H ZETT M バレンタインの夜に「ピアノ独演会」ゲスト・まらしぃと千本桜の共演、新たに東京・愛知・北九州公演を発
ピアニストH ZETT M(エイチ・ゼット・エム)が、ピアノ一台で観客を魅了するコンサート「ピアノ独演会」が、先週2月14日バレンタインの夜に神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホールにて行われた。スペシャルゲストに以前から親交のあるピアニスト・まらしぃを迎え、共演を果たした。そして、新たに東京・愛知・北九州と3箇所の独演会公演も発表された。
すでに自身のバンドH ZETTRIO(エイチ・ゼットリオ)の全国ツアーがスタートしているなか、それと並行して行われている独演会が人気を博しているのは理由がある。
円形状に配置された客席の中央にステージがあり、そこには蓋を外されたグランドピアノが2台対面するようにセッティングされていた。いつもとは違った趣きのなか、客席の灯りがゆっくりと落ち、満場の拍手に応えながら登場したH ZETT M。
登場した瞬間から彼のステージは始まっており、その独特な歩き方と「間」がH ZETT Mワールドに観客をいざなっていく。おもむろにピアノに手を置くと、いきなり新曲からスタート。誰も知らない「新曲」であっても、ゆったりとした一音一音の積み重ねが彼の独特な世界へと続く階段となり、H ZETT Mと観客は一緒に少しずつその階段を上がって行き、曲が終わった時には一体感を伴った大きな拍手が生まれた。
その後、生ピアノとループマシンを駆使した「極秘現代」「雫の模様」が続き、電子音、空間系シンセサイザーの打ち込みなどがふんだんに盛り込まれた不思議な世界観が広がってゆく。途中JAZZスタンダードの「My Funny Valentine」が挟み込まれバレンタインデーにぴったりな粋な演出となった。その後「つなぎとめて」「すりぬける」など、時には立ったり、斜めに腰かけたり、鍵盤に額がつくほど屈んだりしながらプレイする彼の動き一つ一つに観客が釘付けになってゆく。前半7曲を演奏し第1部終了。20分の休憩タイムとなった。
衣装をチェンジして、第2部は「未完成ワールド」からスタート。1曲演奏し終えたところで、ゲストとしてピアニスト”まらしぃ”が登場し、会場から大きな拍手がおこった。H ZETT Mと向かい合わせになるようピアノに座ったまらしぃは、繊細でありながら力強いタッチで「即興」を1曲繰り広げ、タイプの異なるピアニストの共演に観客も固唾を呑んで見守った。
そのまま、まらしぃのYOUTUBE再生数が700万回を超え、今なお伸び続けている人気曲「千本桜」を2人でプレイする。これには会場の空気も一変し、この日のハイライトとなった。
まらしぃを送り出した後は、H ZETTRIOの楽曲メドレー、「水の流れ」「ボレロ」と続き、最後は「喜びのテーマ」で本編が締めくくられた。アンコールでは「新しいチカラ」の力強くメロディアスな旋律に観客は酔いしれ、ついにこの日のコンサートの幕は閉じた。
この日この会場で起こった事はすべて楽しく美しい偶然の連続なのか、それとも計算しつくされた歓待の幾何学模様なのか。いずれにせよその確固たる演奏技術と才能とセンスを基盤としつつ再現不可能な緊張感とユーモアの混ざった「謎めいた空間」こそがこのH ZETT Mの「ピアノ独演会」そのものであり、そしてその場所に身を置くことが、他では体験できない心地よさを生む為、何度でも足を運ぶ人が絶えないのだろう。
新たに開催が決定した「独演会」は、5月10日東京・東京芸術劇場プレイハウス、7月11日愛知・豊田市コンサートホール、8月29日福岡・北九州市立 響ホールの3公演となっており、とくに九州地区は久しぶりの公演になる。
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