早川聖来(乃木坂46)
第15回「このミステリーがすごい!」大賞の隠し玉(編集部推薦)作品となり、2018年公開の映画も大ヒットを記録したサイバーミステリー『スマホを落としただけなのに』。原作はシリーズ累計78万部を突破し、2020年2月にはシリーズ続編映画『スマホを落としただけなのに~囚われの殺人鬼~』の公開も控えている。そんな本作が初めて舞台化され、2020年3月20日(金・祝)〜4月5日(日)紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA、2020年4月18日(土)~4月19日(日)松下IMPホールにて上演する。
舞台化においては、奇才劇作家・横内謙介によって、シリーズ2作を融合させた物語が描かれる。舞台においてヒロイン・稲葉麻美を演じる早川聖来(乃木坂46)に、本作への意気込みや見どころを語ってもらった。
早川聖来(乃木坂46)
神奈川県警庁舎内の取調室。サイバー犯罪に強い若手刑事・加賀谷 学(辰巳雄大)は、ベテラン刑事・後藤武史(原田龍二)とともに、丹沢山中で5人の女性を殺害した連続殺人鬼、浦野善治(浜中文一)の取り調べを行っていた。
浦野は天才ハッカーであり、黒髪の女性ばかりを狙った猟奇的な殺人犯であった。一方で連続殺人の被害を免れた稲葉麻美(早川聖来)と、その恋人・富田誠(佐藤永典)の事情聴取も進む。この事件は、富田がただスマホを落としたことで、美しい黒髪女性であった麻美が偶然にも浦野のターゲットとなってしまったことから始まった。
加賀谷の取り調べでの追求で、成りすましたSNSのアカウントを駆使し、ターゲットを追い込む恐ろしい浦野の手口が次第に明らかになる。そして、加賀谷は、事件の真相に迫っていく中で浦野に奇妙な感情を抱くようになり、さらには驚くべき事実にたどり着く――。
ーー出演が決まった時の気持ちを教えてください。
ありがたいお話で嬉しい一方、メンバーのいない舞台が初めてなので少し不安もありました。でも、(グループ内には)舞台に出演されている頼れる先輩方も多く、困ったときはアドバイスをいただけるので、自分が出来る限りのことを精一杯頑張ろうと思いました。ライブや舞台は、お客さんが目の前で楽しんでくれている様子や、レスポンスが返ってくるのを直接感じられたりしてすごく好きなので、楽しみでもあります。
早川聖来(乃木坂46)
ーー有名な作品で、既に映画や朗読劇も公開されています。プレッシャーも大きいと思いますが。
一作目の映画を見て、原作2冊を読みました。すごくハラハラドキドキする作品ですし、原作・映画・漫画・朗読劇……と、それぞれ違う魅力があると思います。せっかく舞台化するので、舞台にしかできない表現などを、お客さんに楽しんでほしいです。
ーー実際にスマホを落とされたことは?
ないです(笑)。でも忘れかけたことは何度かあるし、身近に起こり得ることなので、原作を読んでいて「落としたらこうなることもあるんだ」「今こんな犯罪もあるんだ」と勉強になりました。
早川聖来(乃木坂46)
ーー乃木坂のメンバーは舞台に出られている方も多いですが、お互いに観に行くこともありますか?
『三人のプリンシパル』(乃木坂46 4期生初公演)の時は先輩方が観に来てくださって、「もっと大きく動いて個性を出すといいよ」などのアドバイスをいただきました。普段は先輩の舞台を観に行くことが多いので、挨拶に行った時に、面白かったところ、勉強になったところを直接伝えています。あとは、「ここのシーンはどんなことに気を付けて演じたんですか?」とか、「実はここがよく分からなくて……」と質問することもあります。
ーー原作の志駕さんより、ヒロイン・稲葉麻美役について「イメージ通り」というコメントがありました。麻美との共通点、役作りについて考えていることがあれば教えてください。
麻美はすごく凛とした美しい女性だと思います。私自身はまだ人生経験があまりないんですけど(笑)、演じる役どころは過去に秘密を秘めているので、ミステリアスな部分や、どこか肝が座っているところ、芯の強さをどう表現するか考えているところです。自分自身、乃木坂46に加入して一年経ちました。最初はふわふわしている部分もあったけど、最近は気持ちに落ち着きが出てきました。そういう落ち着き、ふとした時に冷静になるところなど、自分の経験も演技に活かしていきたいと思っています。
早川聖来(乃木坂46)
ーー初めての単独舞台出演、さらにはサスペンス作品でかなり追い詰められる役ですが。
グループを離れてお仕事をさせていただくのは初めてですが、グループの代表としてしっかり頑張りたいと思っています。以前出演した、乃木坂46版 ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』とは作品の方向性も全然違って、今回は現実的でシリアスなお話なので、やっぱり不安はあります。でも、母が宮部みゆきさんや湊かなえさん、東野圭吾さんなどのミステリーを好きな影響で私もよく読みますし、考えながら読み進める物語が好きなので、携わることができて嬉しいです。
ーー普段の環境とはやはり違いますか?
そうですね。普段のグループ活動や前作『セーラームーン』でもメンバーと一緒だったので、すごく相談しやすい状況でした。今作では頼れるメンバーがいないので寂しさもあるのですが、作品を作っていくうえでは信頼関係が大切ですし、舞台は生物なぶん、お互いを知ることが重要になってくると思います。いい雰囲気のカンパニー、そして作品を作れたらと思っています。
早川聖来(乃木坂46)
ーー役を演じるという仕事についての思いを教えてください。
前回出演した『セーラームーン』を通して、「この子はどう動くだろう」「この子ならこうしそう」と、一つの役に愛着を持って探求しながら人物像を作り上げていく楽しさを知りました。昔から、物語の背景や描かれていない部分について想像を膨らませるのが好きで、本を読みながら頭の中でドラマ化したり、登場人物の台詞を声に出してみたりということをしていたんです。舞台だと、シーンごとの空白の間に何があったか、どう過ごしていたかを考えるのが結構好きで……。今回も原作や映画を踏まえながら、自分なりに稲葉麻美という人物について考えて、舞台ならではの麻美を演じたいです。
ーー最後に、読者やファンに向けてメッセージをお願いします。
『スマホを落としただけなのに』という大きな作品に携わらせていただいて、本当に嬉しく思っています。原作、映画、漫画、朗読劇など、いろんなカタチで世界を作っているなかでの初めての舞台ということで、他のものではできない世界を、キャスト、スタッフの皆さんと力を合わせて作り上げたいと思っています。ドキドキしたい方、スマホを落としたことがある方、この作品が好きな方もまだ見たことがない方も、たくさんの方に観ていただけたら嬉しいです!
早川聖来(乃木坂46)
取材・文=吉田 沙奈 撮影=iwa
広告・取材掲載