moumoon、「FULLMOON LIVE TOUR 2019 〜OFUTASRISAMA〜」ファイナル公演のライブレポート公開
1月中旬からスタートしたmoumoonの「FULLMOON LIVE TOUR 2019 〜OFUTASRISAMA〜」が、追加公演の2月17日東京・恵比寿ザ・ガーデンホールで国内公演ファイナルを迎えた。
タイトル通り、メンバーふたりだけでステージに立つこのスタイルは、実に4年ぶり。前回はマシンを操る場面も多かったが、今回は演奏はすべて人力の完全アコースティック。柾がアコギのボディを叩いてテンポを出し、YUKAがウィンドチャイムを鳴らして歌い始めると、サーッと空気が浄化されたように、moumoonのファンタジックな世界が広がっていった。
「ラヴソングだけを歌う」をテーマにしたセットリストは、「何を歌ってほしい?」とファンに問いかけて得た結果を元に構成したという。「ハッピーだったり冷んやりしてたり、愛にはいろんな顔があるよね。どんなラヴを胸に抱いているかは人それぞれ。私は今、こんな感じかも、と、聴いていただけたらうれしいです」と奏でられたのは、「トモダチ/コイビト」「声」「Everyday」など、少しばかり地味で繊細な楽曲群。その隠れた味わいが、OFUTARISAMA独自のアレンジで最大限に引き出されていく様は、痛快なほどだった。
たとえば柾は、さまざまなカッティングの妙に加え、高いフレットでシーケンス・サウンドのような音を出すなど、ギターという概念にしばられない工夫を凝らす。YUKAは、次世代電子パーカッションとして話題のaframeを「だいぶ一体化してきた」と語るほどに使いこなし、リズムを刻んだり、不思議な効果音を出したり。どの一音もどの一声も無駄なく必然で、その鳴り始めから終わりまで丁寧に魂が吹き込まれている。楽曲の世界観と真摯に向き合うふたりのプレイ・マナーは、奇を衒うとは無縁のエレガントなものだった。
そのクライマックスのひとつが、「意外にもアンケートで一番人気でした」というMCで始まった「Will you?」。快感中枢にくるYUKAのハイトーンと柾のコーラスが讃美歌のように美しいこの曲で、後半サッとバイオリンを抱えたYUKAは、柾が繰り出すアイリッシュな響きに乗って、思うままのフレーズを奏で、ディレイを駆使して洪水系サウンドを即興的に構築したのだ。これが絵画的かつ宇宙的で、凛と弓を滑らせるその姿が本当にカッコく胸を打った。
「立っちゃおうか」と始まった今日イチ元気な「Yes」は、柾の独特な奏法とYUKAのaframeのワザとで、オーガニックEDMと呼びたくなるような新境地。聴き入るばかりだった観客も、ここでは堰を切ったように手拍子で盛り上がった。
続く「Triangle」では、「一緒に歌ってくれますか?」とライブならではのメロディを「ラララ」で歌うYUKAに、みんなも声を合わせていく。「もうちょっとほしいな」と柾が何度かねだるうち、その声は大きくなり、最後は心を揺さぶるような大合唱に。「ヤバすぎる。本当に素敵な歌声」と感激の笑顔を見せるYUKA。「うん。すごくきれいだった。俺、男泣きしちゃった」と、冷静で口下手な柾も、珍しく素直に感情を吐露した。
この曲の「きみとわたしと月を結べば 遠くても つなぐトライアングル」は、moumoonとファンとの絆を歌ったもの。OFUTARISAMAは、デビュー当時路上で始まり、今は動画配信で継続されている満月の夜のアコースティック・ライブ「FULLMOON LIVE」の進化系と言っていい。いわば積み重ねの賜物だ。それを手にできているのはファンがいてくれてこそ。
そんな思いがふたりの胸に去来していたのではないだろうか。観客も含めさまざま感情が行き交う中の楽曲「ラヴソング」は、音楽を通して愛を慈しみ合う歓びを、そこにいる誰もが噛み締めた瞬間だった。
アンコールでは、本人たちが「名盤」と言って憚らないニュー・アルバム「NEWMOON」のリリースと、それを率いてのバンド・スタイルのツアー予定も発表。「新月」という名には、「また生まれ変わる。新たなスタートに立つ」という意味を込めたという。その新作から「私たちは、光を選ぼう」が初披露された。晴れやかな笑顔でYUKAが歌う「また会おう 途切れることのない絆があるんだ」という言葉が、moumoonと交わす未来の約束のようにうれしく胸に響いた。
ライター:藤井美保
FULLMOON LIVE TOUR 2019 〜OFUTASRISAMA〜セットリスト 2019年2月17日
01. リフレイン
02. 緑の道
03. トモダチ/コイビト
04. 天国に一番遠い場所
05. more than love
06. 声
07. Everyday
08. ひとつだけ、
09. Cinderella
10. Will you?
11. EVERGREEN
12. Yes
13. Triangle
14. ラヴソング
en1. トモシビ
en2. 私たちは、光を選ぼう
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