米米CLUB、全方位型エンターテインメント「a K2C ENTERTAINMENT TOUR~おかわり~」をWOWOWで5/5放送
米米CLUBの最新ツアーより、誰もが楽しめる笑いあり、涙ありの全方位型エンターテインメント「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2019~おかわり~」が、5月5日21:00よりWOWOWで放送される。
米米 CLUB「a K2C ENTERTAINMENT TOUR〜おかわり〜」 ライブレポ―ト
1982年に結成された米米CLUBは今なお精力的に活動を続けている。2017年から18年にかけて開催した久しぶりの全国ホールツアー「おせきはん」が終わったか と思えば、休む間もなく 2019年1月から「おかわり」と銘打ってツアーを敢行。平成最後の大騒ぎを各地で繰り広げた。
パシフィコ横浜に詰めかけたファンも、ツアー衣装などをヒントにしたコスプレなどに身を包み、騒ぐ気満々の様子。そんな浮かれ気分の会場に、クラシックの名曲「ボレロ」がSE として厳かに流れているアンバランスさもまた、なんとも米米CLUB らしい。
朗々としたカールスモーキー石井の美声が轟き「NICE TO MEET YOU」で狼煙を上げた本公演。ルージュのように艶やかな赤に染められたステージに、シックな黒い 衣装を身にまとったメンバーが登壇。
華やかな圧力をはね返そうと、米粒型のペン ライトで白い光を振りまくファン…。ビビッドなビジュアルによって、瞬時にして 米米ワールドへと引きずり込まれた。
さらに、巨大なアフロヘアのジェームス小野田と共に、切れ味鋭いカッティングギターが軽快に鳴り響き、「KOME KOME WAR」へとなだれ込んだ。石井と小野田が KOME KOME WARと声を揃え、拳を突き上げると会場のテンションは早くもマックスへ。
最初のMCでは、小野田が流行語になった「お・も・て・な・し」を模して「お・か・わ・り」と発し、場内は一瞬不思議なムードに包まれた。すかさず石井が「面白いだろう!古いけど、すげー知的で面白いだろっ」と絶妙な合いの手を入れ、一気に爆笑へと転じた。
引き続いて、「DRY MAN」ではセクシーかつムーディーなサウンドに乗せ、小野田が冗談を交えて物語り、場内はさらに笑顔で満たされた。かと思えば、「OH!」では 再び熱いファンキーチューンに合わせてオーディエンスは手を挙げ思い思いに体を揺らし、生バンドの濃密なグルーヴの享受を心ゆくまで浴びていた。
本公演は15分の休憩を挟んだ前後半の2部構成になっている。前半の見どころの1つが、石井の独演ショー。今回はハワイ帰りの昭和歌謡歌手・アンディ岡田になりきり、花束を抱えて登場しファンを大いに喜ばせた。
ケレン味たっぷりに語られる(偽の)エピソードと適当な英語に、会場は何度も爆笑に包まれた。だが、昭和のムードをたたえた「迷路 ’97」や「ROPPONGI-雨」を石井の艶やかで鮮やかなボーカルが歌うことで、一気に説得力が生まれ、時間軸が昭和へとタイムスリップしたかのような錯覚を覚えた。
バラード「I LOVE YOU」を歌い上げていたところへ、小野田が乱入。SUE CREAM SUEの2人も、ピンクレディーを彷彿とさせるギンギラな衣装で現れ、ますますカ オスな展開に。「こんな格好、恥ずかしい」と顔を見合わせながら、コント調の大人女子たちのやりとりもまた微笑ましい。
小野田の「かっちょいい〜!」という絶叫が号令となり、ライブ人気曲「かっち ょいい!」で前半のクライマックスを迎えた。ファンキーでアグレッシブなナンバーに合わせ、何度もハイキックを鮮やかに決める石井は、真のかっこいい大人の男だ。どんなにダサい姿を演じて見せても、本物のかっこよさは消せはしないのだ。
後半は英国旗をモチーフにしたアートワークの中、ステージ上は厚いスモークで覆われていた。するすると妖しげに石井が登場し、甘くラブソング「TIME STOP」を歌い掛ける姿は、まるで雲間に浮いているよう…。
徐々に霧が晴れると、小型のセグウェイのような電動二輪車に乗っているではないか。その意外性とふざけっぷ りに、再び観客が大笑いしたのは言うまでもない。
「アリーナなど(の大きな会場)でライブをするようになってからはあまり歌わなくなった曲」と紹介したウォームなナンバー「Simple Mind」。彼らと長い月日を 共に重ねてきたファンには、うれしい贈り物だったにちがいない。
「人生、悔しくて泣いたことの方が多くない?大人になればなるほど生きるのがきついとわかってくる」とオーディエンスに語りかけ「どんまい」を歌い始めた石井。
映画主題歌として書き下ろした晴れやかで前向きな曲に込めた思い、メッセ ージはきっと届いただろう。MCではふざけてばかりの石井だが、音が鳴れば瞬時にその世界観を体現する表現者になれることを見せつけられ、感心するばかりだ。
重厚なピアノの調べから始まった「Blowz Job」では、BIG HORNS BEE による華やかなホーンやオーセンティックなジャズのフレーバーもふんだんに盛り込まれており、米米CLUB というバンドの音楽性の奥深さを改めて証明していた。
J-POP 史に刻まれる大ヒットソング「君がいるだけで」や「浪漫飛行」などの、“聴かせる”楽曲では包容力のある石井のボーカルが一段と魅力を放つ。観客はといえば、SUE CREAM SUEが踊る振り付けにあわせて手を振ったり、歌に聞き入った りと各々に楽しんでいる自由な姿が印象的だった。
本編ラストのMCでは、石井のフリートークが炸裂し次第にメンバーに注意され る場面も。「(真面目に語っても)いい加減に見えちゃうんですよ」と自嘲気味に笑 った石井だが、その嘘か本当かわからないギリギリ感に魅了されているファンは少 なくないだろう。
ラストは腰を振らずにはいられないアップチューン「Shake Hip!」にて、キャノン砲と火柱が踊る中、大団円を迎えた。
いまやダンサーやコスプレをするメンバーがいるバンドはさほど珍しくない。だが、1980年代、それは革新であり、ゆえに異質だった。まもなく米米 CLUBはデビ ュー35周年を迎えるが、いい意味での違和感と斬新さを失うことなく我が道を進み続けている。
笑いと涙、豊かな音楽性とそれを実現する迫力あるバンドサウンドと歌、魅せる為の数々の仕掛けを詰め込んだ、唯一無二のエンターテインメント。
その最新型である「おかわり」をその目で、耳で体感してほしい。