙げて応える観客の姿も見られた「雨上がり」を経て、最後は「友人の結婚を祝う曲として書いたがいつの間にか卒業ソングにもなった門出を祝う曲」という紹介の時点で歓声が起きた「3月9日」を、芯が強く温もりのこもった熱唱でじっくりと届け、ライブを締めくくった。
筆者の観た1st Stageでは、そこからアメリカン・エキスプレス・カード会員限定の抽選会も行われたのだが、藤巻が世界を廻って撮った写真集「Sightline」にサインを入れたものを本人から当選者へ直接手渡す一幕もあるなど、最後までなごやかなムードに。
冬の名曲に始まり一足お先に春の名曲でしめくくったライブを観終えた帰り路、いつもよりあたたかく感じられたのはきっと陽気のせいだけではないはずだ。
なお、このプレミアムライブの模様は、3月3日の22:00からJ-WAVEでオンエア予定。こちらも是非チェックしてほしい。
取材・文:風間大洋
写真:高田 梓
American Express presents
THE BLUE SESSIONS Vol.6 藤巻亮太
2019.2.3 sat. @ COTTON CLUB 1st Stage セットリスト
M1.粉雪
M2.日日是好日
M3.マスターキー
M4.風をあつめて(はっぴぃえんど)
M5.スローなブギにしてくれ(I want you)(南佳孝)
M6.カブトムシ(aiko)
M7.オオカミ青年
M8.花になれたら
M9.雨上がり
En1.3月9日
BAND MEMBER
音楽監督・Keyboard:本間昭光
Guitar:真壁陽平
Bass:根岸孝旨
Drums:松永俊弥
Keyboard:eji