ナナヲアカリ Photo by 樋口 隆宏(TOKYOTRAIN)
ナナヲアカリが11月27日、東京・恵比寿LIQUIDROOMで全国ツアー・DAMELEON RELEASE TOUR「CHANGING!」のファイナル公演を行った。今回のツアーは10月2日にリリースされたプチアルバム『DAMELEON』を引っさげて、10月26日の栃木・HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2を皮切りに、初となる北海道や香川や含む全国10公演を回るというもの。
過去最大規模のワンマン公演となる恵比寿LIQUIDROOMは平日の開催ながら満員御礼のSOLD OUT。定刻を少し過ぎた頃、バンドメンバー・えんじぇるズ、そしてツアーファイナル限定の衣装に身を包んだナナヲアカリがステージに現れると、会場は大歓声と共に迎え入れた。
ナナヲアカリ Photo by 樋口 隆宏(TOKYOTRAIN)
おもむろにリッケンバッカーを肩に掛けてスタートしたのは、今作『DAMELEON』にて朝日(ネクライトーキー)により“ナナヲアカリのギター1本から始まる曲”として書き下ろされた「人類殲滅のテーマ」。軽快な前奏にバンドメンバーの力強いプレイが加わり、客席は早くも熱狂に包まれた。続いて「ビビっちゃいない」「なんとかなるくない?」「おばけのウケねらい」と彼女の定番曲が矢継ぎ早に繰り出されると、LIQUIDROOMは早くも酸欠のサウナ状態に。
ナナヲアカリのライブの持ち味のひとつであるVJ野良いぬによる映像とのコラボレーションが、今日も彼女の活発なアクションと共にバンドのアンサンブルと伸びのある歌声に呼応する形でライブハウスの一体感を高めていた。
高速のロックチューンから一転、シリアスな表情を見せるセクションを自身作詞作曲の「イエスマンイズデッド」でエモーショナルに締めくくると、今回のツアーで初の試みとなった、人気曲をショートver.で小気味よく繋げるメドレーパートを披露。かわるがわるドロップされる楽曲にも即時で完璧なレスポンスを見せるフロアからは、これまでナナヲアカリがファンと共に作り上げてきた作品の強度と、生パフォーマンスならではの多幸感を存分に感じさせた。
ナナヲアカリ Photo by 樋口 隆宏(TOKYOTRAIN)
恒例となっているMCでは「えんじぇるズトーク」と題して、えんじぇるズ(Dr.タイヘイ、Ba.かのーつよし、Gt.カトリーヌ、VJ.野良いぬ)と共に、早口言葉にチャンレンジ。ツアーを駆け抜けた気の置けない仲間と共に、和気あいあいとしたやりとりが繰り広げられた。
すっかり和み切った会場のムードを切り替えるように、「たぶん、嘘だね。」の切ないメロディが響き渡ると、メロウなエレクトロナンバー「パスポート」、そして蒼山幸子制作プロデュースによるシューゲイザーロック「月だけが聞いている」がオーディエンスを惹きつける。
ナナヲアカリ Photo by 樋口 隆宏(TOKYOTRAIN)
余韻をそのままにプチアルバム『DAMELEON』に詰め込まれた【変化】というテーマについて、「自分が取り残されたまま周りの環境が変わっていっている中で、私自身が変わっていってないと歌い続けることはできない。聴いてくれる人がいないと音楽は続けられない。
ナナヲアカリがナナヲアカリとしてここに立てているのはみんなのお陰です。」と、長いツアーを経て培われた偽りない心情を語った。“ダメ天使”を自称してきた彼女の物語が一つ次のページに進み、【変化】という一見押しつけがましくもある作品のメッセージを、自らの等身大の歩みによって体現する瞬間を垣間見ることができた。
そしてライブはラストスパートへ。「釈迦でーす!!」という恒例のコールと共に、「お釈迦になる」「ハノ」「んなわけないけど」とアグレッシブなサウンドで一気に畳みかけると、「インスタントヘヴン feat.Eve」でフロアのテンションは最高潮に。自身が敬愛してやまない大森靖子提供による「$ラリ無双」をむき出しの感情を吐き出すように歌い上げ、高まりきった熱気をそのままに、ステージを後にした。
ナナヲアカリ Photo by 樋口 隆宏(TOKYOTRAIN)
アンコールを求める“天使コール”が叫ばれる中、スクリーン上ではゲストボーカルにSouを迎えたナナヲアカリの新曲「チューリングラブ feat.Sou」がTVアニメ『理系が恋に落ちたので証明してみた。』のEDテーマに決定したニュースがサプライズ発表。2020年2月5日に、2nd Single「チューリングラブ feat.Sou / ピヨ」としてリリースされることとなった。
歓喜の渦に招かれて再登場した本人は「ハッピーになりたい」で会場を再び沸かせると、「今日ここに来てくれている人たちは、少しでも何かを変えたいという勇気を持った人だから、この曲を歌って、明日からちょっとでも変われるような日々を送れたら。」と語り、プチアルバムの表題曲「ダメレオンハート」を披露。ファンの祝福に答えた。
さらなるダブルアンコールでは代表曲「ダダダダ天使」をドロップし、この日一番のシンガロングが巻き起こる。LIQUIDROOMのサイズをものともしない全身全霊のパフォーマンスを演じ切り、やまない喝采を浴びながら、えんじぇるズと共に笑顔でツアーの幕を閉じた。
次回春のツアーでは、ファイナルとして過去最大規模のワンマンライブとなる2020年6月7日(日) EX THEATER ROPPONGI公演が既にアナウンスされている。勢いを増し続けるナナヲアカリの2020年、さらなる飛躍を期待させる圧巻のライブであった。
ナナヲアカリ Photo by 樋口 隆宏(TOKYOTRAIN)
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