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SANABAGUN.高岩遼(Vo)に訊く、バンドを取り巻く環境の変化と過去最大キャパのツアーに挑む現在の心境

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SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

ジャズとヒップホップとエンタテインメントのクロスロードで踊るバンド、SANABAGUN.を取り巻く空気がいよいよアツくなってきた。初登場の『FUJI ROCK FESTIVAL '19』ホワイト・ステージでの熱演に続き、最新4thアルバム『BALLADS』を引っ提げた全国8か所のツアーも過去最高の盛り上がり。メジャー5年目のさらなる高みを目指し、次に狙うターゲットは2020年3月の東名阪ツアーに決まった。ファイナルの地、過去最高キャパのZepp DiverCity(TOKYO)ヘ向け高まる思いを、バンドの首謀者であり、SANABAGUN.、THE THROTTLE、SWINGERZなどいくつものグループで活躍する伊達男、高岩遼が語ってくれた。

――はじめまして。個人的な話をすると、SANABAGUN.より先にTHE THROTTLEのライブを観ているんですよ。組んだのは、どっちが先でしたっけ?

同じぐらいですね。2か月違いで、SANABAGUN.が先です。

――全然違いますよね。音楽性が。

違いますね。関わってる人間も、バンドもチームも全然違う。

――ファンも違う?

違いますね。

――使い分けるんですか? それとも特に意識はしない?

いや、けっこう、アンパンマンですよ。顔が飛んできて、クルクルッみたいな(笑)。切り替えがありますね。

――ソロもあるし、いろんな顔がある。SANABAGUN.の高岩遼ってどんなキャラですか。

何だろうな……。SANABAGUN.の高岩遼は……もともと僕らは路上ライブをやっていて、ベースの亮三とキーボードの祐大がまだいない頃に、みんなステージネームがあって。ラッパーのリベラルは今もリベラルですけど、僕はジョニー・ザ・キッドって名前だったんですよ。だからまあ、ガキ大将感、なんですかね。そういうイメージで。

――アウトローっぽい。ビリー・ザ・キッド的な。

的な。そんなイメージなのかな、SANABAGUN.の高岩遼は。そこにちょっとエレガンスさもありつつ。

――じゃあ、THE THROTTLEの高岩遼は。

そっちはアンダーグラウンド、ストリート・キングって感じじゃないですか? THE THROTTLEの高岩遼のほうが、明るいですね。「よぉ、ドライブ行こうぜ」っていう感じ。で、SANABAGUN.の高岩遼は、「……乗ってく?」っていう感じ。

――なるほどね(笑)。わかりやすい。だいぶ違うなあ。

でも、無理に演じてるとかじゃなくて。

――ですね。もともと自分の中にあるんだろうな。

たぶんそうだと思います。

――ソロの高岩遼は?

ソロは、ニュートラルですね。自分個人だから。THE THROTTLEもSANABAGUN.もチームだし、兄弟分が多いんで、彼らの思い、彼らの礎、彼らのイデオロギーを僕が背負わないといけないけど、高岩遼ソロは一人なんで。非常にニュートラルな状態で、そうすると、ジャズがうまく歌えるんですね。

――なるほど。マインドの違いが大きいのかな。

ですね。まあ、感覚ですけど。

――もともとジャズの人ですもんね。高岩遼は。

そうです。音大のジャズ課を出て、キャバレーみたいなところで、シナトラのカバーを歌いながら、というのが20代前半だったんで。でも中学校、高校はずっとヒップホップだったし、母ちゃんがハードロック好きで、姉も好きで、クイーンとか、スコーピオンズとかを聴いてたんで。それでいろいろやりだしたんですね。

――ああ、そうか。もともとあったものを、今は全部出せるチャンネルがある。

で、もう一個、SWINGERZっていうのがあって、それは劇団なんですけど。

――これまた全然違う。

違いますね。いつかジャズクラブのオーナーになるのが一つの夢なんで、それの原点がSWINGERZにはあって。いっぱつ原宿にSWINGERZって倶楽部出したいっすねぇ、マジに。あと、去年からアパレル(NSRC)を始めてるんですけど、全員覆面で、自分はCheezeっていう名前で。それは音楽とはまったく関係なく、バイクと車って感じのやつをやってて。あとはSWINGERZの派生で、KMKっていうのがあって。THE THROTTLEからギターの州吾と、SANABAGUN.のサックスの大河と3人でやってるんですけど。“駒込でムキムキになる機会”でKMKっていう、ウェイトチームです。

――よくわからない(笑)。いろいろやりすぎ。

いろいろあって、とっ散らかってます(笑)。

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

“音楽があればいいや”っていう感じではなく、富と名声を手にしたい。俺はスターになりたいぜっていう派。

――高岩さんって、アーティストでありつつ、ビジネス脳がちゃんとあるタイプでしょう。そこは意識していますか?

