amazarashi、初の武道館公演「朗読演奏実験空間“新言語秩序”」が第23回文化庁メディア芸術祭にて2度目の優秀賞を受賞
本日3月6日、第23回文化庁メディア芸術祭の受賞作品が発表され、amazarashiが2018年11月16日に開催、総数2万人を動員した自身初の武道館公演「朗読演奏実験空間“新言語秩序”」のライブクリエイティブ/演出が、エンターテイメント部門で優秀賞を受賞した。
amazarashiがメディア芸術祭で受賞するのは、2010年の第14回メディア芸術祭で受賞して以来、2度目。ライブ演出で受賞するのは初めてとなる。
amazarashiは、デビュー以来、ライブ演出やミュージックビデオの新しい表現に一貫してこだわり抜いてきたが、今回そのライブ演出が革新的なメディアアートとして高く評価された。
その「朗読演奏実験空間“新言語秩序”」の中心的なメッセージを歌った楽曲「リビングデッド」や、武道館ライブを締めくくった楽曲「独白」などを収録したニューアルバム「ボイコット」を3月11日にリリースする。先行して3月5日、新ミュージックビデオ「とどめを刺して」を公開している。
第23回文化庁メディア芸術祭 優秀賞 受賞理由
おそらく5~6年前くらいまでの文化環境であれば、フィクショナルな様式性をもってつくり込まれたベタなディストピア・ロマン型の世界観に、特段の批評性を感じることはなかったはずだ。だが、ネットメディアの浸透が下からは皮肉な相互検閲状況をもたらし、機に乗じた大資本や政治権力による上からのあからさまな検閲ムーブを強化しつつあるという輪をかけてベタな現実の劣化ぶりが、本公演の同時代的な意義を逆説的に高めてしまった。そんな時局を逆手に取りつつ、昔ながらのプロテスト・ロックの役割や武道館という場のアウラを参加型テクノロジーを駆使して再生させたコンセプトメイクとプロジェクト運営の強さは驚嘆に値する。もっとも、「言葉狩りへの抵抗」による共同性の喚起は、反面、まさに排外主義的な世論やカルトを助長して現実を劣化させた側のロジックでもある。本公演のメッセージ性は、そうした両義性の析出も含めた問題提起として受け止められよう。
(中川 大地)