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JUJU、デビュー15周年記念のリクエストライブをWOWOWで12/22放送

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15th ANNIVERSARY-JUJU HALL TOUR 2019「YOUR REQUEST」最終日
15th ANNIVERSARY-JUJU HALL TOUR 2019「YOUR REQUEST」最終日

JUJUが、デビュー15周年記念ツアー「YOUR REQUEST」の最終日であり、10月10日“JUJUの日”に行われた東京国際フォーラム公演の模様をWOWOWで12月22日に放送する。

ライブレポート

不器用に生きる女性の切ない思いや苦しい胸の内を、多彩なサウンドに乗せて発信し続けてきたJUJUが、デビュー15周年を迎えた。記念ツアーのテーマは、「あなたとつくる究極のリクエストライブ」。ファンを大切にしてきたJUJUらしい、心温まる、それでいて華麗なツアーファイナルを東京国際フォーラムで開催した。

記念ツアーのファイナルで、“JUJUの日”当日というスペシャルな日に集った幸運な観客は、主役の登場をねだるようにさかんに手拍子を打ち始めた。

バンドメンバーに続いて、しとやかに歩み出てきたJUJU。切実さを帯びたアカペラで歌い始めたのは「この夜を止めてよ」。バンドサウンドが徐々に重なり合い、ドラマチックに展開していく。ストリングスの音色が切なさをより際立たせたオープニングとなった。続いて、スウィングする「If」では、モノトーンのミニのドレスから伸びた美脚でリズムをとりながら、総立ちになった観客と再会を喜び合っているようだった。

「JUJUの日に逢えるのを楽しみにしていました」と笑顔を見せ、「15年も歌い続けられるとは思いもしなかった」と振り返り、だからこそ「感謝を伝えられるツアーにしたい」と思ったという。そこから、ファンが参加できるリクエストライブを思いついたのだそうだ。

「15年前は、人前に出て歌うのが怖かった」とデビュー当初の心境を吐露。「(ファンの支えがあったおかげで)今では、一番好きなものになりました」と変化を語った。内なる自分と向き合いながら、時には己と闘いながら歌い続けてきたからこそ、彼女の歌は多くの心を揺り動かすのだろう。

「夏になると思い出す誰かを浮かべながら聴いてください」と紹介した「ナツノハナ」を清らかに、美しいハーモニーを響かせた「奇跡を望むなら…」をウォームに歌いかけるなど、楽曲の世界観ごとに丁寧にバラードを歌い分け、観客を魅了した。

ドラムロールに誘われるように、天井から「DELICIOUS」の文字が下りてきた。ここからは、JUJUのライフワークでもあるジャズのセクションだ。スタンダードジャズの名曲「Take Five」を、スキャットも軽やかにスムース&セクシーに歌うJUJU。スローで重厚なムードで始まった「Englishman In New York」は、途中からテンポアップし、1つの楽曲で違った表情を見せる秀逸なアレンジも聴き所。18歳で単身渡米後、ニューヨークで暮らしていたJUJUも、この歌詞のような気持ちを抱えていたのだろうか…と、ふと彼女の濃密な歩みに思いを馳せずにはいられない。CMでジャズバージョンが一躍知られるようになった「My Favorite Things」(オリジナルはミュージカル映画『サウンド・オブ・ミュージック』収録曲)では、JUJU自身が手掛けた訳詞が大型ビジョンを飾った。

ここまででも、大人の魅力たっぷりで十分満足だが、中盤はファン待望の企画「スナックJUJU」が復活。歓喜の渦の中、JUJUとは別人である“ママ”なる女性が登壇し、中森明菜「DESIRE -情熱-」を2人のダンサーを従えて熱唱。観客からは「はーどっこい!」の合いの手が入るなど、バブリーで楽しい空気が満ちた。「スナックJUJU 有楽町店、開店です!有楽町にお店を持つのが夢でした」と、ユーモアあふれるMCに、客席からは「ママ、おめでとう」の声が飛び交う。

さらには、本物のスナックよろしく、来場者のリクエストに応じるというではないか。幸運にも当選を引き当てた観客の要望は、小林明子「恋におちて」。するとママは「流しの皆さん、準備はできましたか?」とミュージシャンたちに促し、柔らかにロマンチックに歌い上げた。このほか、カバーセクションでは感動的な「糸」やスケールの大きな「The Rose」、リクエストで大人気だったという「もう恋なんてしない」など、洋邦問わず名曲を真心こめて歌い上げた。

これで終わりではなく、今度は来場者からデュエット相手募集。なんと、今度はじゃんけん勝者とステージで一緒に歌うというのだから驚く。3曲の中から松任谷由実「ANNIVERSARY」を選び、歌い終えた勇者に、惜しみない拍手が贈られたのは言うまでもない。

「楽しむ準備はできていますか。Tokyo, Are you ready? 最終日、東京の本気を見せて!」とシャウトし、終盤へとなだれ込んだ。「Hot Stuff」「PLAYBACK」とダンサブルで熱いナンバーを連打したあと、心弾むハッピーなダンスチューン「What You Want」では、キャノン砲が打ち上げられた。金のテープが煌めきながら会場を乱舞し、この日の最高潮へと達した。

「ぜひ、みなさんと歌いたいです」とJUJUからリクエストされたのは、大ヒット曲「やさしさで溢れるように」。サビでは、彼女の願い通り大合唱となり、「最高の“やさしさ”を聴けました」と胸いっぱいの様子だ。

6月からのツアーもいよいよ残すところ1曲というとき、JUJUはぽつりぽつりと胸の内を語り始めた。

「15周年を迎えて、少しは楽になれるかなと思っていましたが、大きな壁にぶち当たりました。越えられるか分からない…そんなときに、この曲と出会い、救われました。自分を裏切りそうになったとき、この曲のレコーディングがあり、歌詞にはっとさせられました」

涙交じりに紹介したのは、ドラマ主題歌として制作された「ミライ」。小さな強がりが、前を向く力になるという温かなメッセージが込められたこの曲を、大切に歌い切り本編は終わりを迎えたのだった。

感動的なラストの余韻に浸る間もなく、ホールにはアンコールを願う声がこだました。すぐさま応えるように、スポーティなスタイルで再登壇したJUJU。「10年前から大好きで温めていた曲」と、ライブ当日に配信スタートしたばかりの「Woman In Love」を紹介。「(この楽曲では)運命の人を歌っていますが、私にはまだです」と、茶目っ気たっぷりな言葉に客席から笑いがこぼれた。まるで親友同士のような距離の近さを感じられるやり取りもまた、JUJUのライブの魅力だろう。

「最後は私からのラブレターです」と告げ、歌い始めた「ありがとう」。優しさと温かな思いだけで作られているこの曲に、JUJUの深い感謝と音楽への尽きない愛を改めてひしひしと感じた夜だった。

生音の贅沢さや心に染み入る歌声、飾らない人柄が伝わるトークなど、JUJUというアーティストの魅力を何よりも体感できるのがライブだろう。厚みのあるサウンドや切ない吐息までも余すところなく伝える映像で、彼女の魅力にどっぷりと浸ってみてほしいものだ。

(橘川有子)

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