「ガールズフィスト!!!!」発の声優ロックバンド・南松本高校パンクロック同好会、4thワンマンライブのレポート到着
バンド漫画「ガールズフィスト!!!!」に登場する女子高生キャラクター4人と連動するかたちで活動中の、若手女性声優のリアルバンド“南松本高校パンクロック同好会”が、昨年12月14日、東京・Space emo 池袋で行った4度目のワンマンライブのレポートが到着した。
ライブレポート
今回も新たに販売されていたライブTシャツを着込んだファンが、フロアを前方から埋め尽くしていき、ライブ開始15分前には会場はほぼ満員の状態となっていた。
19:30すぎ、ついにライブがスタート。SEに合わせてヴォーカル・浅見春那さん、ドラム・内山つかささん、ギター・奥村真由さん、ベース・古川由利奈さんの4人が次々登場。それぞれに演じるキャラクターのキーカラーとなる円いサングラスをかけていた。
そして南松本高校の緑色の制服ブレザーを脱ぐと、すぐさま楽器隊が爆音をかき鳴らしはじめる。浅見さんが「南松本高校パンクロック同好会! 最後までつっ走っていくぞ〜〜っ!」と叫び、内山さんが元気な声でカウントすると、オリジナル曲「青春ガール」からライブがスタートした。
前奏から「オイ! オイ!」と、浅見さんと来場者とが拳を突き上げつつ一緒になって叫ぶブチ上がったスタートで、「ガールズフィスト!!!!」の名刺がわりの1曲が爆音で演奏されていった。
つづく2曲目はオリジナル曲「Roly Poly」、3曲目は’76年結成のイギリスのパンクバンド・Sham69(シャム・シックスティナイン)の代表曲「If The Kids Are United」。両手を頭の上に上げてのクラップやかけ声のタイミングが、来場者にも完全に浸透していて、さらに会場全体が一体となっていく2曲となった。
立て続けの4曲目は、ライブでは初披露となるカバー曲、Rancid(ランシド)の「Ruby Soho」。この曲のMVでのRancidのメンバー同様に、サビに合わせてステージの両サイドに立つ弦楽器隊の古川さん、奥村さんがクルクルと回る姿は、愛らしくも、楽しい楽曲をさらに盛り上げるパフォーマンスとなっていた。
自信を持って演奏されているのがわかる安心感のあるサウンドで4曲を終えると、古川さんが「4thワンマンライブ、来たぜーーいっ!」と叫び、初めての本格的なMCに。ここでは、早くも折れてしまった紫のスティックをお立ち台に立って掲げつつ、「見て! 今日買ったばっかりなの!」と半泣きで何度も叫ぶ内山さんに、まずは会場が大爆笑。
つづけて古川さんと内山さんが楽屋に戻ってしまい、バンド内で”なまず”と呼ばれるコンビ、浅見さん&奥村さんが2人きりでトークするというMCタイムに突入する。ここでは、年末ということで、この1年で互いに相手が成長したところを言い合うということに。
浅見さんは「まゆち(奥村さん)のツッコミの能力と、ギターの腕がすごい成長したと思います!」と感心。それに対して奥村さんは「なーちゃん(浅見さん)もヴォーカルとしてすごい成長した! 一番最初の公開練習のとき(2019年2月)なんて、お客さんのほうが見られずにおどおど歌ってたのに! 今ではこんなにお客さんをあおれるようになったし(笑)、リズム感もすごいよくなった!」と返して、互いをほめ殺し合う時間となった。
また、奥村さんが「なーちゃんは最初のレコーディングでリズムがうまくとれなかったから、かわりに私が目の前で、こう(右腕を上げ下げして)サイレントの動きでリズムをとってあげたりしたよねー」と言うと、浅見さんが「そうー! あれはおもしろかった!」と大笑い。「おもしかったって言われたぁー!」とすかざず奥村さんがツッコむのだった。
楽屋で2人の様子をモニタリングしていたという古川さん&内山さんが再登場すると、奥村さんは「やっぱりふたりがいるとあんしんするよね…」とひとこと。すると古川さんに「まゆち、ホントにそう思ってる? なんか全部ひらがな(棒読み)だったよ、今の」とツッコまれてしまう。それをごまかすように奥村さんは、坂ノ下奏恵になりきり「今夜は朝までミッドナイトだー! おー!」と会場を盛り上げる。
そして、5曲目となるGreen Dayのヒット曲「Basket Case」へ。冒頭のギター&ヴォーカルの前奏部分がはじまると、会場からも「待ってました!」と言わんばかりの「うぉぉぉぉぉっ!」といった歓声が上がる。パンクロック好きな来場者が数多く詰めかけていることがわかる一幕からはじまり、会場がタテ乗りのビートの一体感に包まれた。
