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SPiCYSOLが確立したカラーとは BIGMAMAやベリグ・MOCAも登場したツアー追加公演

アーティスト

SPICE

SPiCYSOL  撮影=河本悠貴

SPiCYSOL 撮影=河本悠貴

Tour 2019 "EASY"  2019.11.14  渋谷CLUB QUATTRO

バンドにとって初となるコンセプトEP『FREE-EP』の発売に始った2019年は、表立った動きが多く、“SPiCYSOLとは何か”を外に向けて確立しようとしていたように思える。レーベルデビュー5周年という節目を迎える2020年に向け、自分たちのカラーをハッキリと打ち出した年。それがSPiCYSOLにとっての2019年だったのではないだろうか。

SPiCYSOL  撮影=河本悠貴

SPiCYSOL 撮影=河本悠貴

11月14日、渋谷クアトロで開催された『Tour 2019 "EASY"』も、彼らの打ち出したい色が強く反映されていたように思える。SPiCYSOLの色とは、今の時代に欠けている“TAKE IT EASY”の精神。また、そのような心持ちの人を自分たちの音楽によって増やしていくことだ。

SPiCYSOL  撮影=河本悠貴

SPiCYSOL 撮影=河本悠貴

照明が落ち「ヤバイ!」という歓声がこだまする会場。「Easy-Interlude-」を彷彿する波の音に乗りメンバーが登場すると、「Traffic Jam」でライブが封切られた。『EASY-EP』に沿った幕開けに、オーディエンスのボルテージはすでに最高潮。1曲目にも関わらず巻き起こったシンガロングは、彼らが熱狂の中心にいることを物語っていた。優しい声で「#goodday」を歌いあげると、キラーチューンの「Mellow Yellow」へ繋がれる。ギターソロではAKUNがステージギリギリまで来てパフォーマンスで魅せつけた。自由に生きればいいさと語り掛ける「BOHO」、未来予想図の意を持つ「Cyanotype」と、流れるようにライブが展開されていく。

SPiCYSOL  撮影=河本悠貴

SPiCYSOL 撮影=河本悠貴

遠距離恋愛について話すMCを挟み導かれたのは、恋愛における距離の自由を歌った「Blue Moon」だ。力強く伸びやかに音を紡ぐKENNYの視線は遠くを見据え、この曲のテーマになった誰かを追っているよう。PETEのトランペットソロも天井を抜け、真っ直ぐに響いた。しっとりした雰囲気を一転させたのは、“好きなことを好きなだけ”がテーマとなっている「The Night Is Still Young feat. Rude-α」。2番のメロでかまされたフロウはグルーヴが抜群で、KENNYのリズム感のよさを明白にした。「追加公演だから今までにないことを…」と告げ始まったのは、この日限りのスペシャルメドレー。2016年リリースの2ndミニアルバム『Tropical Girl』の楽曲を中心に選ばれた5曲は、デビュー当初からのファンには懐かしく、新規のファンには新たな魅力を感じさせる。また、全く違うリズムや雰囲気の選曲にも関わらず、いずれの繋ぎもスムーズで彼らの演奏力の高さを提示していた。

SPiCYSOL  撮影=河本悠貴

SPiCYSOL 撮影=河本悠貴

この日、最も熱を持って届けられたのは「Coral」ではないだろうか。大切な人を思うラブソングだが、“いつも いつも いつも ありがとう”、“ずっとそばにいてほしいんだ”という歌詞は、支えてくれている全ての人を思うSPiCYSOL気持ちのそのもの。リリックの単語一つひとつに愛をこめるKENNYの姿は、「ありがとう」という言葉では足りない感謝の全てを音楽に注ぎ込んでいるようだった。その後も「Honey Flavor」、「Sex On Fire」、「WDTA」と彼らの多彩な面を魅せていく。雰囲気を一変し、心地いい声の重なりで惹きこんだのは「Monsoon」である。男目線の遠距離恋愛を歌った楽曲は、切なくもピースフル。“ララララ”と響くシンガロングは、この曲の持つ多幸感をより底上げした。

