ユニコーン、100分×50公演の100周年ツアー「百が如く」がファイナル
ユニコーンが4月からスタートさせた50本のツアー「百が如く」のファイナル、49本目と50本目が、12月16日・17日、大阪・大阪フェスティバルホールにて行われた。
携えて回るニューアルバムが「UC100V」から「UC100W」に変わっているので、当然、セットリストは前半とは大きく変わっているが、それだけでなく、ステージ・セットや効果映像、衣装などもすべて一新された。
前半と後半で同じなのは、「UC100V」の収録曲であり、奥田民生が広島東洋カープのエルドレッドに捧げて書いた「55」を12曲目に演奏するところ。それから、本編ラストの曲が「UC100V」収録の「ZERO」であるところ。そして、「100周年なので100分経ったら強制終了、「ハッタリ」が鳴り響いてライブはおしまい」というルールが敷かれているところ。以上の3つ。
ツアー初日は、アンコール込みで17曲だったのが、最終日までには18曲に増えたのは、100分の効率的な使い方を、前半のツアーで体得したからだと思われる。
冒頭の「M&W」に続いて演奏された2曲目「すばらしい日々」では、イントロ、間奏、アウトロと、歌がない部分が来るたびに客席から大きな拍手が湧く。「今日がね、最終日」「来るんですね、最終日」「来ますよ! 永遠に来ないかと思った」「長かったねえ」という奥田民生とABEDONのMCで笑いが起き、「WOWOW的にもいいよね、100分で終わるっていうのは」と、WOWOWの生中継が入っていることに民生が触れると、さらに笑いが広がる。
「関西の人にはおなじみですけども」と、奥田民生と手島いさむが朝日放送テレビ「相席食堂」のために書き下ろした「7th Ave.」を披露する。『映画にも使っていただきまして。これは川西さんと私が共作しました』と、映画『引っ越し大名!』の主題歌「でんでん」を歌う。メンバー同士の共作曲がなかった「UC100V」と、共作曲が多い「UC100W」との違いが、こういうところにもわかりやすく表れていた。
「服部」から30周年、ということで設けられた「「服部」メドレー」のコーナーも、曲の選び方や並べ方が、新しく作り変えられている。前半では「服部」はイントロとアウトロだけ演奏されて奥田民生は歌わない、という構成だったが、最終日までには、最初の「君の取り柄 足の長さ」と、最後の「ハッ!」だけ歌う、というふうにリニューアルされた。
また、「「珍しく目覚めの良い木曜日」の演奏にのせて「デーゲーム」を歌う」という新しい技も組み込まれ、この大阪フェスティバルホールでも、2日ともオーディエンスを爆笑させた。
60周年=川西幸一の還暦、を記念して、誕生日の10月20日を境に、彼の衣装とドラムセットは赤にチェンジ。中盤に、ドラムを奥田民生に任せて赤ヘル&赤ジャケット&サングラス姿で「BLUES」(「UC100W」収録曲)を歌い、後半では50歳を迎える際にリリースしたシングル「半世紀少年」を披露した。「半世紀少年」のラップは、EBIとふたり。奥田民生と手島いさむは曲に合わせて巨大フラッグを振り、サビではボーカルをとる。この曲はユニコーンが復活した2009年の曲でもあるので、「60周年」と「10周年」の両方の意味を持たせていた、とも言える。
そして「10周年」であることは、アンコールでも示された。前半では「ひまわり」、後半では「HELLO」。いずれも2009年の復活アルバム、「シャンブル」からの曲である。「ひまわり」の時は、画面に「シャンブル」のジャケットのキャンドルが燃え続ける映像が映し出されていたが、「HELLO」になってからは、2009年以降の歴代のライブで「HELLO」を演奏しているシーンが、今目の前で行われている生の演奏とぴったり合わせた形で映し出され、最後にそれが今のステージの映像になる──という演出が加わった。
アンコールが終わったあと、100分になるまで残った時間はABEDONをメインとしたトークコーナーとして使う、というのもこのツアーのルールだが、大阪フェスティバルホールの1日目は、ツアー後半の途中から導入した「電動ドンちゃん」(ひとりで動いて鳴く、リアルなおもちゃの犬)が、客席の人気をかっさらった。民生、「ここまでがんばってライブやったのに、こいつが全部持ってっとるやないか!」と苦言を呈する。
そして2日目は、ABEDON、これまでのツアーで使用したすべてのドンちゃん(電動ドンちゃん以外は犬のバルーン)を引き連れて登場。あまりの多さに収拾がつかなくなりつつも、「こうやって僕たち、時間をつぶしに入ってる。どうですか、この適当な終わり方!」と叫ぶ。客席は、爆笑で応えた。
このあとユニコーンは、12月26日 大阪・インテックス大阪のフェス「FM802 RADIO CRAZY 2019」に出演し、「100周年」の活動を終える。
写真:三浦憲治/チームライトサム