おなじみのパンクの名曲が終わると、大歓声のなか会場が暗転、メンバーは何やら次の曲の準備をしている様子だ。しばらくの間、準備が続いたのち、浅見さんがタンバリンの鈴をリズミカルに「シャンシャンシャンシャンッ」と鳴らしはじめる。それを合図にステージに照明が戻り、激しいビートと荒々しいサウンドの「ジングル・ベル」パンクロックVer.がはじまった。
浅見さんはサンタのような赤の衣装で頭に電飾のカチューシャ、内山さんもなんと手作りしたという電飾のついたクリスマスツリーを頭上に装着、奥村さんはトナカイの角のカチューシャ、古川さんはモフモフ系のケモノのかぶりものと、クリスマスをテーマにした思い思いのものを身につけての演奏となり、同時にメンバー紹介も行われていく。
ひと足早いクリスマスソングが終わると、互いのかぶりものをツッコみ合いながらも、交換などをして遊ぶ時間に。古川さんは当初フルフェイスのトナカイのかぶりものにしようと思ったけど、事務所から怒られそうなので顔の見えるものにしたそう。
浅見さんの赤い衣装は、じつはクリスマスツリーを表現するため緑のものを発注したはずが、赤いサンタの衣装がきてしまったとか。
メンバーのおしゃべりが止まらないなか、古川さんが「次のー、曲にー、いきたいな〜♪」と次の曲のベースラインを弾きはじめ、慌てて他の3人が持ち場に戻り、7曲目「Minority」がスタート。
これまでのライブでも必ず演奏してきたGreen Dayの盛り上がり曲。今回は、印象的なベースラインからはじまり、ラストもベースラインのソロで終わるという新たなアレンジにも挑戦していた。
会場が再びブルーの照明のみで暗くなるなか、なんと浅見さんがギターを弾く準備をはじめ、会場からは「おおーっ!?」と、どよめきが起こる。
そして奥村さんのギター&ヴォーカルで「Full of Lies」がはじまると、来場者から「それだーっ!」の声が。歓声で盛り上がるなか、浅見さんがサイドギターとコーラスで参加する「Full of Lies」が演奏されていく。
厚みを増したサウンドと、会場を見つめながら説得するように歌い上げる奥村さんが、とても印象的な1曲となった。
曲終わりには、「ブーーッ」と音が鳴ったままなのに、自分のギターを置いてしまった浅見さんに、古川さんが「それボリュームゼロにしないとブーーッって鳴っちゃうよ」とツッコむ場面も。
つづいて今度は、コンビ名としては”つゆ”と呼ばれる、古川さん&内山さんの2人がMCを行うコーナーへ。最近、天然でかわいいともてはやされる、バンドのフロントに立つ”なまず”に対抗心を燃やす2人は、ベースとドラムの素晴らしさをアピールするというテーマで話をすることになった。
一方、ドラム台に座り込み、ステージ上でそのトークをニヤニヤ聞こうとしている浅見さんと奥村さん。
2人は、内山さんに「(楽屋に)はけなよ!」、古川さんに「早く去れぃ! かわいいのはわかってるんだよ!」と叱られ、楽屋へと戻っていく。
トークではさっそく古川さんが、「ドラムは両手両足、全部違う動きでホントに大変だもんね! たまに地団駄みたいなのも踏んだりしてるじゃん?」と内山さんをほめるが、「いや……あれは別に地団駄踏んでるんじゃないんだ(苦笑)。やだ〜!って言ってるんじゃないんだ。そういうフィルなんだ」と返し、会場からは笑いが巻き起こる。古川さんが「あれって「私もほめられたい〜っ!」って地団駄踏んでるんじゃないの?」と言うと、「曲中にそんなダダっ子みたいなことしてないから!」と内山さん。
また、ベースとドラムは、常にリズムを刻み続けなければいけないが、ヴォーカルとギターは曲中にサボることができることにも言及。
「まゆちはたまに「ジャカジャーン!」って弾いたきり、しばらくサボってるときがあるの! あれずるいよね!」と古川さんが指摘すると、内山さんも「そうそう! まゆちは「Tic×Tic=Tac♪」の”流行りのリップ〜♪”の歌詞のところで、本当にリップを塗るゼスチャーしたりしてるの! あんなことベースとドラムはできないもんね!」とさらに乗っかる。
「我々のことをもっとほめて!」というテーマはとどまるところを知らず、話せば漫才のようになってしまう2人のおもしろトークに、会場が何度も爆笑する時間となった。
楽屋でモニターを見ながら、ツボに入るぐらい大笑いしていた浅見さんと奥村さんがステージに戻ると、「やっぱり4人そろわないとだめだな」という結論に落ち着き、ライブ後半線へと突入していく。
