BOØWY「LAST GIGS COMPLETE」発売を記念した上映会が大盛況で開催
BOØWY絶頂時の突然の解散宣言を受けて翌88年に行われた、東京ドームギグ2DAYSを初の全曲収録ライヴCD「LAST GIGS -THE ORIGINAL-」が6月12日に発売されることを記念し、4月4日に都内渋谷区にあるライヴハウス“REX”で「 LAST GIGS –THE ORIGINAL- SPECIAL NIGHT IN SHIBUYA」が開催された。
冒頭、先ずは意表をついて上映された「1224 -THE ORIGINAL-」のBlu-ray映像でファンの意識は瞬時に1987年12月24日、つまりBOØWYファンにとっては伝説となったボーカル氷室京介による解散宣言が行われた渋谷公会堂へタイムスリップしたかのようだった。
アンコールで告げられたその解散宣言から、畳み込むようなパフォーマンスで披露された最後の曲「DREAMIN’」。その余韻も覚めぬスクリーンへ大きく映し出されたのは、翌12月25日に全国紙へ掲載されたBOØWYからのメッセージを告げる新聞広告。そこには“最後のGIGS(イベント)は、必ず来年プレゼントします。”と大きく書かれていました。
そしていよいよイベント本編の開始。ここでMCのふくりゅう氏が会場のファンに尋ねたのは、31年前に東京ドームでこの“LAST GIGS”を実際に体験した人の人数。なんと当時プラチナ・チケットになったこのGIGに参加した人は、会場のREXに8名しかいなかった。
ここでシークレット・ゲストの佐伯明氏が登場。佐伯氏はBOØWYの現役時代にメンバーを何度も取材したり、数多くのGIGを観たりされていた音楽文化ライター。
「12月24日からの約3か月はなんとも微妙な時間でした。今日は31年目の同窓会という気持ちで参加しました」とファンの代表の様なコメントでトークショーはスタート。
実際に東京ドームでLAST GIGSを体験するまでは、「BOØWYは解散したんだよね…という思いを清算しきれない時間でした」と、今でいう“BOØWYロス”状態だったことを明かした。
「LAST GIGSの会場が東京ドームにセットされたことが体験のないこと。超巨大な会場でどんなライヴをやるのか想像するのが楽しみ、と同時にライヴハウスでライヴを続けてきたBOØWYのイメージが変わってしまうかもしれないことも怖かった。でも蓋を開けたら一度終わらせたバンドをもう一度蘇らせるようなライヴだった」
「できたばかりの東京ドームの大きさと、モニター・システムなどがまだ不完全で、メンバーもスタッフも苦労していた。東京ドームは広いため、2階席、3階席のオーディエンスに伝わるまでに数秒かかる。なおかつ何度も反射する。そんな状況のなか必死に克服しようとするメンバーに感動した。」
「渋谷公会堂で解散宣言をしたBOØWYは僕のなかでは終わったバンド。そのバンドが東京ドームでベストのパフォーマンスをしようと努力する姿を見て、これは始まりなのではないか、という混濁した気持ちだった。BOØWYが再結成しないこと、整理整頓しないこと、それが魅力にもなっていてファンが増えている。観られなかったからこそ、ひきつけられるということ。写真や映像の中でしか見られない、ある意味幻想にもなった存在で、リアルとファンタジーの境目のバンドという気持ちをファンと共有したい。」と当時を懐かしむ場面もあり、トークショーの前半は終了。
ここでライヴハウスならではの迫力の音響設備で、LAST GIGS本編冒頭の3曲、「「B・BLUE」「ハイウェイに乗る前に」「BABY ACTION」を試聴し、ステージに更にスペシャル・シークレット・ゲストとしてBOØWYのドラマー、高橋まこと氏が登場した。
佐伯氏のアカデミックな話から一転、氷室京介氏とLAST GIGS前に東京ドームのHOUND DOGのライヴを事前に観たと、いきなり当時のエピソードを披露するなど、ノリノリな高橋まこと氏のトークが炸裂。
「ドラムセットからはみんながアリにしか見えなかったんだよ」「東京ドームは渋谷公会堂とは音が全然違う。俺は家にあるスピーカーのデカいのを横に置いてもらってモニターにしたけど、ほかの3人は小さいモニターで何も聴こえない」「解散したバンドがモニターが聴こえないって言って、初日終わってミーティングだよ。真面目なバンドだよ。」「みんなを招集してミーティングしていることが不思議だった。またバンドをやるんじゃないかと思ってしまった」「(12月24日の解散宣言の後に)事務所から1月に招集がかかった」などと、メンバーでしか知りえないエピソードを次々と披露。
また今回のライヴCD「LAST GIGS -THE ORIGINAL-」に関しては、「LAST GIGS東京ドームの2日間は気持ちや思いの違いがやっぱりあって、それが音に出ていると思う。ぜひ聴いてほしい。」と語り、「31年前のLAST GIGSが今も聴かれている。ここまで持続力のあるバンドは他にいない、そんなBOØWYに関われてうれしい、ありがとう!」とファンへの感謝のコメントを残してステージを去った。
最後はBlu-ray「LAST GIGS」から氷室京介の“俺らは、まだまだ伝説になんかなんねーぞ”という名セリフが聴ける「ON MY BEAT」から「BLUE VACATION」「RENDEZ-VOUS」「ホンキー・トンキー・クレイジー」「NO.NEW YORK」と、当時のアンコール曲の映像を再び大スクリーンで鑑賞して、約2時間のイベントは終了した。