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竹原ピストル、初の武道館ライブをWOWOWで2/17に放送

アーティスト

撮影:フクマサリョウジ

「正直、不覚にも感慨深いです」と語った竹原ピストルの初武道館ライブをWOWOW で2月17日に放送する。

竹原ピストル。42歳。アコースティックギター1本で全国のライブハウスやバーで歌い続けてきたシンガーソングライターが初めて日本武道館のステージに立った。2009年にフォークバンド野狐禅(やこぜん)を解散して以降、「ドサ回り」と称する全国ライブ行脚でコアな音楽ファンに愛され続けてきた竹原だが、近年では住友生命CMソングに「よー、そこの若いの」が抜擢され、紅白歌合戦にも出演。一気に知名度を上がるなか、あくまでスタンスを変えずにライブ活動を大切にした竹原の晴れの舞台となった初武道館は、愚直で泥臭い竹原ピストルという男の生き方が詰め込まれたライブだった。

いつものように頭にタオルを巻き、Tシャツに半ズボンというスタイルで竹原がステージに姿を現すと、会場は割れんばかりの歓声に包まれた。広いステージには竹原以外に誰もいない。ハーモニカを吹き、ギターを掻き鳴らし、歌い上げたのは「オールドルーキー」。

続けて、“薬づけでも生きろ”と激しい剣幕で絶唱した「LIVE IN 和歌山」、かつて岩手県でライブをしたときに作ったという雨の歌「RAIN」へ。実際に自分の足で全国をまわり、その出会いや別れのなかで生まれた血の通った本物の歌たちが胸を打つ。

曲の合間にお客さんから、「竹原ー!」「ピストルー!」「和生ー!」(本名)と思い思いに名前を呼ぶ声が響き渡ると、「贅沢を言えたもんじゃないですが……呼び名を統一してもらえるとうれしいです」と、照れくさそうに言う竹原。飾らない一言に笑いが起こる。

“あの頃の君にあって/今の君にないものなんてないさ”、そんな歌詞が沁みる強くて優しいミディアムテンポ「Forever Young」を届けたあとには、竹原がフォークソングに出会ったきっかけでもある吉田拓郎のカバー「落陽」、野狐禅時代の「カモメ」のセルフカバーなど、竹原の人生を語るうえで欠かせない楽曲を続けて披露した。

そして、「場所がどこであろうと、同じことをやるだけだよって言ってきたけど、正直、不覚にも感慨深いです」としみじみと伝えると、会場から湧き上がった大きな拍手はしばらく鳴りやまなかった。

全身から振り絞るように、ものすごい形相で気迫の歌を届け続けたライブのなかでも、とりわけ終盤は圧巻だった。世界的に有名な讃美歌のメロディーを借りて完成した

「Amazing Grace」、諦めたら負けだという信念を元ボクサーらしい言葉で綴った「カウント 10」から「俺のアディダス〜人としての志〜」へ。どこまでも往生際が悪く、何度転んでも立ち上がる竹原の生き様が刻まれた歌たちに、そっと涙を拭うお客さんの姿もあった。

そして、この日いちばんの大きな手拍子と合唱に包まれた「よー、そこの若いの」のあと、「小さなフォーク小屋で磨いてきた歌は、この武道館でも通用したということでよろしいですか?」と問いかけた竹原。これに大歓声が答えると、「それでいて、まだ何も成し遂げたわけじゃないと思っています」という彼らしい言葉とともに、「ドサ回り数え歌」でライブ本編を締めくくった。

最後までギター1本と歌のみ。それだけで心を揺さぶり、明日からも生きる勇気をくれるような、心に熱い火種を灯してくれるような歌い手は、きっと竹原ピストルしかいない。

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