9曲目は、THE BLUE HEARTSの「リンダリンダ」、10曲目は’80年代の日本のレジェンドバンド、ザ・ルースターズの「恋をしようよ」、そして11曲目は再びTHE BLUE HEARTSの「情熱の薔薇」と、ここからは疾走感の強い3曲が連続した。
「リンダリンダ」「情熱の薔薇」はロックファンにはおなじみの曲ということで、サビでの大合唱で会場と一体となり、「恋をしようよ」は浅見さんの可愛らしくも激しく叫び続けるヴォーカルが、楽曲に怒とうの勢いを生み出していた。
つづけて浅見さんによる「拳を上げろー! ガールズフィストーーっ!!!!」のかけ声で、会場中が拳を突き上げた直後、12曲目「Ready and Rarin’ to Go!!!!」、13曲目「Tic×Tic=Tac♪」と、オリジナル2曲が続く。どちらもクラップをはじめ、かけ声やサビの大合唱など、重ねてきたライブで来場者と一緒に作り上げてきたともいえる盛り上がり曲。ここでライブは最高潮に達していた。
そしてラストとなる14曲目は、この時点ではCDには未収録だった人気曲「Re:スタート」。過去2度、ライブで演奏したときとはイントロやコーラスなどのアレンジが変わり、さらに激しく尖ったサウンドとなっていた。
メンバー全員が会場と一体となって「ただ真っ直ぐに ただがむしゃらに」「ぶっ壊して」と叫ぶサビの歌詞は、彼女たち自身のひたむきさやがんばりと重なり、胸を打たれる力強さが強烈に感じられた。
アンコールで再登場したメンバーは1人ずつ、この日の感想として「楽し〜い!」と叫び、集まった来場者に感謝をする。浅見さんは「これからも「ガールズフィスト!!!!」の輪を広げていきましょう!」と来場者に熱く訴えかけていた。
ここで、企画盤CD第3弾「Only my Way!!!!」の1月15日の発売、そして東京・秋葉原 CLUB GOODMANでの3月29日日曜日の5thワンマンライブの開催も告知された。3月29日は開演が12:30の昼公演となる。
そして来場者へのクリスマスプレゼントということで披露されたアンコール1曲目は、「Only my Way!!!!」に収録されている新曲「孤独の月」。
メインヴォーカルを務める古川さんが、原作キャラクター・藤森月をイメージして作詞した曲で、リバーブがかかったひずんだギターからはじまる激しいサウンドながら、暖かみや透明感も感じられるメロディアスな1曲。幻想的でもある雰囲気とコーラスの美しさも相まって、来場者もじっくりと聴き入っていた。
そしてこの日、本当のラストとなったのは、Hi-STANDARDによる「はじめてのチュウ」のカバー「My First Kiss」。サビでの会場からのレスポンス「チュウ!」「YOU!」「MY LOVE!」が、この日一番大きな大合唱となり、全16曲を締めくくる最高のラストを飾っていた。
この日の彼女たちの演奏は、前回よりもさらにレベルアップはしているものの、まだ荒削りな部分も目立った。それでも、原作キャラクターを愛する気持ちと、強烈に感じられてしまうひたむきな姿勢、そして底抜けの明るさからくるサービス精神が、唯一無二の楽しさと熱量を持つライブを形作っていた。
この4人からなるバンドとしての組み合わせも原作コミック同様に絶妙で、来場者を楽しませ、惹きつける力が、さらに格段にアップしたと感じる4thライブだった。
会場が変わる5thワンマンライブでは、その魅力はどうなっていくのか? コンテンツとして、ロックバンドとして、急速に成長していくのを見守る楽しさは、「ガールズフィスト!!!!」のほかにはないかもしれない。
セットリスト
1.「青春ガール」
2.「Roly Poly」
3.「If The Kids Are United」Sham69(カバー曲)
4.「Ruby Soho」RANCID(カバー曲)
5.「Basket Case」Green Day(カバー曲)
6.「ジングル・ベル」[クリスマスソングカバー&メンバー紹介]
7.「Minority」Green Day(カバー曲)
8.「Full of Lies」
9.「リンダリンダ」THE BLUE HEARTS(カバー曲)
10.「恋をしようよ」ザ・ルースターズ(カバー曲)
11.「情熱の薔薇」THE BLUE HEARTS(カバー曲)
12.「Ready and Rarin’ to Go!!!!」
13.「Tic×Tic=Tac♪」
14.「Re:スタート」
Encore1.「孤独の月」
Encore2.「My First Kiss」Hi-STANDARD(カバー曲)
撮影:菅沼聖太郎(目黒スタジオ)
©2019 ガールズフィスト!!!! プロジェクト