のん、ヴァレンタイン・デイに仲井戸麗市と競演「一生忘れないヴァレンタインになりました!野音リベンジ達成!」
のん率いるのんシガレッツと仲井戸麗市のCHABO SUPER BANDが2月14日、神奈川県川崎・CLUB CITTA’で共演を果たした。
これは昨年9月30日に東京・日比谷野外音楽堂で行われる予定であったイベントが、台風24号の影響で中止となり、リベンジ公演として行われたもの。
19時8分、場内にRCサクセションの「ドカドカうるさいR&Rバンド」が流れる中、のんシガレッツのメンバー4人がステージに上がる。のんの真っ赤なテレキャスターが豪快にかき鳴らされ、「みなさん!ハッピーヴァレンタイン!」と呼びかけでライブがスタート。ド派手なロックンロール・ナンバー「スーパーヒーローになりたい」で幕を開けると、アップテンポ・チューンを4曲続けて畳みかける。
「悔しくて、リベンジしたくて、今日を迎えました!」と前回中止となったライブが再開出来たことを興奮気味に話す。この日は奇しくもヴァレンタイン・デイ。のんからの「今日は愛を込めて演奏しますので、みなさん受け取ってください!」に男性ファンから大きな歓声が上がる。続けて「私にとっても宝物みたいな曲です!」と歌ったのはキリンジのカバー曲「エイリアンズ」。前半のハイ・テンションから一転して、歌詞のひとつひとつ噛みしめるように、じっくりと歌いこむ。
続いて新曲「蒼い灼熱」を披露。昨年の夏、暑さに負けそうになる自分に頑張れとエールを込めて作った曲だそう。外は寒いので、この曲歌うの迷いましたがと、申し訳なさそうに演奏を始める。ギターのリフがギラギラと輝く太陽のような重量感が漲る豪快なロック・ナンバーで、客席もすっかり”灼熱”モードに。ここからは、ドライブ感溢れるナンバーをラストまで3曲立て続けに演奏。ステージと客席が一体と化して最高潮の盛り上がりをみせ、のんシガレッツのパフォーマンスは終了。
後半は仲井戸麗市のCHABO SUPER BAND。まず、のんがステージに上がり「また、出てきちゃってすみません」と恐縮しながら「今日のスーパーヒーロー!チャボさん!」と仲井戸麗市を呼び込む。ふたりで演奏するのは、のんのデビュー・カセット「おひろめパック」に収められたRCサクセションの「I LIKE YOU」。同曲のレコーディングには仲井戸も参加しており「俺を呼んでくれて、ありがとう!忌野も聴いてると思うよ」と仲井戸のアコースティック・ギターとのんのボーカルで演奏。のんがステージを降りるのを見届け「聴いてたか!忌野!」と天井に向かって声をかける。
ここでバンドのメンバーがジョインし「じゃあ楽器チェックやろうか」とミーターズのクラシック・ソウルの名曲「CISSY STRUT」を、肩慣らしするかのように軽く演奏し、RCの「よォーこそ」でCHABO SUPER BANDのステージが始まった。”川崎ベイビー!のんちゃん 特別な夜だぜようこそ!”と歌ってオーディエンスを煽り、「ご挨拶代わりに日本の有名なロックンロールやるぜ!」と、RCがカバーしていた坂本九の「上を向いて歩こう」に突入する。
MCでは、のんシガレッツの冒頭SEの「ドカドカうるさいR&Rバンド」をバックステージで聴いていて、「俺の出る時間か!」と慌てて楽屋を飛び出すところだったよと話して場内を和ませ、「チャック・べリーやらせてくれ!」とロックの大名曲「ロック・アンド・ロール・ミュージック」を日本語の詞で歌って客席をさらにヒートアップさせる。
熱くなった会場は、ここでクールダウン。ステージにはアコーディオンに、アップライト・ベースがセットされ「一緒にやっちゃおうかな?」とのんを呼び込み、ザ・タイマーズの「デイ・ドリーム・ビリーバー」をアコースティック編成で演奏。仲井戸は再び天井に向かって「聴いたか忌野!」とちょっと得意げ。
続いては「清志郎の感じをアッコちゃんが表現している曲があります。それを二人でやらせてくれ」と仲井戸から紹介されたのは矢野顕子が忌野清志郎への想いを込めて、のんに書き下ろした「わたしはベイベー」。曲のエンディングでは、のんが「ご機嫌だぜベイビー!」とシャウトし、場内を沸かせる。仲井戸麗市が「今夜のキーワードは忌野くんで」と呟いた通り、この日のセットリストはのんが敬愛してやまない忌野清志郎ナンバーが並ぶ。
CHABO SUPER BANDのラスト2曲も清志郎の曲だ。「忌野くんと何曲か共作したんだけど、これが最後になっちまった。俺の宝物だ!」と歌う「毎日がブランニューデイ」、「自分たちの曲はみんな愛してんだけど、なかでも特に好きな曲。RCのソウルナンバーを聴いてくれ!」と「君が僕を知ってる」を。後半、のんもコーラスで参加し、サビの”わかっていてくれる”を客席とコール&レスポンス。仲井戸は歌いながら時折、天井を指差す。清志郎に見ているか?と確認するように。舞台のそばに清志郎が立ってるようにみえる、のんと仲井戸麗市ふたりの清志郎愛に満ちたステージであった。
アンコールは、のんシガレッツがまずステージにあがる。「ストレート街道」を叩きつけるように歌う様は、清々しいまでの青春パンク。続いてCHABO SUPER BANDが合流し、この日の出演ミュージシャン全員が揃う。仲井戸が「若き日に忌野と作った曲だ!」と告げると、のんの恥ずかしげではあるが力強い「オーケィー!チャボ!!!!」を合図に、仲井戸のテレ・キャスターがカッティングを刻む。全メンバー参加による「雨あがりの夜空に」に、場内はこれ以上ないほどに盛り上がる。
熱すぎる演奏を終えたメンバーは舞台横一線に並んで客席に挨拶。のんと仲井戸はそのままステージに残る。「のんちゃんの詩を聞きたいんだよ俺が」と促し、のんは書き下ろしの詩「Knock Knock」を朗読。詩に合わせて仲井戸は、時にはアグレッシブに、時には静かに即興でアコースティック・ギターを爪弾いていく。オーディエンスもじっと見守るように聴き入る。感動的なフィナーレで2時間半近くにも及んだ、ふたりの「野音リベンジ!!!」を締めた。「一生忘れないヴァレンタインになりました!野音リベンジ達成!じゃあ又ね!」とのんはステージをゆっくりと降りた。
PHOTO:Kentaro Minami
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