昔からずっと、セルフ(・プロデュース)だったんで。それは上京する前から、自分で全部やりたいというのがあって。ラグビーもやってるけど、ダンスもやりたいし、バンドもやりたいし、絵も描きたいし、全部やりたくて、全部セルフで回してきたんで、そういうルーツはありつつ。やっぱり今、ミュージシャンが一番頭良くないとダメだと思うんですよ。

――うん。なるほど。

それぞれのやり方があると思うんですけど、僕はどっちかというと、“音楽があればいいや”っていう感じではなく、富と名声を手にしたい。俺はスターになりたいぜっていう派なんで。

――それは、ずーっと言ってる気がする。

ずーっと言ってます。なので、ミュージシャンとしては自分が一番頭良くありたいというか、切れ者のほうがかっこいいよなって感じで。ミュージシャンであり、ビジネスマンではありたいなと思いますけどね。でも意識はしてないです、何も。

――去年のアルバム『BALLADS』、良かったです。今も聴いてますけど。

ありがとうございます。何が好きですか?

――やっぱり「Stay Strong」。あれで熱く盛り上がって、「ス・パ・パ・パ・イ・ス」でずっこけるという。何ですか、あのバランス感覚は。

あれがSANABAGUN.ですね。基本、ふざけてるんで。

――SANABAGUN.ってそういうとこありますよね。ダンディーにふざけるみたいな。

本格的にふざけるっていう感じ。それで痛い目を見るのがSANABAGUN.。

――なんで痛い目を見る(笑)。

ずっとかっこつけてたほうが、わかりやすかったりするじゃないですか。でもそうじゃないから、わかりづらいって言われることも多いですけど、それがSANABAGUN.なんですね。僕らはよく、SANABAGUN.なりの毒素って言ってるんですけど、SANABAGUN.にはポイズン感がすごい大事で。

――わかる。ライブでも、時にシュールな、上質なコントを見てるような気になったり。

それは最高の誉め言葉ですね。嬉しいです。

――パフォーマンスとしてかっこいいと思いますよ。

エンタテインメントですね。お笑いも好きだし。

――お笑い、誰が好きですか?

スタンドマイク1本でやってる、黒人のコメディとか。コメディってもともと、黒人の文化の一つのスタイルじゃないですか。

――スタンダップ・コメディアン。音楽とも密接な関係でしたよね。ジャズのライブの司会したり。

笑いのツボが、我々日本人とはずれてるんですけど、すごいエキセントリックな、あの表現はかっこいいなと思う。そういうものを、YouTubeで最近よく見てます。特に面白くないんだけど笑っちゃう、みたいな。黒人じゃないけど、Mr.ビーンとか、めっちゃ好きなんですよ。

――わかる。あのセンスですね。

シュールの極みというか、異常に頭が良くないとできないから。大きなくくりで、芸人さんには非常にリスペクトがあります。

――もっと枠を広げて、歌もエンタメも全部ひっくるめて、誰が好きですか?

たくさんいますけど、スタイルだとか、考え方、アーティストとしてのありかたで言うと、日本だと絶対的に矢沢永吉さんですね。永ちゃんです。あとは、北野武さん。僕、映画もすごい好きなんで。ほかにもいっぱいいますよ。尾崎紀世彦さんとか。クールス、レイ・チャールズとか。

――おおー。

でも一番は、やっぱり永ちゃん。というか、キャロルが好きだったんですよ。だからやっぱり、スターといえば矢沢永吉かなと。西洋だったら、フランク・シナトラですね。彼はスターですよね。今日の音楽シーンに非常に大きな影響を及ぼしてるし、時代を変えた人でもあるんで。「アイドル」っていう言葉を最初に捧げられたのはフランク・シナトラだし、ニューヨーカーで、非常にスタイリッシュだった。男としてかっこいいですよね。

――やっぱり、スター性がないと。

そこまで行きたいですけど、まだ全然です。相当遠いんで。でも、その人たちのケツを追っててもオリジナルにはなれないんで。そういう大きなビジョンを持ちつつ、高岩遼のオリジナル・ロードを歩いていく。そういうところに、25歳を超えてからは、シフトしていきましたね。二番煎じにはなりたくないんで。僕なりのスター街道を、うんうん言いながら、歩ませてもらってるところです。

