H ZETTRIO、平成最後と令和最初の「こどもの日スペシャル」ライブレポートを公開
H ZETTRIOが、毎年GWに開催している0歳から楽しめる全年齢対象のスペシャルライブ「こどもの日スペシャル」で、またとない長期休暇を家族と過ごす人々に一味違った興奮を届けた。
毎年大好評のこのライブは開催されるたびにその規模を増し、今年はついに初の大阪、初の野外開催となったが、関東圏からのラブコールも多く、4月27日 大阪野音、5月5日 東京新宿と2公演が開催された。そのスペシャルなライブのレポートをお届けする。
まずは4月27日 大阪城音楽堂で開催された「H ZETTRIO こどもの日スペシャル in 大阪野音 -Virtual World (Jazz)-」。少し肌寒くもあったが、晴れ渡る空の下、H ZETTRIOと同じように鼻を塗った家族連れが大勢大阪城公園に集まった。
このスペシャルライブは家族連れが心おきなく楽しめるよう、途中休憩を挟む2部構成になっているだけでなく、親子で楽しめる趣向がいくつも凝らされている。この日は芝生エリアに特別な出店ブースが設置され、ポップコーンとわたあめの香ばしく甘い香りで満たされた会場内を子供たちが駆け回った。
開演時間になるとH ZETTRIOが颯爽と登場。割れんばかりの拍手の中、H ZETT Mが鍵盤ハーモニカを弾き始める。どこかで聞いたことのあるメロディー。「ゆかいな牧場」のフレーズだ。演奏しながらコミカルに動きまくるH ZETT M。本来ならばかなり難易度が高いであろうその技がいとも簡単かのように繰り広げられる。まさにH ZETTRIOのパフォーマンス真髄を表すかのようなオープニングに観客が引き込まれる中、リズムセクションのH ZETT KOU、H ZETT NIREがグルーヴを重ねはじめ、聞き覚えのあるメロディーが斬新なジャズに進化していった。子供も大人も一気に魅了して、「こどもの日スペシャルin大阪野音」が幕を開けた。
そのまま立て続けに「Make My Day」。H ZETTRIOの楽曲のなかでも特に野外が似合うであろうこの曲。春の心地よい風の中、スピード感溢れるリズムセクションの上をピアノがキャッチーに駆け回る。そして、今年元旦にリリースされた「Journey」でさらに解放感が増していく。「Mysterious Superheroes」「晴天 -Hale Sola-」と勢いよく盛り上げたところで「どこか遠く」で聞かせどころも作った。そして、ベースのH ZETT NIREがこの日のために選曲したという「It’s a Small World」のカバーからtvkテレビ神奈川で放送、その後Youtubeで全貌が公開されるという前代未聞の仕掛けで人気の番組「SPEED MUSIC – ソクドノオンガク」で公開されたばかりの「およげ!たいやきくん」のカバーも披露。よく知っている楽曲がH ZETTRIOの色に染められていくことで、彼らのセンスが他と並ぶことのない、唯一無二なものであることを改めて実感する瞬間となった。
15分の休憩を挟んだ後半は「炎のランニング」から。最高のテンションで盛り上げて「Lovely」に入ると、H ZETTRIOの背後にあったバックドロップが落ち、舞台いっぱいに映像が映し出された。昨年のツアーファイナル、日比谷野音でも観客のド肝を抜いた超大画角の映像演出の再来に観客の盛り上がりが最高潮に達する。今年に入って毎月一日にシングル配信をしている彼らだが、なんと未発表の新曲も織り交ぜ、ノンストップで美しい映像と共に繰り出されたパフォーマンスに、会場は子供と一緒になって踊りながら楽しむ親子の姿で溢れ、H ZETTRIOの演奏が、まさに老若男女、すべての人の心を揺さぶる音楽であることが証明された瞬間であった。
そして5月5日東京新宿文化センターにて開催された「H ZETTRIO こどもの日スペシャル in 東京新宿 -Virtual World (Jazz)-」。これまで毎年関東圏で開催されてきたこともあり、チケットは即日完売している。
東京は野外ではなくホールが会場ということで、どのような演出がなされるのか期待が膨らむ中、開場時には緞帳の前にせり出したステージにすでに楽器がセッティングされていた。ここで何が繰り広げられるのか、想像を膨らませた観客が写真を撮ったり、あれこれ想像をめぐらせていると開演時間になった。
照明が落ち、大きな歓声が上がる中、会場横の通路からH ZETTRIOの突然の登場に会場が湧く。ショルキーや、ウクレレベースというコンパクトな楽器を使ったセッションが始まると、それらが次第に聞き慣れたメロディーへと変化して行く。おもむろにH ZETT Mが弾きだしたメロディーが「こいのぼり」だと分かると子供たちの歓声と笑い声で会場が満たされていった。この「こどもの日スペシャル」はH ZETTRIOの3人たちからの「子供も大人も大声で笑って、騒いでOK!」という粋な計らいがあり、子供連れの親たちも気兼ねなく自由に楽しむことができる。
緞帳の前に設けられたステージという普段よりも観客に近いところでパフォーマンスをするH ZETTRIOもいつもよりテンションが高いように見える。ショルキーで白熱するH ZETT Mに目を奪われていると、いつのまにかドラムのH ZETT KOUとベースのH ZETT NIREの姿が見えない。すると緞帳が開き始め、本来のドラムとベースサウンドが響き始め、逆光の中に二人の姿が見えると割れんばかりの拍手と歓声が起こった。H ZETT Mも後方のピアノへと移動し、「Make My Day」でH ZETTRIO本来の楽器でのパフォーマンスが始まった。
「Journey」から「Next Step」、「Trio,Trio,Trio!!!」で盛り上げ、大阪でも披露されたカバー2曲。そして「夢と希望のパレード」や「Neo Japanesque」「MESHI KUTTE YEAH!」など人気曲で畳み掛ける。前方に設置された楽器との行き来を繰り返すうちにH ZETT Mが前方のドラムを叩きだすというスペシャルな場面もありながら、一部が終了。ホールという空間でも野外と同じような開放感を醸し出した3人の演奏はさすがと言うべきだろう。
15分の休憩があけた2部。なんとこの日もステージいっぱいの映像演出。背後のバックドロップも、黒幕も上がり現れたスクリーンいっぱいの映像演出に客席からは大きな驚きの声が上がる。さらに前方の楽器も自由にあやつり、まさにステージを縦横無尽に駆け回る。二重三重の仕掛けで繰り広げられるパフォーマンスはまさに圧巻の一言であった。
驚きの演出で観客を魅了した2公演を終えたH ZETTRIO。2019年は毎月1日に新曲をシングル配信しながら(しかもその楽曲がiTunesジャズチャート30作連続首位を記録している)いよいよ7月から、年末までにかけて全国ロングホールツアーに出る。