SPiCYSOL  撮影=河本悠貴

SPiCYSOL 撮影=河本悠貴

SPiCYSOL  撮影=河本悠貴

SPiCYSOL 撮影=河本悠貴

なんとこの日は、初披露の楽曲も。YOUNG FREEZとJAZZY MINORがステージに迎えられ、DJ TATSUKI名義の「Slow Wine」が奏でられた。観客のスマホライトに照らされるなかでのパフォーマンスということで、いつもとは一味違うチルな雰囲気。メロウな楽曲が一段と色っぽく響く。艶っぽいダンスナンバーの酔いもつかの間、メンバーの指名を受けベリーグッドマンのMOCAが急遽ステージに。お得意のフリースタイルとコール&レスポンスで観客を沸かし、ラストスパートへ向けて勢いづけた。クラップの練習を経て繋がれたのは「Fresh Go」。スカッと抜けるトランペットのメロディーに踊らされ、観客も自然と体が動く。「Night Crusing」では、いくつもの手がフロアを埋め尽くし、波のように左右に揺れた。

SPiCYSOL / MOCA  撮影=河本悠貴

SPiCYSOL / MOCA 撮影=河本悠貴

「Rising Sun」の演奏に誘導され、渋谷クアトロの熱気はピーク。ジャカジャカとかき鳴らされるアコースティックギターが歯切れよく、“もっともっと”と気持ちをさらに盛り上げていく。高ぶった感情を引き連れたまま、エモーショナルな失恋ソングの「SOLO」へ。センチメンタルな歌声が、天高く一直線に抜けていった。トリを飾ったのは、柔らかいシンセサウンドが一体を包む「After Tonight」。穏やかなバラードは言葉を紡ぐようにして刻まれていく。 “あなたが泣くときも笑うときもかけつけて傍にいるよ”と誓うリリックは、どんな時でも寄り添える音楽を奏でていきたいというSPiCYSOLの決意のよう。大きな愛で会場を満たし、幸福感に溢れる時間を作りだした。

SPiCYSOL  撮影=河本悠貴

SPiCYSOL 撮影=河本悠貴

本編終了後も熱気は冷めやらずアンコールへ。ツアーファイナルということで、新曲「STUDY feat. BIGMAMA」が初披露された。BIGMAMAのメンバーも駆け付け、フルメンバー9人でのパフォーマンス。KENNYと金井政人(BIGMAMA)2人の声により生み出されるメロディーラインはとてもパワフルで、華やかに音楽を彩る。各々の音楽性を掛け合わせた深みのあるステージングとなった。オオトリとなったのは、SPiCYSOLのデビュー曲である「AWAKE」。オーディエンスへ向けられたメンバーの瞳は、その場にある全てを焼きつけているよう。この曲を演奏するときの情景で、自分たちの歴史をアップデートしてきたことを感じさせたのだった。

SPiCYSOL / BIGMAMA  撮影=河本悠貴

SPiCYSOL / BIGMAMA 撮影=河本悠貴

SPiCYSOL  撮影=河本悠貴

SPiCYSOL 撮影=河本悠貴

2020年に向け、確実に歩みを進めたSPiCYSOL。彼らに流れているのは、明日をちょっと生きやすくしてくれる“TAKE IT EASY”の精神だ。The Surf Beat Musicを名乗っているからこその、穏やかなマインドが彼らの音楽には備わっている。色々なしがらみにがんじがらめになってしまう世の中で、息継ぎするタイミングをくれるのはSPiCYSOLの音楽かもしれない。

取材・文=坂井彩花  撮影=河本悠貴

SPiCYSOL / BIGMAMA  撮影=河本悠貴

SPiCYSOL / BIGMAMA 撮影=河本悠貴

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