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

――最近のSANABAGUN.、絶好調ですよね。ライブもアツいし。

徐々にですけど、キャパが少しずつ大きくなって。目標は、スーパーボールのハーフタイムショーに出ることなんですけど。

――デカイ夢だなあ。

超デカイですけど、そこが目標なんで。まだまだキャパは小さいですけど、一歩ずつ着実に、チーム一丸で上ってる感覚はありますね。あと、新しく亮三と祐大が入ってから、SANABAGUN.の音楽がまた豊かになったんで。セットリストも過去から今の曲までごちゃまぜで、非常にいい感じですけど、まだまだなんで。頑張ろうぜって感じですね。

――ミーティングが多いバンドなのかな。

多いですね。SANABAGUN.は常にスクランブルしてるんで、その感じがいいんじゃないですかね。

――その集団をまとめてるのが高岩遼。

リーダーは澤村一平で、僕は黒幕のボスなんですけどね。まとめていくというか、ムードメイカーじゃないですか。SANABAGUN.のメンタル担当というか。もちろんみんなでメンタルを作っていくんですけど、みんなそれぞれ考えてることが違うから、“いや、これはこういうことじゃないかな”って言う役割。

――ああ。なるほど。

かくいう僕も、悩む時期もありましたし、みんなに助けてもらったこともあるんで。でも今はもう、自分はすっきりしてるんで、どういう方向で、どういう音楽をやりたいか、みんなが同じ方向を向いてる状態ですね。

――去年の年末、『BALLADS』ツアーの手ごたえは?

Nao Kawamuraっていう歌手と一緒に回って、アレンジも変えましたし、いろいろと楽しかったですね。僕ら、打ち上げ好きなんで、そこでいろいろあったりしましたけど。言えないですけど。

――そうですか(笑)。

そういうことも踏まえて、非常にスクランブルしてましたね。熱いシーンがあって、いいツアーでした。今までで一番熱いツアーだった気がしますね。

――今、男女比は?

女の子のほうが多いかもしれない。でも最近、野郎も増えてきた感じです。

――どっちも好き?

好きですよ。黄色い声援も嬉しいし、男たちがウォーって叫んでくれるのも嬉しいし。

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

第何章かはわかんないですけど、新しい幕を開けるというツアー。最高のベスト的なセットリストで、“これがSANABAGUN.だ、味わえ!”という日です。

――そして次のツアーが『BALLADS“BEYOND”』という。BEYOND=超えて、ですか。

そうですね。ツアー『BALLADS』の続編というよりは、俺たちのここまでの歴史の、最初にストリートで売ってた白盤から、新しい『BALLADS』までの、ベストなセットリストで行くというライブですね。ツアー『BALLADS』のビヨンドじゃなくて、ツアー『BALLADS“BEYOND”』の先、という意味で。これから2020年、2021年へ進んでいくという、ここが千秋楽ではなく、第何章かはわかんないですけど、新しい幕を開けるというツアーですかね。何が言いたいかと言うと、最高のベスト的なセットリストで、“これがSANABAGUN.だ、味わえ!”という日です。

――みなさんぜひ。ファイナル東京、Zepp DiverCityは初?

初ですね。

――行ったことも?

ないです。

――だいぶデカイですよ。自信は?

自信は、あります。「狭かったですね」って言ってやります。

――かっこいい。バンドの集大成にして、始まりが見られるという。

そうです。それが『BALLADS“BEYOND”』ですね。

――もしかして新曲も?

ありますね。楽しみにしてもらえれば。

――2020年は、この勢いで突っ走ってくれますか。

もちろん。ライブもたくさんやりますし、大きな舞台も用意されてるんで。その上で、僕らはミュージシャンとして、ワイドなスタイルでやりつつ、「自分らのルーツはこれだ」という何かを作れたらいいなと、個人的には思ってます。それがジャズなのか、ヒップホップなのか、何なのか、もっと掘っていきたいんですね。しかも頭でっかちな意味じゃなく、楽しくやりたい。“こういう曲やりたいぜ”“こういうフレーズ吹きたいぜ”っていうところは、これまでと変わらず、楽しくやっていこうと思ってます。

取材・文=宮本英夫 撮影=iwa

SANABAGUN./高岩遼 撮影=iwa

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